逆さまのプレゼント12話
つながり
走っている時にタイムを計測された。何秒で走りたいとの思いがあった。
リレーの時は、スローモーションで周りが見える。応援するハチマキやタオルが回る。そしてスタートと同時に応援とお願いと願う姿に、時間を貴重な物に感じた。
ストップウォッチで計測したら、きっともう終わっていて、皆、着替え終わっていて、汚れた体操服、靴、ハチマキやバトンが、ゴールの行方をわからなくしている。
高齢者が万歩計を使って日々運動する。でも、もう運動したくないと話す、そのことよりも、きっと、コーヒーを一緒に飲みに行く。気分転換する。そして今日の晩御飯の野菜はしっかり食べてくれた。その一歩の方が重要なんだ。
福祉もそう、利用者の支援でなかなか成果や結果とか求めても出ない。それより、自分なりにその人やいろいろ一生懸命に考えて、一歩ずつ歩んで、気づいたらそこまで歩いてたことが大切。その距離が成果だったりします。
タケル、スローモーションってすごく大切な気がする。そりゃあ日頃スローモーションじゃ仕事にならないよ。
きっと、いろいろな繋がりの中で僕ら生きている。それが深い繋がりから仕事の繋がり、利用者との繋がりもある。
会話のキャッチボールもすごく大切。雑談は楽しいよ。
だけど、スローモーションも大切にしないと、その人がどんな気持ちなのか、どんなことで悩んでいるのか、どんなことで喜んでいるのか。
言葉というバトンを受け取って、それを渡す時に、それらをあの日のリレーの応援のような、一つ一つをじっくり考えるからこそ、バトンを次に繋げると思う。
だから、タケル、楽しいからって話しまくるわけではなく、何も話さない時もあっても良い。その人達の楽しい姿を見てごらん。きっと大切にしなきゃって思うと思うよ。
社会福祉士になっていくなら、そういうスローモーションを大切に、人との繋がりを大切にしていかないといけない。
時間とか忙しさに、人との繋がりをだめにしたらあかんよ。
スタートも、周りに応援されている人もいて、ゴールも大切な人がいることを忘れたらいかんよ
それが支援職の行く末であってほしい。