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くにん
2022年3月26日 20:34
駱駝の声は王柔の制止を振り切って走って逃げだした時と同様に激しく、何かに怯えているかのように震えてもいました。そして、何度も繰り返されるその声は、とても速い勢いで大きくなってきました。さらに、ドドッドドドッと駱駝の脚が地面を蹴る音さえもが、洞窟中に響くようになってきました。「王柔殿、あぶないっ。逃げてっ!」「うわっ、理亜っ!」 青い光の塊の中から茶色の何かが飛び出てきたかと思うと、あ
2022年3月20日 19:55
「ああっ、痛っ」 王柔は悲鳴のような高い声を上げました。駱駝を大人しくさせるために手綱を引っ張っていたのですが、その綱に急に強い力が加わったので指が千切れそうになったのです。反射的に手を開いて綱を離してしまった王柔の元から、駱駝が走って逃げだしました。 グフェェッ! 駱駝は大きな声を上げながら、たまたま自分が向いていた方向である洞窟の奥の方へと走っていきました。 羽磋も王柔も直ぐに
2022年3月12日 23:18
「どうされました、王柔殿」 王柔の声の調子が急に変わったのに驚いた羽磋は、しっかりと体を起こして彼の方を見ました。王柔は川辺で駱駝と理亜とを集めて、何かをしているようです。「王柔殿、何をなされているんですか。何かを探しているとか?」「い、いえ、羽磋殿・・・・・・」 王柔は弱々しい声で答えました。今では彼は自分が何をしてしまったかがわかっていて、それが何か悪いことを引き起こしはしない