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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2022年2月の記事一覧

月の砂漠のかぐや姫 第223話

月の砂漠のかぐや姫 第223話

「羽磋殿、こいつに川の水を飲ませときますね」

「え・・・・・・、は、はい。お願いします」

 まだ目を開ければクラクラとするので、羽磋は顔を上に向けながら片手で目を覆っていました。目を閉じていても目蓋の裏の暗闇自体が回っているように感じられて、羽磋はとても何かを考えられる状態ではありませんでした。そのため、王柔から話しかけられると、深く考えることなく反射的に答えてしまいました。

「ごめんな、秣

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月の砂漠のかぐや姫 第222話

月の砂漠のかぐや姫 第222話

 もしもヤルダンの中に人に害をなすことをたくらむ「悪霊」がいるのであれば、ここにそれがいないとどうして言い切れるのでしょうか。そして、ヤルダンの中には「悪霊」がいると、今では羽磋も考えるようになっているのです。

 羽磋は歩く速度を少し落として、洞窟の奥の方をじっと見つめました。この洞窟の中では明かりと言えば川の水が発する青い光しかありませんから、奥の方は青い光を放つ塊がぼんやりと暗闇の中に浮いて

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月の砂漠のかぐや姫 第221話

月の砂漠のかぐや姫 第221話

「ははぁ。どんなことがあったんですか」

 緩やかに右に曲がっている洞窟の中で、羽磋は駱駝の首を進行方向に向けて引きながら相槌を打ちました。曲がっているところでは地面が少し低くなっているようで、川の水がうっすらと地面を覆っていましたが、羽磋はパシャパシャと水音を立てながらそれを踏み越えていきました。

「いや、ヤルダンには色々な怖い話があるじゃないですか。暗闇から悪霊が現れて影の世界に人を引きずり

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