2023年8月の記事一覧
月の砂漠のかぐや姫 第282話
弾き飛ばされた場所で身を起こそうとしていた王柔は、その一部始終を目にしていました。もしも、羽磋が理亜を引き倒すのが間に合わなかったとしたら、彼女はあの恐ろしい竜巻に吹き飛ばされるか、その場に打ち倒されるかしていたに違いありません。
「あ、ありがとう・・・・・・、ございます。羽磋殿」
知らず知らずのうちに、王柔は感謝の言葉を口にしていました。
「おのれ、おのれぇ! やはり、お前らは、仲間だったの
月の砂漠のかぐや姫 第281話
羽磋と王柔には、こちらに向けて駆けてくる理亜の姿が見えました。強風に吹き飛ばされた王柔の事を心配して、彼の名を呼びながら走ってきます。でも、羽磋と王柔に見えたのは、理亜の姿だけではありませんでした。彼女の後ろ側で母を待つ少女の母親が大きく右腕を振り上げている姿も、目に飛び込んできました。またしても母親は、王柔を吹き飛ばした激風を巻き起こそうとしているのです。
「あ、あぶないっ、う、ううっ」
王
月の砂漠のかぐや姫 第280話
その理亜が目にしたのは、自分の方に半ば身体を向けながら首を捻って後ろを振り向いているひょろりと背の高い男が、横から急に吹きこんできた激風によって、まるで全速力で走る馬にでもぶつかったかのように大きく弾き飛ばされるところでした。
もちろん、その弾き飛ばされた男とは、王柔でした。背中の方から自分を追いかけて来た羽磋の悲鳴に似た声に思わず振り向いたところに、全く意識していなかった方向から突風を受けた
月の砂漠のかぐや姫 第279話
「理亜っ!」
母親の発した声から理亜を守ろうとするかのように、王柔の声がゴビの大地の上に響きました。
この地下世界に入った際に、理亜は王柔たちから離れて、自分一人で奥へ進んで行きました。その行動に気が付かずに彼女を見失ってから、王柔は彼女を探すのに必死になっていました。実際のところではそれは何刻も前の出来事ではないのですが、いなくなった理亜を追いかけている間に大きな地震にあったり、青い球体に飲