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名作探訪 その13 ちょうど良いバランス 西部開拓ボードゲーム 『オレゴン』

こんにちは、ボードゲームデザイナーの山田空太です。

今回は、ボードゲーム 名作探訪シリーズ  その13をお届けします。

ボードゲーム 名作探訪 : 皆さまに是非とも遊んでほしいボードゲーム紹介のシリーズです。1990〜2015年くらいのファミリーストラテジーのゲームを中心として、100作を目指して書いております。100作まではまだまだ遠いですが、コツコツしていきます。

前回の記事はこちらから読むことができます⇩

本日のゲームは、ヘンリック・ベルクアーサ・ベルク作のオレゴン。正統派のドイツファミリーゲームといえる作品です。

『オレゴン』が名作とは言い過ぎと思われる方もいるかもしれませんが、これくらいの塩梅のものって意外と少ないんですよね。ちょうど良いお湯加減のゲームなんです。

なので、以下の文章で『オレゴン』の良いところを紹介していきます。

オレゴン Oregon

Designers: Henrik Berg, Åse Berg
Artist: Franz Vohwinkel
Publishers: Hans im Glück
(2007)
2-4 players
好み:AA  
時間:45分程度
2人でも:面白い

舞台は、西部開拓時代のオレゴン(⇩下の地図の赤いところ)はじめは何もない土地に、駅を作り、郵便局や教会を建てて、炭鉱や金鉱を掘りあてて、街を発展させるというテーマ。

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全体ボードのマス目に、開拓者駒と建物タイルを置いて、勝利点を積み上げていくことを目指します。


勝利点の獲得手段は主に2つ。

・自分の駒を建物のとなりに置く
・自分の駒を3つ隣接させる


『オレゴン』の何よりの美点は、手番での選択肢のコントロールが優れていること。毎手番プレイヤーの取るべき行動が、ざっと2,3通りに絞られます。おそらく、意図的にそう設計されています。

ボードだけを見ると、ちょっと陣取りっぽい匂いもします。陣取りの要素がなくもないが、他プレイヤーを邪魔している余裕というか自由はほとんどありません。駒をおける場所が手札で決まっており、建物に隣接していないと意味がないため、選択肢は自ずと限られます。

手番では、4枚の手札のうち2枚をプレイして、その組み合わせで自分の開拓者駒か建物を置きます。そして、手番終了時に2枚補充します。

基本的にはこの繰り返し。2枚の手札の組み合わせというのがポイントで、各手札がボードの縦の辺と横の辺に対応し、その交点となるエリアに駒を置くという感じ。

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手札は4枚しかないため、カードの引き運が強めのゲームです。しかし、このゲームでは、土地カードか建物カードかのどちらを補充するか、プレイヤー自身が選ぶことができます。この選択が良いのだと思います(それもコントロールできなければ、運の要素が強すぎるゲームになったでしょう)。

そして、ルール上は取ってつけたようにも見える、”ジョーカー”と”ダブル手番”が効いています。ここぞというところで、ジョーカーとダブル手番を使えるので、明確な勘所になっているのです。

概して、全体ゲームに駒やタイルを置いていくゲームは、手番順に大きく左右されるのですが、『オレゴン』では前のプレイヤーの置いた建物を利用できるので先手有利とも限らない。

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*引用元:boardgamegeek.com

『オレゴン』は、適度な運があり、ルールはシンプルで、手番での選択肢は整理されており、建物の効果は適度で、ジョーカーとダブル手番というわかりやすいポイントがあり、起伏もあり、金鉱と炭鉱の隠れポイントが効いていて勝敗は最後までわからず、45分くらいでサクッと終わる好ゲームです。細かな調整もきちっとしています。

個人的には、45-60分くらいで適度な運があり、ルールが明解で、プレイアビリティが高く、選択肢の数が適切で、収束が良いゲームの評価は、通常より高くなります。

この規模は、コアアイデア以外のアイデアが必要で、さらに要素の切り捨ての両者が必要になるからで、作るのが難しいからです。

『オレゴン』も今はなかなか手に入りにくいゲームですが、遊ぶ価値はあると思います。

次回は、『ハイソサエティ』『カルカソンヌ』『チグリス&ユーフラテス』のどれか1作を取り上げる予定です。

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