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世界初の取り組み!?女性への暴力に対するビジネスアイデアを考えるアイデアソンをケニアで開催!

私が代表を務めるアクセルアフリカでは、事業の1つである研修プログラムの一環として、現地スタートアップや起業家向けにアクセラレーションプログラムを提供しています。

2024年3月9日の国際女性デーに合わせて、GBVの課題の解決を目指したアイデアマラソンをDaystar大学で開催しました。

世界的に見てもジェンダー分野×ソーシャルビジネスの分野の取り組みは多くなく、新たな挑戦に挑んだJICA を企画・運営でサポートさせていただきました。

今回はそのイベントの様子をご紹介します。


GBV×ビジネスの初の取り組みが開催!

ジェンダーに基づく暴力(GBV)という重大な問題に取り組む画期的なイベントが、国際女性デーに合わせた3月7日〜8日でケニアのデイスター大学で開催されました。

主催は国際協力機構(JICA)。GBVを撲滅するための解決策を開発することに特化した、「ビジネス・アイデアマラソン(アイデアソン)」はJICAにとっても世界的に初の試みになります。

GBV(Gender Based Violence)とは、性別に基づいた暴力の形態を指し、性別に関連する理由で個人が経験する物理的、性的、心理的、経済的暴力のことを指します。

ジェンダーベースの暴力は、家庭内暴力、性的暴力、強制結婚など、多岐にわたる行為を含みます。また、この問題は世界中で発生しており、文化、宗教、経済レベルを超えた普遍的な問題です。

共催にはカウンターパート機関であるNGEC(National Gender and Equality Commission)、Daystar大学、Safaricom Foundationなどが名を連ねました。

オープニングセッションでGBVの現状を学ぶ!

GBVをテーマにしたアイデアソンは、世界的にも先進的な取り組みで、もちろんケニアでも初の試みとなりました。

当日、どれだけの人が集まるのか未知数なところが多いかったのですが、結果的に当日までの申し込みは100人を超え、当日はカウンターパートなどの関係機関からの参加者を含め約200名の方が会場にお越しいただきました。

複数のメディアにも取り上げていただき、ケニア国内でも注目いただきました。

1日目の午前のセッションではケニア含むアフリカでのGBVの現状について学ぶレクチャーやパネルディスカッションを行いました。

JICAケニア事務所の次長である林健二氏は、GBVの根絶の重要性について熱心に説明し、またJICAがデイスター大学のようなパートナーと協力してこの目標を達成することへの揺るぎないコミットメントを強調しました。

キーノートスピーカーには、Safaricom FundationのJoseph Ogutu会長をお招きし、ケニアの大手企業の立場からGBVに対する取り組みやその重要性について貴重なお話を伺いました。

パネルディスカッション要約

パネルディスカッションでは、各産業に特化し、その分野の第一人者からGBVの視点からの課題を共有いただきました。

パネリストは一致して、GBVと戦うためには、男性をジェンダー平等の取り組みに巻き込む、デジタルツールをGBVの報告と教育に活用する、生存者を支援しGBVを防止する政策を実施するといった、多分野にわたるアプローチが必要であるとの見解を示しました。

議論は、特に女性や脆弱な人口の権利と尊厳を守り、変化を推進し、コミュニティの関与とパートナーシップの重要な役割を強調しました。

公共交通セクターにおける課題

FLOAN INITIATIVEのエグゼクティブディレクターであるNAOMI MWAURAは、安全で尊厳ある公共交通機関へのアクセスに関して女性や障がい者が直面している課題を強調しました。

彼女は、これらの脆弱なグループの独立と安全を高めるために、アクセス可能な公共交通機関を作ることの重要性を強調しました。

Naomiはまた、アクセスできない交通手段の経済的影響について指摘し、障がいを持つ人々がしばしば高いコストを負担することを挙げ、この問題に対処するための公共交通機関における透明な価格モデルの必要性を強調しました。

GBVと生理の貧困との関連

ZANA AFRICAのALICE ONSARIGOは、GBVと生理の貧困との関連について発表し、衛生用品と生殖健康に関する知識へのアクセスの欠如がGBVへの脆弱性を高める方法を強調しました。

ALICEは、ZANA AFRICAが質の高い衛生用品と教育を提供することで女性と少女を力づける努力を共有しました。

彼女は、女性と少女が社会に完全に参加する能力に影響を与えるスティグマと不十分な衛生設備の影響を強調し、これらの課題に対処する包括的なソリューションを求めました。

GBVサバイバーの現状と課題

GENDER VIOLENCE RECOVERY CENTRE(GVRC)のダイレクターであるALBERTA WAMBUAは、GBVの普及とGVRCが提供するサービスに関する統計を共有しました。

彼女は、予防から起訴、社会再統合に至るまでの生存者の旅について詳述し、生存者に包括的な支援を提供するためにセクター全体での協力的な取り組みの重要性を強調しました。

ALBERTAは、GBVの生存者のための応答と支援システムを改善するために、専門化されたGBV裁判所とサービスプロバイダーの訓練の強化の必要性を強調しました。

酪農セクターにおけるGBV課題

酪農セクターからのDAVID MAINAは、特に酪農における農業設定でのGBVの影響について議論しました。

彼は、資産所有の差別、リソースへのアクセスの限定、および性別規範による暴力の脆弱性によって、酪農における女性の経済的エンパワーメントが阻害されている方法を説明しました。

DAVIDは、女性の脆弱性を減らすために酪農業務をクラスタリングすることや、市場への輸送を強化して女性を経済的にエンパワーメントするような解決策を提案しました。

GBVの根絶を目指したアイデアを考える!

1日目の午後から2日目の午前中はアイデアごとに10グループに分かれ、アイデアをブラッシュアップするセッションを行いました。

オープニングセッションからの学ぶから、参加者からさまざまなGBVの側面に取り組む革新的なアイデアが浮かび上がりました。

信頼性のある電力へのアクセスがないことが多い、特に女性の小規模酪農農家が直面する課題に対処するための太陽光発電冷却ミルク、スラム街の女の子たちに対する有機肥料の生産とトレーニングが、女性を力づけ、財政的な独立を促進するソリューションとして提示されました。

またGBVに関連する問題の例には、早婚、女の子の教育不足、生存者への支援不足が含まれます。この課題に対して提案されたアイデアの1つには、モバイルアプリを通じて男性にGBVを教育するものもありました。

各グループは最終発表に向け約1日かけてアイデアをGBVの視点からブラッシュアップしていきます。

各チームにはファシリテーターがつき、都度サポートを行いました。

2日間に渡ったアイデアソンは、参加グループからの最終発表ピッチでいよいよクライマックスを迎えます。

10グループによるピッチと審査員による審査を経て、3つの優れたビジネスアイデアが選ばれました。

最優秀賞には輝いたのはKINGAというプロジェクトです。

彼らのアイデアは、男性の多いバイクタクシー(ボダボダ)産業に焦点を当てています。

彼らはまず、顔認証による登録を行うことで、GBVについて彼らを教育しようとしています。これにより、ある程度の信頼を得ることができます。

またライダーが理解しやすいように、様々な42の言語でコンテンツを作成した。

これにより、ボダボダを利用す女性は、そのライダーがGBVの知識を有しているか否かの情報にアクセスすることができます。

社会課題をどの様にビジネスで解決すべきか

今回のアイデアソンはケニア国内の様々なメディアにも取り上げられ、GBVを広くビジネスセクターの方々にも知っていただく機会を提供できたのではと考えています。

これまでGBVの議論はビジネスセクターとはあまり関連を持たず実施されてきました。

GBVの解決を直接的にビジネスに結びつけることは容易くはありません。しかし、GBV解決の視点からビジネスを考えていくことは今後より重要になってくるのではと思っています。

今回私たちは、この取り組みにケニアのスタートアップセクターを巻き込むために現地のインキュベーション機関を巻き込みました。

私たちAXCEL AFRICAの現地パートナーであるAnza VillageやStartinevなどの協力のもと、広くこの取り組みをスタートアップに認知させるように促し、今後より多くのパートナーを巻き込みながらこの取り組みをさらに知ってもらいたいと考えています。

このイベントは、最初の一歩です。

今回のアイデアソンは、GBVサバイバーを力づけ、性別平等を促進し、すべての人にとってより安全な未来を構築する可能性を秘めた革新的なソリューションのためのスプリングボードとして機能したのでないでしょうか。

これらのアイデアがどのように発展し、どのような肯定的な影響をもたらすかについての私たちとしてもしっかりとサポートをしていきたいと思っています。

AXCEL AFRICAの会社ビジョンは『日本やアフリカ諸国において、多様な連携を生み出しながら、社会課題解決型ビジネスと共に創出することを目指します。日本やアフリカ諸国の企業やヒトを繋げ、持続可能な新たな未来に向けた成長に貢献する』です。

このイベントはまさに私たちのビジョンを体現する取り組みです。

今回の取り組みに参加・協力できたことは私たちにとっても非常に嬉しく、有難い機会でした。

弊社では今後も現地の社会課題解決に資する取り組みを様々なステークホルダーと共に創り上げていくべく全力で取り組んでいきます!

❚ 株式会社アクセルアフリカについて

『日本とアフリカ諸国を繋ぎ、社会課題解決型ビジネスを共創することで、アフリカの持続的成長に貢献する』をビジョンに日本企業のアフリカ進出をサポートするコンサルティング会社。日系企業のアフリカ進出支援、研修プログラム(アクセラレーション)、コミュニティ事業など展開している。ケニアに拠点を持ち、アフリカの主要国をカバーしている。


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