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16歳の私は彼女に恋をした|第4話|前編

昨日、彼氏と別れちゃった──

彼との関係が終えたことを彼女に伝えた。

彼女は大きく息を吞んで、目を見開いて私を見た。

「他に好きな人でもいたの…?」
「私に魅力が足りなかったみたい」

そう言って誤魔化すことしかできなかった。

"彼女のことが好きだから"

そんなことは絶対に言えなかった。

それから彼女は放課後に私を誘い出してくれるようになった。

まるで失恋で傷心した私を慰めようとしてくれているようだった。

私たちは週に2、3度いつものカフェでお喋りして帰る。

以前のように彼女と過ごす時間が増えるにつれて
心が満たされていくのを感じた。

「いよいよ来週は勉強合宿だね」

私はあまり乗り気ではなかった。

旅館を貸し切って2日間にわたり集中講義が行われる。
勉強漬けになってしまいかなり気力のいる行事だった。

唯一、夕食会と温泉付きで旅行気分を味わえることが楽しみだった。



勉強合宿当日

8時間に及ぶ集中講義が終わった。

「お疲れさまー!」

豪華な懐石料理を前にクラスメイトとオレンジジュースで乾杯した。
講義中にお腹を鳴らすほど空かせていた私はつい食べ過ぎてしまった。

夕食を終えた生徒たちから続々と温泉施設に向かっている。
私も浴衣に着替えて彼女と一緒に向かった。

「温泉たのしみだね」

彼女は嬉しそうにはしゃいでいる。
制服姿よりどこか幼く見える彼女が愛おしかった。


脱衣場は混み合っていた。
彼女と隣り合うロッカーを見つけられず離れた場所で着替える。

私は一糸も纏わぬ姿で彼女のもとに向かった。

彼女を見るなり目のやり場に困って思わず下を向く。
だけど我慢できずに視線を戻す。

彼女の素裸は紛れもなく"至高"だった。

抑えきれない欲情と湯温の熱で意識が朦朧としていた。
長湯したら気を失いそうで先に引き上げてしまった。

動悸がおさまらず立ちくらみしている。

私の目には彼女の身体の曲線が鮮明に焼きついていた。

私は1人で宿泊部屋に戻ることにした。

部屋には誰もいない。
4人部屋で私と彼女以外にクラスメイトが2人寝泊まりする。

私は部屋の1番奥に敷かれた布団で横になっていた。
冷たい水を口にして落ち着きを取り戻そうとする。

しばらくすると部屋の扉が開く音がした。
彼女が戻ってきた。

「1日中勉強したから頭が疲れちゃったね」

彼女は心配そうに私を見つめている。

「一緒に寝転んでいい?」

彼女はそう言って私の布団に入り込んできた。
あまりの不意打ちに私は驚きを隠せなかった。


すると彼女は掛け布団を枕の上まですっぽりと覆い被せた。


これより先、同性での性的表現(官能、エロ)がございます。苦手な方はお読みになるのをご遠慮ください。


顔を近づけて彼女と見つめ合っている。

彼女はそっと目を閉じて私にせがむ。

唇を重ねずにはいられなかった。

綿菓子のように甘くて柔らかい
吸いついて離れない
気持ちいい、もっと…して

異性とするそれでは感じ得ない興奮だった。

身体中が痺れて、視界は乱れ息が上がる。

薄目を開くと彼女の恍惚な表情が見えた。
彼女の口から伝う液が枕を濡らしている。

彼女の首元から浴衣の中に手を滑り込ませた。
柔らかな膨らみを外側からゆっくりと包んで握り締める。

私は唇を彼女の首筋から下へと這わせていく。
彼女の吐息が耳にかかり私の背筋に刺激が流れた。

私の舌は彼女の膨らみの1番高い所に触れる。
薄桃色のふちを何度も舌でなぞると
彼女は身体を震わせていた。

獲物を捕えるように彼女の乳嘴を口に含んで
吸盤のように離さなかった。
身体を反らせる彼女の手首を掴んで執拗に弄ぶ。

彼女は部屋中に声を響かせていた。

私の理性を本能が覆い尽くしてしまう──

私は16歳にして本物の快楽を知ってしまった。



「しーっ。誰か来ちゃう」

部屋の外から話し声が聞こえた。
彼女は慌てて布団から起き上がり素早く身なりを整える。

部屋の扉が開いた。

彼女は平然を装ってクラスメイトと話している。
私はそのまま布団に潜り込んで寝たふりをしていた。

その晩、私は一睡もできなかった。

あれはお風呂でのぼせてしまった私がみた夢かもしれない。

にわかに起きた出来事が信じられなかった。

はだけてしまった浴衣
外されたインナーのホック
湿らせた下着
耳元に残る彼女の吐息と、嬌声


夢か現か……

思い出すだけで昇天しそうだった。


これはすべて
16歳の私と彼女の"現実"のお話。




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