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水平線に僕が立ったら

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読み返したい、個人的に好きな記事を集めています。
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#思い出

腹の奥の不幸へ

記事を書き溜めないようにしている。 読み直す、っていうのが疲れるから。 怒りや憎しみが滲…

松永ねる
2年前
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否定するしかないこと

 実際の誰かの人生をフィクションにしてしまうことには、いつも抵抗があった。私自身の経験や…

睦月
2年前
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笛の音が聞こえたら、どこでも飛んでいくから

実家の僕の部屋には、木で出来た笛が置いてある。 吹くと、フクロウの鳴き声に似た音を奏でる…

oil
2年前
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まっすぐな靴底で歩きたかった

階段を歩いているとき、前をゆく人の足元を見る。 スニーカーの靴底が、斜めにすり減っていた…

松永ねる
3年前
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泣いている人だけがいつも悲しいわけじゃない

燃え殻さんのエッセイ「すべて忘れてしまうから」の中に、「涙を流している人が常に一番悲しい…

また一つあなたを忘れる 前編

雪が外の地面を白く染めていく。私は寝過ぎて痛む頭で、ぼんやりとそれを眺めた。 「雪が降る…

春
3年前
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永遠に出されない手紙

拝啓 お元気ですか。私は元気です。 愛してるの意味が分からなくなって随分経ちますね。あなたは今どこで何をしていますか。 あなたと飲んだサイダーの味が忘れられません。きっともうあなたは忘れているのでしょうね。堤防の上に置き忘れた瓶が、砕けて海に洗われていればいいと思います。 蝉時雨に包まれる季節になると、あなたのことを考えてしまいます。幸せや暖かさは振り返ってみないと気づけないのでしょう。 お元気ですか。私は元気です。どうか幸せになってください。 敬具