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実践 言葉の力で行動を変える心理的安全性のつくりかた

「心理的安全性のつくりかた」の社内読書会の体験まとめ第四弾。

前回は、人々の行動は「きっかけ」と「みかえり」によるとして、その「きっかけ」となる言葉をどのようにかけるといいのかという話になった。この4章では言葉に注目している。

そして最終章までやりきったので今回で総まとめとする。

第4章 言葉で高める心理的安全性

この章では行動に簡単なラベルをつけている。「言われた通り行動」から「確かにそうやな行動」へのマインドシフトが大事と感じた。「そんな気してきた行動」となる言葉(本章で重視)のきっかけが必要なのだろう。

このラベリングからも想像がつくように、そんな気がしてきたと思わせる「きっかけ」が必要でそれは言葉だ。感謝やなぜに対する回答の是非は人の行動を変える前段にある。そう本書は問うているようだ。

「確かにそうやな行動」は私がよく言葉にして使う納得度に近いと感じた。確かにそうやなと思ってもらわないと、何を言っても響かない。まずは納得してもらうという「きっかけ」が順番として先に来る。

そんな気がしてきたなーと感じる言葉の投げ方も、はじめからこの状態になることを理想としている。そのズレがあれば今どの状態なのかは行動からハッキリと見えてくるということだろう。そこで観察となる。

1on1や積極的なふりかえりでチーム全体での視点やメンバ一人ずつの視点を借りることで、納得度を高める言葉の掛け合いができるはずだ。

「そんな気がしてきた行動」のハードルの高さ

読書会で私はこの一連の「きっかけ・行動・みかえり」にあたる、みかえりの感じ方で、いつも行動が望む形じゃない場合(嫌子)に工夫するきっかけはあるかという話を提案していろんな話が聞けて興味深かった。

本書例にもあるが、チャレンジ自体をみかえりとして好子となるきっかけの紹介がある。ただ、それでも「そんな気がしてきた行動」のハードルが高いなと話題になった。

特に心理的安全性の中に含まれるであろう発言者の信頼度によって納得度が変わるかもしれないという話には納得。確かにと思ってもらうには発言者と受け取る側との関係性がそもそも大事だ。この件を以下深掘りしてみる。

役割を自覚して言葉を使って行動に影響を与える

親子関係なら、親に〇〇しなさいと言われる子供の立場と考えると、どこまでYesというのかNoと思ってしまうのかはある。ただ、これも本書の言葉で変わるという前提にたてば、言葉次第なのかもしれない。

家族の親子の関係を例に出したように、本書を参考にすると第二章のリーダーシップの使い分けに感じた。どの役割で発言しているのかが伝われば受け取り側も受け取りやすいように思う。

例えば「のびた力」はオーセンティック・リーダーシップと言えるだろう。

信頼関係がデフォルトで構築されやすい家族のような関係であっても、役割によって個々の成長によって感じ方は変化する。自らを変えるなら役割となるスタイルを変えて言葉を変えて好子となる行動を促したい。

また、意義も必要である。トップダウンの立場であればビジョンであり、目標となる。どのつもりで発言していることなのかは、常に文書レベルで立ち返る必要があり、その前提で持って言葉が伝わるのだろう。

この前提があれば、誰が言ったかの依存はある程度回避できそうだ。役割だけでなく組織としてまず動くという前提の言葉がないと、言葉を伝える側がそもそも「そんな気してきた行動」に繋がらないように思う。

第5章 心理的安全性導入アイデア集

最終章は第4章を踏まえて現場の実践のアイデアをまとめている。

心理的安全性の重要さを素直に伝える(P.285)にあるとおりで、心理的安全性を気にしていると伝え続けるがまず大事だと読み取った。あるなしやよしあしではなく、まずそのつもりなんだと伝え続けることが必要だろう。

合理的に考えても組織・チームが快適な状態でいてほしいとは誰ものが望むはずだ。この当たり前の状況を作りたいと願う目線合わせが効果的に思う。なぜするのか?の前提に立つために言葉を交わし続ける必要がある。

その上で感謝だ。ねぎらいの言葉は直接伝え続けることが必要で本書では「理由をつけて感謝する」とある。またその頻度も重要で、さきほどの伝え続けることの根拠にもなる。

ただ「ありがとう」で終わるのではなく、どの点に感謝の言葉を伝えたいのか。FacebookやYouTubeのいいねレベルのリアクションも頻度においては有効だが、合わせ技で直接文書なり言葉なりで「理由」を盛り込みたい。

読書会では、新規歓迎視点で新しくチームに参加した人に、どこまで自由度を与えてどこまで個の心理的安全性を確保するかに話題が集まった。

新規メンバが溶け込むためにはフォロー次第。OJTやオンボーディングで迎える体制でもって、はじめにお互いどのつもりなのかという前提を少しずつ期待値とすりあわせる活動が必要だろう。

ただ、これも多様性のある組織が求められる現代や世界では、やや日本的な活動かもしれない点は頭の片隅に置いておきたい。やりがい・スキル・給料・時間と重視する価値観が今後もより異なってくるからだ。

心理的安全性の確保は継続的に地道に言葉を発すること

まとめとする。本書を通じて心理的安全性の話をしていると、結局地道な活動だと気が付く。言葉を大事にして、その言葉を発し続けることで行動を変容させることが大事だと本書より学んだ。

本を読むことは実践して初めて有効となると思っている身としては、実践に落とし込みやすい言語化となるキーワードを数多く学べて有意義な読書体験だった。読書会のおかげで議論を通じて自分の言葉へと変換できた。

自らが発する言葉でいかようにも状況は変化する。相手の行動を変えたければまず自分からとよくいうが、自分自身への言葉も大事だろう。ガンバレだけじゃ変わらない行動があって、その行動を変える言葉を選択し続けたい。

自らの行動に確かにそうだなと思えた行動がない状態で動いているのであれば、何をしたってうまくいかない。そんな行動はできるだけ減らしたいので、きっかけとなるアプローチを客観視したい。

そうやって、自らの行動変容を認識できるようになって初めて人に言葉を投げかけることができる。改めて客観視は読書会を通じて感じたが人と話をして見えてくるものだ。つまり会話だ。

1on1なら対話となるが、文書だけではないニュアンスも含めて言葉の交わし合いを継続することが、心理的安全性の確保となる。これがリモートワークであればオフィスという場とは違う場の用意が必要だ。

今の時代は言葉を交わし続ける場が必要なのだ。

そう気がついて本書の読書会が終わったところで、新たに社内勉強会が他のチームで開かれていることを聞き参加することになった。

今度の課題図書はリモートワーク下ではどうするかということだ。偶然だが、この読書会の流れにピッタリなテーマ。これも議論を通じて理解を深めていきたいし、気が向いたらここに記録していきたい。


以下今までの読書会よりまとめ。


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