橘暮四

京都の大学生です。小説と日記。

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  • 日記

    毎日書くかもしれないし書かないかもしれない、そんな日記。

最近の記事

失くしたものばかり綺麗に見える

 最悪な夢で目が覚めた。俺は思わず上体を起こす。息は荒く、背中に蝋のような重たい汗が流れるのを感じた。浴衣はほとんどはだけている。視界の先には、窓の向こう、夜が満ちた瀬戸内海が黒く横たわっているのが見えた。俺は呼吸を整える。動悸が収まってようやく、今はサークルの合宿中で、小豆島のホテルの一室に泊まっていることを思い出した。  どうしてよりによって今、あのときの夢を見るんだ。  4年、いやもう4年半前か。あのときのことは、極力思い出さないようにしてきたのに。今更どうしようも

    • 日記 5/2

      日記モチベが比較的高いのと、日記に書く内容があるので書く。もう日記が日記である意義はそんなにない。 今日は珍しく朝早くから起きていたので、8時すぎに大学に行った。せっかくだし学食の朝定食を食べようと思い、食堂で主菜とご飯、味噌汁、副菜2つを取る。これでなんと280円……と思ったら399円だった! え!? ちょっと行かない間に値上がりしすぎだろ。インフレ恐るべし。 そこから11時半までは図書館で勉強していた。今日は幸運なことに個室が空いていた。やっぱり集中できるなぁ。出来れ

      • 日記 4/28

        座椅子に凭れかかりながらいつの間にか寝ていたらしい。朝の日差しにあてられ、座ったままの体勢で目を覚ました。部屋はやけに蒸し暑く、背中に汗が滲んでいる。8時半。10時から四条大宮でバンド練があるから、そんなにゆっくりもしていられない。でもとりあえず、シャワーを浴びることにした。 今日は晴れていたから自転車でスタジオまで向かった。さっぱりした身体で朝の街を行くのは気持ちが良い。ただやけに気温が高かったため(後で聞いたところによると30度あったらしい!)、スタジオに着く頃にはまた

        • 日記 4/19

          今日もフランス語を勉強したり、後輩とのランチの約束に遅刻したり、同期の激アツライブを見に行ったりだとか色々あったんだけど、日記には別のことを書く。これもう日記なのか? 好きなことを好きなように書いている。 今日、何の気なしにスマホのメモを眺めていたらこの文を見つけた。2019年。俺が17歳のときだ。俺は、このメモを見つけたとき、逆にあのときの俺に見つめられているような錯覚をした。じっとりとした目つきで、まるで今の俺を静かに責め立てるような視線で、あのときの俺は今の俺を睨んで

        失くしたものばかり綺麗に見える

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        • 日記
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        記事

          日記 4/18

          最近は日記モチベが比較的高い。目覚まし時計よりは遅く起きて、洗濯と掃除だけ簡単に済ませた。昼前に大学に。昼飯はおにぎりとパンとサラダチキン。その後は図書館で勉強していた。フランス語と論文の準備。自己同一性に関する段を読む。ヒュームって結構面白いこと言ってるんだなぁ。何様って感じだけど。やっぱり同一性の話って面白い。2回生の頃は結構興味持ってたな。レヴィナスに出会う前。今の研究のトピック的に、大学院でまた同一性と向き合わないといけないかもしれない。それにはまず院試に受かれってい

          日記 4/17

          書く気が起きたので書く。今日は学食でカレーとかぼちゃコロッケを食べた後、三条に繰り出した。最近バイト先の塾で高校3年生に倫理を教えはじめたから、丸善に行ってそのための適当なテキストを見繕った。倫理を教えることは俺自身の哲学史の復習にもなって良い。 その後、『オッペンハイマー』の映画を観た。何度かTwitterで話題になっていたのは知っていたけど、昨日サークルの同期が話題に出していたから俺も観てみたくなったのだ。3時間ほどの長尺映画だったが、構成や演出がよく練られていたから飽

          日記 4/17

          日記 4/16

          気が向いたので日記を書く(気が向いたので?)。今日はゆっくり起きて、昼頃大学に向かった。夜から雨が降る予報だったから歩きで。お昼ご飯は学食。マグとろキムチ丼とほうれん草と牛乳。いちおう栄養バランスは気をつけておきたい。 4限のゼミまで図書館で論文を読んだ。博士の先輩が去年出した修論を加筆修正したやつ。やっぱり難しい。分析系っていくところまでいくとほとんど数学だよな。 ゼミの発表を聞いて、その後も2時間くらい図書館で勉強していた。まずフランス語。そのあと論文のために資料を読

          日記 4/16

          日記 4/11

          朝からバンド練があった。楽器を背負いながら、大学に向かう人波に逆らって進むとどうも人目につく。彼ら彼女らには俺が放蕩者に見えている。 練習終わりにみんなで学食を食べて、帰りしなに本を一冊見繕った。桜庭一樹の『私の男』。また読もうと思う。 下宿に帰ると急に眠気が襲ってきて、30分ほど仮眠した。そして起きるままにバイトに向かう。生徒たちは新生活に向けて目を輝かせている。一方俺は目の前の論文や院試に追われ、目は日を追うに暗く澱んでいく。 帰ってからフランス語の勉強をした。これ

          日記 4/10

          最悪な夢を見て、死にたくなって、午前中はまともに動けなかったけど、午後からは結構進捗を産めたように思う。論文の準備、フランス語の勉強、哲学史の勉強。ベースの練習もできた。少しずつやっていきたい。 化粧水を買って、はじめて使ってみた。肌が常よりもちっとしている。 安いワインを買って寝酒として飲む。値段にしては悪くないと思う。 死なないように明日もどうにか生きていきたい。

          日記 4/10

          夢 4/8

          暗闇の中、ひとり歩いている。きちんと前に進めているのかは分からないけれど、今更引き返すわけにもいかないので、前に進んでいることにする。足首より下が水に浸かっている。足を運ぶたびにぴちゃぴちゃと水音が立つ。 下宿のベッドに座っている。視線を回すと、部屋の至る所に虫が蠢いていることに気づく。小さいカメムシのようなものや、脚の異様に長いものなどが我が物顔で居座っている。下を向くと、自分の両脚に小さな虫が大量にひっついている。トコジラミだ、と思う。叫びながら外に飛び出し、それらを払

          小豆島合宿!(3/28〜29)

          一昨日と昨日にかけて、俺の所属する創作サークルで小豆島合宿があった。今回は日記としてそれについて書こうと思う。 京都駅から始まった合宿は、早々トラブルが発生した。今回の旅程では往復共にJRを使って京都〜姫路間を移動するので、当日の朝に学割きっぷを入手しておく算段だった。しかし京都駅の予想以上の混雑にきっぷの購入が遅れてしまい、予定の電車を乗り遅れてしまった! 春休みの京都、恐るべし。結局一本次の電車に乗っていったけど、後のスケジュールがややキツくなってしまった。 電車内では

          小豆島合宿!(3/28〜29)

          コラム:ヨルシカの言葉遊び(漢字編)

          漢字編と言っているけれど、このシリーズが続くかはわかりません。 日記に書くことがないので、今日もコラムを書く。日記を毎日書かないのってあんまり意味ないよなぁと思いつつ、コラム書いてる方が楽しいし。とりあえず、文章を書くこと自体が重要なのだということにして。 ヨルシカというアーティストは、歌詞に巧みな工夫が施されていることで有名である。1番と2番で助詞をひとつだけ変えることで大きな意味の違いを持たせたり、同じ音をひらがなと漢字で表現し分けることで別のニュアンスを表したり、文

          コラム:ヨルシカの言葉遊び(漢字編)

          コラム:小説における本歌取りについて

          一昨日と昨日、日記をサボってしまったので、代わりにコラムを書く。日記を書こうという意志はあったんだけどな。実家でだらだらしてると書くことがない。そしてこれを書いている今は京都に帰る新幹線の中である。名古屋—京都間の35分くらいで書き終わる分量でささっと書こうと思う。 俺は近代詩や俳句、和歌が好きだ。梁塵秘抄に載っている今様にハマった時期もあったから、いわゆる「詩」と呼ばれるものなら何でも好きになるんだろう。 俺は、それらの詩に溢れ出る孤独を愛している。萩原朔太郎が言ってい

          コラム:小説における本歌取りについて

          日記 3/22

          結局1時間半ほど仮眠して、朝8時には下宿を出た。京都駅から草津、米原、大垣を経由して、2時間半ほどで名古屋に到着。学割を使ったら2100円しかかからなかった! やっぱり時間があるときは在来線で帰省するに限る。 電車に乗っている間は、この前買った『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んでいた。いやぁ、なかなか好みの小説だったな。辛い、理不尽な現実の中で、それぞれの哲学(こういった使い方をするのはいささか躊躇われるけれど)を拙いながら作っていき、荒波を乗り越えようとする少女たちの

          日記 3/22

          日記 3/21

          昨晩、高校の球技大会の夢を見たから、その日のことを思い出した。一年生の頃だ。初夏の日差しの中、俺は何故かサッカーのゴールキーパーをやることになった。もちろん素質があるからとかではない(俺は言わずもがな運動音痴である)。ジャンケンで負けたからだ。それだから、クラスのみんなもそんなに期待していなかった。 しかし俺は試合の中で、いくらかスーパーセーブと呼ばれるようなものを披露した。隠れた才能のおかげではたぶんなく、単純にビギナーズラックだろう。強いて言うなら、当時俺はやけにすばしっ

          日記 3/21

          日記 3/20

          一週間くらい日記をサボってしまっていた……。やっぱり一度習慣が崩れちゃうと駄目だな。少しずつでもいいから取り戻していきたい。 今日は比較的ゆっくり眠っていた。昨日が小説の締切で疲れてたからかな。今回書いた小説は高校生の頃書いたもののリライトで、書いていて楽しかった。技術的にはあの頃よりも上達しているけど、あの頃にしかない熱量みたいなものも確かにあった。あのとき、高校二年生のとき。俺は漠然と、高校を逃げ出して海を見に行きたかった。自分を取り囲む薄暗いものから解き放たれたかった

          日記 3/20