ミニマリストと実家の部屋
それは、実家で暮らしていた頃の話。
ミニマリズムを暮らしに取り入れ、その余白と身軽さに心地よさを感じている自分が、過去の自分の集積と対峙した話です。
とある連休の初日。「せっかくの休み。読書や映画、英語の勉強、おでかけと有意義に使うぞ~」とるんるんしていたのも束の間。ふと、こどもの頃の部屋(現在は家族全員の物置部屋と化した)を片付けたいという衝動に駆られました。
ミニマリストにとって、部屋の片付けはお金をかけず楽しめる一種の遊びです。自分の居住空間は全て整えてしまった(と思っている)私にとって、これは捨て置けません。なぜなら、片付ける遊び場を見つけたというだけでなく、ストレス発散という面もあったのですから。
ミニマリストとは身の回りを削りに削って暮らす生き物で、家の中には必要最低限のものしか置きません。しかしそれは、一人で暮らしている場合の話です。実家で暮らしている、つまり誰かと同居しているということは、必要最低限のボーダーラインは緩むものです。同居人が普通の感覚の持ち主であれば、そもそも家の中のものに制限をつけませんから、ミニマリストからするとリビングや玄関などの共有スペースは雑然としがち。その頃の私は、「家の中が散らかっている。片付けたい。でも勝手にはいじれない・・・」と、ミニマリストみんなが苦しむ問題に直面し、ストレスを抱えていました。
特に実家は、自分が生まれるはるか前から両親が暮らしてきた場所。素敵な表現を探せば「歴史が刻まれた空間」、悪く言えば「ホコリやものが堆積した場所」とも表現できます。
今回は、みなさんが見て見ぬふりをして放置しがちでおなじみの、実家の部屋の片付けにまつわる体験を書いていこうと思います。無心に手を動かしていく中で気付いたこと、利用して便利だったサービスなどについてまとめていきます。
「溜まりに溜まった物量を直視するのが怖くて実家を片付けられない」という方や、「不要品の処分方法が分からない」とお悩みの方。そんな、断捨離、片付けをやりたいけれど出来ない人々の背中をほんのり押せる、そんな情報を共有していきます。
結論から述べますと、片付けは自己肯定感を上げてくれます。そしてBOOK OFFの出張買取は便利です。さて、詳しく見ていきましょう。
片付けないのは借金と同じ
私は当時、子ども部屋を卒業し、祖母が使っていた部屋で暮らしていました。子ども部屋を出てからミニマリズムと出会い、自分の生活圏、つまり祖母の部屋だけを徐々に整えていきました。逆に言うと、それ以外は手を付けませんでした。実家なので、家族との共有空間は不可侵領域なのです。
そして私がいなくなった子ども部屋はどうなったかというと、戸棚には私の使っていないもの(捨てられないおもちゃ、昔読んでいた書籍、大学時代の教材など)が押し込まれ、床には家族の持ち物が無造作に置かれた状態に。ミニマリストを名乗っているけれど、蓋を開けてみれば『ものに溢れた暮らし』をしていました。子ども部屋が家族の共有空間になっていたこと、「いつか使うかも」という考えに毒されていたこと、今の私の生活圏外であったことから、子ども部屋はずっと放置されていたのです。
このままずっと忘れていられればよかったのかもしれません。しかし、私は定期的に「あの部屋も片付けなくちゃなぁ」ともやもやする一方で、父は自分の本棚に収まらない小説を子ども部屋の床に積んでいくのです・・・。いつからか、収納ケースを買っては本を積み、本が溢れればまたケースを買い足しと、老舗秘伝のかば焼きのタレのようなことになっていました。定期的に子ども部屋の換気をと窓を開けに行くのですが、障害物が多くて窓まで歩きにくいことこの上なし。ちょっとしたアトラクションのようになっていました。
ミニマリストの私にとっては、ものが溢れ雑然とした空間が家にあることはストレスでした。父はお金を払ってまで収納スペースを拡張し続け、結果生活しづらい環境をこしらえていました。この現状、いかにも『汚部屋』といった雰囲気です。
こども部屋が片付いていないことで、精神的・金銭的・物理的にマイナスとなっているこの状況は、借金しているのと一緒だと、片付け終わってから実感しました。散らかりすぎて部屋としては使えず、倉庫としても整頓されておらず使いにくい。部屋1つがデッドスペースと化しているのは、とてももったいない。部屋1つ使っていないだけなら「0ではあってもマイナスではない」と考えていましたが、実際にはストレスを生み、余計な支出を増やし、暮らす上で余計な労力がかかっていたので、充分に不利益を生んでいるといえる状況でした。
たくさんの部屋がある一軒家では想像しづらいかもしれませんが、1LDKの賃貸で想像してみると、使っていない部屋に延々とお金をはらっていることになるのですから、ぞっとしませんか?
※著名なミニマリストしぶさんが同じことをおっしゃっていたのを拝見した気がしますが、実際に自分が手を動かし実感しなければ理解できなかった昭和なアナログ人間な私・・・。みなさんは是非、同じ轍は踏まないようにお過ごしください。
手放すにもお金はかかる
今回の断捨離で手放すものがこちら。
いやー楽しかったです。とっておいた昔の資料を捨てたり、当時気に入っていたライトノベルを手放す決断をしたり、とっておきたいおもちゃを選別したり。ものを手放す、特に一度に大量に断捨離するのは快感です。
そして、問題になるのが重量と家電です。重いから売りに行くのが面倒だったり、捨てると逆にお金がかかったり。ものは購入する時にお金がかかりますし、所有している間は収納スペースや管理などの維持コスト(金銭的なものだけではなく、時間や労力、場所など)がかかることは先ほど述べた通りですが、さらに手放す時にも労力やお金がかかるのです。これらの要素が、片付けに着手しようとする我々を邪魔していたのだと、不要なものの山を前にしてひしひしと感じます。
さて、これをどう片付けようか。
学生時代、要らなくなった大量の漫画を売りに行ったことがあります。あまりに重いので親の車を借りて古本屋に着きましたが、なんと駐車場がありません。仕方なく近くのコインパーキングに車を停めてお店に向かいました。その結果、買い取ってもらった本の総額より駐車料金が高くついた、なんてお馬鹿なエピソードがある私ですから、大量の不要品の処分は慎重にいかねばなりません。
しかし私は情報社会に生きておりますれば、この問題の解決策もグーグル検索で入手いたしました。自宅まで取りに来てくれる買取サービスを使えば、どれだけ大量で重たいものの処分でもへっちゃらです。
私は今回、BOOK OFFの宅配買取サービスを利用しました。ネットで申し込んだ後、スタッフさんから一度電話があり、買取希望品の概要について尋ねられ、今回買い取れないもの(ブラウン管TV、長すぎる模型)について教えてもらえたのが助かりました。用意すべきもの(住所が記載された身分証、銀行口座情報が分かるもの)も事前に教えてもらえたので、集荷に来てもらった時もスムーズに引き渡し作業を進めることが出来ました。
買い取りができない家電などに関しては、いろいろ調べましたがお金も手間もかからない処分方法は見つかりませんでした。今回は、所有することのコストを鑑み、お金を払って処分することにします…。不法投棄したくなる人の気持ち、承認はしませんが理解できます。
※手間を惜しまない方なら、ジモティやメルカリなど、ネットの海で気長に欲しがる人を探す方法もいいかもしれません。
嬉しい副産物
今回の断捨離の目的は、部屋を片付いた状態にすること、そしてもやもやした心を整えることでした。
その目的は無事達成することができたといえるでしょう。収納スペースの半分以上が空いたことで、これまで仕舞われずほこりを被っていた家族のもの全てを収納することができました。床に鎮座していたプラスチックの収納ケースもいなくなりお部屋はすっきり。放置していたタスクをこなしたことで気持ちもすっきりしました。
そして、当たり前なことかもしれませんが、片付けで積みあがった山がなくなり、部屋は綺麗になったことで、達成感がふつふつと湧いてきました。「私はミニマリストなんだから、片付いているのが普通で、片付けたくらいで喜んでいられない」と考えていたので、この達成感は嬉しい誤算でした。
この時ふと感じたのですが、みなさんは普段暮らしていて達成感を感じることってありますか?
朝ちゃんと起きるのも偉いし、顔を洗うのも偉い。仕事に遅刻することなく一日中働くことも、帰って夕飯を作ることも、お風呂に入るのも決めた時間に寝るのも、全部すごいことです。しかし、いちいち達成感を感じることもなければ、自分を褒めることもあまりないという人が多いのではないでしょうか。
そんな生活の中にあって、お片付けはただ楽しいだけじゃなく、達成感を感じられる貴重な場でもあるのです。もっとしっかり自分を褒め、慈しんでいかないと、なんて気付きまで得てしまいました。断捨離って素晴らしい。
結び
ものを取り出しにくい場所に押し込んだり、積み重なったものが重くて出せなくなるというのは、収納スペースを有効利用しているように見えて、未来の自分に宛てた手間、負債です。そんな気づきから学んだことは、片付けで大切なのは捨てることではなく、日々の暮らしを整え、それをこつこつ積み重ねていくことです。
わたしはミニマリストになってから、整えるもの自体が少なくなったので比較的簡単に暮らせています。ぜひこれから暮らしを整えていきたいという方は、ミニマリズムを取り入れてみてはいかがでしょうか。
皆さんの暮らしが、一層素敵なものになりますように。
おわり
この記事が参加している募集
もしサポートしたいと感じていただけたなら、これ以上に嬉しいことはございません。いただいたご支援は、より良い文章を執筆できる環境作り、および学びに充てさせていただきます。