予想がけっこう当たっていて驚いた。 「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」 映画感想
「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」観てきました。
ぼくが前作の感想で指摘した点が一部反映されていてびっくりしました。
どこが当たっていたのかに加え、今作およびシークエル三部作の感想を書きます。
ネタバレ注意
スターウォーズ エピソード7-9
「スター・ウォーズ」の新たな3部作としてスタートした「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)、「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(17)に続く3部作の3作目。「スター・ウォーズ」サーガのエピソード9にあたり、1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語が完結する。「フォースの覚醒」を手がけたJ・J・エイブラムスが再びメガホンをとる。(映画.comより)
前作の感想でぼくが書いた点
前作、前前作の感想はこのような感じです。
ep7は最初好きだったけど後で評価を下方修正していて、ep8と合わせてそこまで高く評価していません。
「最後のジェダイ」の感想で、僕は下記のようなことを書きました。
修行シーンが面白くない
弟子育成に失敗したルークは、弟子育成に成功しないと物語が閉じない
レイをしっかり訓練してジェダイにする必要があった
継承を軽く見る描写は良くない
海に沈んでるルークのX-ウイングをひきあげるシーンが必要
同様にX-ウイングが飛ぶシーンも必要
ベニチオ・デル・トロのくだりはなくてもいい
過去のジェダイたちが登場して助けてくれる
師弟対決と父殺しがスター・ウォーズの骨格なので、最後まで男性神話をやりきるしかねェェェェ!
「スカイウォーカーの夜明け」をご覧になった皆さん。
これらの指摘が結構当たってません?
「スカイウォーカーの夜明け」は、
修行シーンがあり
ルークがレイにジェダイになる仕上げ(ライトセーバーを渡す)をして
X-ウイングを引き上げ
X-ウイングが飛び
過去のジェダイ達が(声だけ出演)して助けてくれて
父(祖父)殺しをしていました。
継承も(そこそこ)描いていました。
ベニチオ・デル・トロもなかったことになってました。
ぼくの指摘事項がわりと「スカイウォーカーの夜明け」のなかで実現されていたので、観ていてびっくりしました。
「自分すごい」とか自画自賛する気持ちがゼロかといえば嘘になりますが、
当たってると結構嬉しいですね。映画の出来とは別ですが。
(アナキン・スカイウォーカー役のヘイデン・クリステンセンも声だけ出演してた!)
やはり、前作でやっておくべきだったことを今作でやらざる得ないので、どうしても詰め込んだ編集と内容になりますよね。
新三部作で最もぶれた軸
新三部作(シークエル)全体を通したビジョン、グランドデザインが描けてない、という指摘は、すでに各所でされていて、ぼくも全く同感です。
「誰が敵か」とか、各細かい後出し設定もそうですが、最もグラグラとぶれた軸は、「神話なのか民話なのか」という点です。
ep7で「新しい神話が始まる予感」を描いて
ep8で 「神話ではなく、普通の人々の話だ!」と宣言したものの
ep9で 「新たな神話完結!」とした
前作で否定されたはずの、選ばれた血筋の話と、いわゆる男性神話類型である点を今作で復活させている。
男性神話類型というのは「主人公がメンター(師匠)から教えを受け、父権的な存在を倒しヒーローになる」話です。
女性型神話は「ありのままの自分を認める」話です。
詳しくは下記の書籍を参照ください。
シークエル三部作通して観ると、ep8のカウンター性というかアンチな姿勢が極端に浮いてしまっている。
ぼくはここが一番のずっこけポイントでした。
「結局何が言いたいんでしたっけ?」という。
冒険活劇としてどうだったか
後付設定やら血筋の秘密やら真の敵が今作になって急に出てくるのは、まぁしょうがないとしても、敵の本拠地にたどり着くための「キーアイテム」探しがどーーにも面白くないんですよ。
主人公たちの縁の地を再度巡ることで旅路の意味合いが強化されてるわけでもなく。
比較すると「アベンジャーズ/エンドゲーム」のあの旅は本当に上手かったんだと思います。
フィンのもったいなさ
ep7の感想でも書いたんですがフィンというキャラクタの描き方が本当にもったいない。
フィンは元ファーストオーダーストームトルーパー、現レジスタンスなので、「ジェダイ/シス」の関係と呼応させるように、ひとりの人間の「善/悪」の彼岸を描けたはずなんですよ。
ところがそういった葛藤は一切ない。
フィンの設定なら、ストームトルーパー時代に仲の良かった同僚と対峙せざる得ない場面が絶対必要じゃないですかね。
良かったところもある
シークエル三部作で良かったのは才能ある若手の俳優が多く世に出た点です。 特にアダム・ドライバーです。
セリフがないのに、表情だけでベン・ソロが「何を考えているか」わかるんですよ。これはすごい。いわゆる「いい演技」ですよね。
追い詰められるとき、希望を見出すとき、覚悟を決めたとき、すべて表情と仕草でわかる。素晴らしい。
というわけで、新年早々ちょっと残念でしたが、ぼくがep8で抱いた疑問点を制作陣も共有してくれていた、という点は、映画感想文を書いている者としてすごく嬉しかったです。
しーゆー
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