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「評価」をどうする? 【前篇】


~来年度の新高等学校学習指導要領の実施を睨んで~


「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」そして、「指導と評価の一体化」

▷評価について三回(前篇、中篇、後篇)に分けて私見を述べます。

【目次】
ー前篇ー
・評価をどうしていくのか
・「指導と評価の一体化」といわれるけれど
・「評価」という言葉の定義の曖昧さ
・長期的ルーブリックとカリキュラムマネジメント
ー中篇ー
・教育の目的、そして目標
・「評価」=形成的評価と考える
・「インフォームド・アセスメント」
ー後篇ー
・「評価」の「影響力」の大きさを意識しよう
・「評価」の難しいところ
・「大学入試」を強く意識した結果
・「目標―内容―方法―評価」の一体化
・追記

「評価をどうしていくのか

 来年度の新しい学習指導要領に則った指導の実施により、高校においても三観点による「観点別評価」が始まります。そこで、この全面実施に向けてどのように進めていくことが考えられるのか、実際に先進的な学校の様子を交えながら私見を述べていきます。

「指導と評価の一体化」といわれるけれど

 本題に入る前に……今回の改定の議論の中で「指導と評価の一体化」ということが言われてきました。それに対して、「指導と評価が一体なのは当然である」という声も聞こえています。ここにはどのような意味があるのでしょうか。
 従来の高等学校の多くの教科科目においては、「授業(指導)は授業(指導)、評価は筆記テストで行う」という形のものが多かったと思われます。むしろ、多くの学校、多くの教科・科目において、その形式がほぼ全てと言ってもいいかもしれません。そして、それこそが、最も公平性が担保される方法であり、次の進路(主に大学受験)へ向けて役に立つものと考えられてきたということなのでしょう。また、今でも多くの方々にそのようにとらえられているのかもしれません。

「評価」という言葉の定義の曖昧さ

 ここで、本来であれば、まず「評価」という言葉の定義をはっきりとさせる必要があるのかもしれません。特に、「評価」は広く多くの場面で使われますが、私たちが従来から出してきた最終的な数字的「評価」はあくまでも「評定」であり、全体として「評価」という用語を用いるのは適切ではないことは多くの方が認識されていることと思います。ここでは、そこのことは分かっている前提で、一般的に用いられている「評価」を使っていきます。

長期的ルーブリックとカリキュラムマネジメント

従来は、授業などで継続的に教えてきたことの定着を「定期考査」で測るという形がほぼすべてになってきました。いま、この中で、「これからの社会で生きていくために必要な力(資質・能力)は何なのか」ということを真剣に考えることから、学習内容や指導方法の再考が求められています。そして、そこに、一貫した指導目標と指導実践の一致を目指すことが含まれているのだと考えられます。そこで、最も現実的であり実際に動き出しているところもあるのが、学校内、教科内での「長期的ルーブリック」作成とそれに従った指導の推進です。これは、当に新学習指導要領の作成の中でも一つの大きなテーマとして挙げられてきたカリキュラムマネジメントの考え方にも適合しています。

(中篇に続く……)

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