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subrosa
2019年5月30日 21:26
「おぢさま、おぢさま!!どこにいらっしゃるの??」 「あ、君か。また騒々しいな、私はここだよ。」 「ふぅ、また寝てらしたのね。あら、なにか臭うわね。心気臭い年寄りが寝てばかりでは、ますます気鬱が激しくなるわよ。あたくしまで気が滅入るわ。」 「またそんな来て早々、どうして君はその口で憎まれ口ばかりきくのかな。」 「だっておぢさま…ごめんなさい。でも、だって、おぢさま、疲れちゃったの。」 「
2019年5月30日 21:22
「ただいま…」 「………」 「おいおい、まだ拗ねてるのかい?機嫌なおしてくれよ。」 「ふん。知らないわ。」 「もうここには女を連れてこないからさ。」 「本当に?若さん、あの女はないわよ。40近いっていうのにピンクなんか着て、おまけに香水の匂いが強すぎてあたしの水槽の水まで濁っちゃいそうな勢い。シミや黒子だってチークでごまかしたってあたしという金魚の目はごまかせないわ。可愛くしてれば愛され
2019年5月28日 09:33
朝起きたらテーブルの上に書き置きがあった。『俺を捨てるなんて冗談じゃない。悪いけど、しばらく旅に出る。探すなよ。 泣きぼくろ』それは、まるで小学生低学年あたりの男児のような下手くそな文字で。な…泣きぼくろ?!はあ?!ええええええ!!!!!鏡を覗き込んだら、私の右目のそばにあった泣きぼくろがないっ!!どっ、どうしてええええ!!!たしかにとろうとは思ったわよ?小さい頃か
2019年5月27日 10:28
あたしは今、男の左腕と暮らしている。 どうやらあたしだけに見えて、他の誰にも見えないらしい。 太く無骨ではあるけど、若く男らしい腕だ。 剥き出しの男の腕は、恋しさ愛しさを募らせる厄介な部位ではあるが、まだまだ朝晩の冷え込みは厳しい。あたしは叔父の形見の、叔父が好んで袖をとおした嵐絞りの浴衣をほどき、袖付けの部分を縫い合わせ袋状にし、男の腕を袖口にとおしてみた。 腕もおさまりがよいのか、静か
2019年5月27日 08:30
嵐が過ぎ去った翌日、庭に男の腕が落ちていた。左腕だ。 実を言うと、男の腕を拾うのはこれで二人目。どうやら変な能力が私にはあるらしい。 最初、芝の上に落ちてる腕をみつけた時は死んでるのかと思ったが、傷だらけの二の腕をさすると、男はびっくりしたのか飛びついて、私の二の腕をギュッと掴んだ。 私は、傷だらけの腕の力に小さく悲鳴をあげ「大丈夫よ、痛いから離して。」そう腕に声かけた。腕は自分がただの左腕