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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2021年12月の記事一覧

月の砂漠のかぐや姫 第215話

月の砂漠のかぐや姫 第215話

 朝になりました。
 とはいっても、それは太陽が昇ってきて王柔たちの周囲が明るくなったという訳ではありませんでした。地中に広がるこの大空間には太陽の光は入ってきませんし、水面から放たれるほのかな青い光の量にも時間の経過による変化はないからです。そのため、一人で夜の後半の見張りに立っていた王柔が、「そろそろ朝だろう。もう羽磋殿と理亜を起こしてもいいだろう」と決めた時間が、すなわち朝であるということに

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