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映画 アンネ・フランクと旅する日記

アンネが空想の友達キティーに宛てたアンネの日記。

ある嵐の夜、日記から飛び出したキティー。

そこにアンネの姿はない。

キティーは過去と現代を旅する、アンネの軌跡を探して。

ナチスによるユダヤ人犠牲者は600万人に上る。

戦争は今もなくならない。

第2次世界大戦下にユダヤ人の少女アンネ・フランクが空想の友だち宛てに綴った

“アンネの日記”

出版から75年(2022年6月25日で75周年を迎えた)、優しさが時をこえた瞬間、奇跡が起きる。

監督、脚本はイスラエルのアリ・フォルマン、アニメーション監督をヨニ・グッドマンが担当。

この作品を観賞後

“すべてが愛おしい”

優しい気持ち、希望でいっぱいに満たされてしまう。

はじまりは現代のオランダ、アムステルダム。

激しい嵐の夜、博物館に保管されているアンネの日記の文字が動き出し、キティーが姿を現す。

日記を開くと過去、親友アンネと過ごした日々へ。

しかし日記から手を離すとキティは現代に解き放たれてしまう。

キティは現代のアムステルダムでアンネを探す。

図書館など街のいたるところにアンネの名前が。

みんなアンネのことを知っている、けど、何があったかは誰も話さない。

目を背けてしまう。

キティは過去と現代を旅する。

“不思議だわ。
これほど人間の邪悪な面を見てきても、今なお心の奥底で私は信じてる。
人間の本質は“善”なのだと”

どれだけ苦しい状況でも、人間の善の心、優しさを信じてしまう不思議。

映画が大好きなアンネ。

憧れの俳優はクラーク・ゲーブル、彼との結婚が夢。

“映画館への立ち入り禁止がなにより辛いわ”

禁止されること、迫害、弾圧は日々、強まっていく。

“お前の空想や美しい想像力はどんな薬よりも効くはず”

空想、誰よりも美しい想像力を武器に恐怖と戦ったアンネ。

キティーの存在はアンネにとって心の支えであり、理想の姿。

アンネにとってキティはとにかく愛おしい存在。

“何が見える?”

“連合軍だよ、僕たちを解放しに来る”
“君は?”

“天使たちよ”

キティは凍った川を滑り、列車に乗り、アンネを探して旅を続ける。

“アンネの夢は叶ったんだよ、世界で最も若く著名な作家だ。
君は語り続けなくては、いい部分も、悪い部分も”

“私はここにいる”

キティの目に映った世界の姿とは…。

第二次世界大戦での死者は5000万〜8000万人、世界の人口の2.5%以上といわれている。

ナチス・ドイツによるユダヤ人への迫害。

ホロコーストでは150万人もの子供たちが犠牲になった。

ナチスには戦争を続けるため、自分たちを守るために民衆の仮想の敵、憎しみを向ける相手が必要だった。

これはいじめの原理と同じ。

少数派、自分たちより弱い人間なら誰でも良かったのだ。

飢えに苦しみ、灯りを消して息を殺して暮らす。

この生活がいつまで続くのか、先が見えない。

アンネは多感な思春期の少女だ、怖かっただろう。

その気持ちを思うと苦しくなる。

あと少し、あと少し運命が違ったなら…。

過酷な日常のなかで母と気持ちがすれ違うこともあった。

列車のなかでアンネは母との絆を再確認し、強めた。

世界には今も700万人もの難民がいる。

戦争、紛争はなくならない。

人は戦争を繰り返し、間違いを犯し、そのたびに悲しみ、虚しさを知る。

だが時が経てばすぐに忘れて、みずからの欲望を剥きだしにして悲劇を繰り返す。

大事なのは日記を読む多くの子供たちに伝わるメッセージ。

“たった1人の命を救うために全力を尽くすべき”

この言葉が未来を紡いでいく沢山の子供たちに届くことを願う。


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