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2024年8月の記事一覧

待つ人

待つ人

約束をしました

暖かくなったら海を見に行こう
寒くなったら星巡りに行こう
そしていつか私の生まれた街に行こう

君の行きたいところ全部に行こうよ

私たちは大人になって

もう何処へでも行けるんだから

あれからいくらか待ちましたが

いつまで経っても君は来ません

私はもう何処へも行けやしません

いつかは全て忘れるとして

いつかは全て忘れるとして

私は私の存在が忘れられる事が堪らなく恐ろしい。

他人の中から自分の存在が消えてしまうことは思ってる以上につらくて苦痛を伴うものなんだ。

母方の曽祖母が鬼籍に入る半年くらい前、入院しているところを家族で見舞った際に彼女はすっかり私のことを忘れ去ってしまっていた。

余所者を見る目つきで私のことをひどく罵ったのを今でも鮮明に覚えている。軽くトラウマ。

それもあり、晩年施設住まいになった祖母には会

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唄う人魚

唄う人魚

古びた缶詰の蓋を開けると、魚のぶつ切りと一緒に小さな美しい人魚が入っていた。

私は急いで風呂場に連れて行き、鱗に傷がつかないように慎重に身体を綺麗にしてやり、浴槽の水を海と同じ塩分濃度に調節した。

しばらく様子を眺めていると人魚は少しずつ息を吹き返し始めた。その晩はずっと隣で過ごした。

その頃の私といえば、立て続けに嫌なことが起こっていたものだからひどく心は疲弊していた。だから浴槽の人魚に弱

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何処か遠くに行きたくなったら

何処か遠くに行きたくなったら

何処か遠くに行きたくなったら
今ある全てを捨てて行きましょう
誰もあなたを知らないし
詮索もしてこない素敵な街に
そこで縁側付きの古民家を借りて
日がな一日空の表情を眺めて過ごす

でも本当はそんなことは出来ない
私たちには人間関係がある
仕事がある規律がある義務がある
しがらみに縛られているから
私はお気に入りの風景アルバム
眺めて巡る旅をします

それでも気持ちが収まらない時は
本当の本当に全

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さみしさと海

さみしさと海

さみしい気持ちに包まれたなら
涙の雨を降らせてください
部屋を満たして海になったら
私も近くの海に身を投げます
海の底の底の底の方で
身体が朽ちて砂に変わるまで
これまでの話を聞かせてください