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菩ヰ乃
2024年8月27日 23:29
約束をしました暖かくなったら海を見に行こう寒くなったら星巡りに行こうそしていつか私の生まれた街に行こう君の行きたいところ全部に行こうよ私たちは大人になってもう何処へでも行けるんだからあれからいくらか待ちましたがいつまで経っても君は来ません私はもう何処へも行けやしません
2024年8月15日 02:56
私は私の存在が忘れられる事が堪らなく恐ろしい。他人の中から自分の存在が消えてしまうことは思ってる以上につらくて苦痛を伴うものなんだ。母方の曽祖母が鬼籍に入る半年くらい前、入院しているところを家族で見舞った際に彼女はすっかり私のことを忘れ去ってしまっていた。余所者を見る目つきで私のことをひどく罵ったのを今でも鮮明に覚えている。軽くトラウマ。それもあり、晩年施設住まいになった祖母には会
2024年8月10日 01:53
古びた缶詰の蓋を開けると、魚のぶつ切りと一緒に小さな美しい人魚が入っていた。私は急いで風呂場に連れて行き、鱗に傷がつかないように慎重に身体を綺麗にしてやり、浴槽の水を海と同じ塩分濃度に調節した。しばらく様子を眺めていると人魚は少しずつ息を吹き返し始めた。その晩はずっと隣で過ごした。その頃の私といえば、立て続けに嫌なことが起こっていたものだからひどく心は疲弊していた。だから浴槽の人魚に弱
2024年8月9日 14:50
何処か遠くに行きたくなったら今ある全てを捨てて行きましょう誰もあなたを知らないし詮索もしてこない素敵な街にそこで縁側付きの古民家を借りて日がな一日空の表情を眺めて過ごすでも本当はそんなことは出来ない私たちには人間関係がある仕事がある規律がある義務があるしがらみに縛られているから私はお気に入りの風景アルバム眺めて巡る旅をしますそれでも気持ちが収まらない時は本当の本当に全
2024年8月2日 18:40
さみしい気持ちに包まれたなら涙の雨を降らせてください部屋を満たして海になったら私も近くの海に身を投げます海の底の底の底の方で身体が朽ちて砂に変わるまでこれまでの話を聞かせてください