見出し画像

「プロ経営者」が「経営の神様」になれないギャップについて

「プロ経営者」と称されるひとがいます。社長という役割を数社、一定の短い期間で担い、且つ、一定の成果(業績あるいは話題)をあげたひと、かなと思います。ま、よく考えるとプロ+経営者の組み合わせの意味不明だけど。。。

もちろん、稲盛和夫さんクラスになるとこんな低レベルの品の無い言葉では言い表せない。だから「経営の神様」となる。ボクは会ったことも無いし、話を聞いたことも無い。本・記事でしか出会っていない。本はたくさん読んだつもりだ。で、素敵な人なんだろうな、と思う。会社を社員を愛し、社会・お客様のためにどうあるべきか利他を貫く、その道から意図的に外れるひとには厳しく、でも変化・成長を信じている。そんな雰囲気を感じる。

簡単に言うと、稲盛和夫さんには同じタイトルの本も出版されていますが、「心」を感じるのです。

一方、「プロ経営者」はニュアンスが違う。外資の日本法人の社長を何社かした、ドライで、ズル賢こく、MBAホルダーで、外資的なハゲタカ的な思想で、経営はロジックだ、サイエンスだ、事業を売ってしまえ、リストラしてしまえ、シナジーなんてほとんどないけど買収しちゃえ、合併しちゃえ、法律を有効活用して数字を良く見せてしまえ、的な雰囲気。

「経営の神様」には全くない品の無さと経営に対する勘違いが漂う(失礼だけど、言うは易し。。。)

横道に逸れちゃうけど、ウォーレン・バフェットさんも、「プロ経営者」ではなく、稲盛さん寄りのイメージが湧く。この方にも会ったことはない。文字情報だけで本当のことは何も知らないのだけれど。。。

さて、経営者・リーダーの、大切な一連の役割として、「会社が目指す実現したいビジョンを色鮮やかに語り、共感を引き起こし、専念する事業を悩みに悩んで取捨選択し、リソースをそこに集中的に投下して、そして、社員ひとりひとりに、業務の意義深さ・大切さを伝え、鼓舞し、挑戦させ、継続させ、そして日々、笑顔で感謝する」というのがある、と思うのです。

会社なるものは、個人事業ではなくて、社員と言われる人々のチカラを借り、一緒に邁進している訳だから、皆が前向きにチカラ強く挑戦してもらおうと思わないならば、わざわざ「会社」と登記し存続する意味がないです。

だから社員が「動きたくなる」チカラ、決して無理矢理に動かす圧制力ではなくて、を持つことが、経営者には必須だと思うのです。

でも、これは頭脳明晰でロジカルなMBAホルダーの「プロ経営者」だからできる訳ではない、と思うのです。明確に性質が異なるチカラ。ただ、この類は、こういう経営者本来の役割が、嫌いで、面倒に思い、避けがち、な感じがあります。

だから、多数を動かさなくて済む、一部のメンバーだけがこっそり利益になる活動、例えば、事業を売る、リストラする、という「簡単」なことをする。今持っている何かを部外者の「プロ経営者」が手放すのはそもそも簡単。だけど、その前に、多数を動かすチカラが無いから、あるいは面倒だから、この簡単さに流れる。

一方で何かを買収するのも「簡単」。少人数の「英断」で済むんだもの。でも、PMIと言われる買った後に、例えば文化や業界が違う2社がひとつになって、よーしみんなで一緒になって理解し合ってがんばろうね!活動は非常に大変だ。多くの多様な人々の「心」の問題だから。でも、やらない。だから物の記事によると買収の8割は失敗らしい。

でも、失敗でもいいんです。自分に多額のお金がもらえるなら中長期のことなんて関係ないのですから。どうせ買った後にすぐ辞めちゃう、だからこそ「プロ経営者」。買った後にみんなで一致団結してがんばろう活動なんて、そんな面倒は避けますね。本音は、「自分にはそんな難易度高いことできないもん。稲盛さんじゃないんだから」かもしれない。。。

で、知り合いにいわゆるこの「プロ経営者」と呼ばれるひとがいます。この方も、外資を渡り、MBAホルダーで、事業の売買などをして、まさに上述の形容にどんぴしゃ(だから「プロ経営者」と呼ばれるのだけど)。

ただ、彼はちょっと違うのだ。上述の「経営の神様」的な「心」を感じるのだ。人懐っこく、穏やかで、温かくて、笑顔が多くて、面倒見がよくて、ひとを大切にして、そしてビジョンが明確。行動力もある。なんだか付いて行きたい雰囲気があるのだ。

で、思うのです、「プロ経営者」とは、本来はこうであるべき、だと。有名大学出身とか、MBAホルダーとか、外資勤務とか、そんなことはどうでもよくて、「はい、リストラ」・「はい、事業を売っちゃえ」などに走らない。逆に、社員の「心」を動かすことに挑戦する。

つまり、ある意味、稲盛さんになろうと努力する気概・勇気・挑戦心、そして行動力を持っている。例えば:
1)
業績がイマイチな会社の社員の心を動かして、よしがんばってみよう!と挑戦へと行動変容させることにチカラを注ぐ(リストラで脅すわけではない)

2)買収した後のPMI好きで、多様なキャリアやスキルや文化や業界などの相容れなさそうな社員を一致団結させ、相互の利益のために挑戦へと行動変容させることにチカラを注ぐ(買収して、はい終わり!ではない)

社員の心を動かすことが、会社であることのそもそもの意義であり、経営者のお仕事。でも、難しいし、面倒だからやらない。カンタンに成果を出せることで、スピード感もって成果を出すことこそが大切でしょと嘯く。そして、短期的な少人数の利益を目指し会社を壊す。「後は野となれ山となれ」思想。こんなは「プロ経営者」ではなーい。「経営の神様」寄りの正しい経営者を「プロ経営者」と呼びたい。そして、こんな経営者、素敵です。

読んで頂きありがとうございます。
(最近出会った素敵な気づきフレーズv7_27)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?