見出し画像

ゲイ・カップルに育てられた私が、子どもには父と母が必要だと思うわけ

世界では多くの子どもたちがLGBT家庭で育てられています。「子どもは愛情深く育てられれば、親の性別は気にしない」と言われていますが、それは本当なのでしょうか?

子ども時代に家庭内不和を経験した人々の声に耳を傾け、家庭の大切さを啓発するNPO 、「Them Before Us(="大人の私たちよりも子どもたちを優先に")」 のサイトに掲載されたサマンサの記事をご紹介します(以下、和訳。リンクは文末)。

***

サマンサ・ウィーズィング
2020年1月29日

養子縁組の「不公平」

テネシー州の議員たちは現在、多くの非難を浴びています。彼らが支持する議案によって、養子縁組機関がLGBTQ応募者を「差別する」のをゆるすことになる、と言われているのです。一見すると、これは確かに不当なことのように見えます。私たちは皆、同性愛者の友人を知っているし、彼らを愛しているし、彼らは公平に扱われるべきだと思っています。しかし、この議案が「不公平」に聞こえるのは、大人の視点から養子縁組を見た場合のみです。子どもの視点から見れば、母親と父親の両方がいる家庭が優先されることは理にかなっているだけでなく、非常に重要なことです。

私は生まれてから8年間、父とそのパートナーのゲイの男性に育てられました。私の幼少期は、女性との接点がほとんどありませんでした。学校で『The Land Before Time (邦題:リトルフット)』のアニメを見るまで、私は母親というものがこの世に存在することすら知りませんでした。5歳の私の頭では、なぜ私に母親がいないのか理解できず、母親というものを切望するようになりました。喪失感を感じました。心に穴が空いているかのように感じたのです。成長するにつれ、私は叔母や父のレズビアンの友人たち、女性の先生たちでその穴を埋めようとしました。小学1年生のとき、先生に「お母さんと呼んでもいいですか」と聞いたことを覚えています。私に少しでも愛情を示してくれる女性には誰にでもその質問をしました。それは本能的なものでした。私は、2人のゲイの父親に愛されてはいても、母親の愛を求めていたのです。

子育てには親の性別は重要

それはなぜでしょうか? 子育てには親の性別は重要だからです。子育てに性別が重要だということは、養子縁組の際にも、親の性別には意味があるということです。私は個人的にも、母親がいない家庭がもたらす痛みを経験しました。私には、「母親不在」の家庭を支持する法律や制度を支持することはできません。多くの社会学者が、父親の家庭不在は社会の害悪であると認めています。そうであるなら、母親及び父親の愛情を子どもから意図的に奪うことが、なぜ良いことだと言えるのでしょうか。

この議案について議論するには、まず養子縁組は誰のためのものであるかを明確にする必要があります。養子縁組では、子ども自身がクライアントです。養子縁組は、子どもを欲しがる大人たちに子どもを与える制度ではありません。養子縁組は、親を失った子どもたちに最良の家庭を見つけるためのものです。養子縁組が正しくなされれば、すべての子どもが愛ある家庭に入ることができますが、逆に、子どもを欲しがっているすべての大人が子どもを得られるわけではありません。

次に、子どもにとって、養子縁組は「喪失」から始まることを認識しなければなりません。たとえ出生時に養父母のもとに預けられたとしても、養子は実父母から引き離されたトラウマに悩まされます。知り合いに養子が何人もいて、養子当人である私が言えることは、この喪失は子どもたちに生涯にわたって影響を与えるトラウマであるということです。養子縁組機関の仕事は、子どもの喪失感やトラウマを軽減するために最も適した家族を見つけることです。そのためには、夫婦の経済状況、身辺調査、子どもの特別なニーズに応える準備ができているか、人間関係が安定しているかなど、さまざまな要素を考慮しなければなりません。そして間違いなく、父親と母親の存在は、すべての養子縁組機関の確認項目に含まれるべきものです。

男性は母親になれないし、女性は父親になれない

今から私が言うことが多くの人に不評なのは分かっていますが、それでもこれは真実です。男性は母親にはなれないし、女性は父親にはなれません。子どもには両方が必要なのです。母親になることと父親になることのハッキリとした違いからも分かるように、男性と女性が子どもに与える利点には独自性と補完性があります。遊び方、話し方、しつけ方、社会に出るための準備の仕方など。男性と女性の両方による子育ては、子どもの発達を最大限に促します。子どもたちが母性や父性の愛を受けられる家庭を認め、優先しようとするテネシー州は、悪者扱いされるべきではなく、賞賛されるべきです。

私は、ゲイカップルは子どもを愛せない、うまく育てられないと言っているわけではありません。私は父とそのパートナーを深く愛していますし、素晴らしい関係を築いています。子どものニーズに合わせたり、養父母がなかなか見つからなかったりする状況を考慮した際に、父親が2人、母親が2人いる家庭に子どもが置かれることが時には最適な場合もあることは認めます。しかし、両親の生物学的な性別には意味がないという主張は、現実ではなくイデオロギーに基づいています。

また、結婚している男女だからといって、彼らが自動的に養子縁組をできる資格があると言っているわけではありません。異性愛者のカップルでも、多くが養子縁組の資格を得られるわけではありません。ゲイでもストレート(異性愛者)でも、大人には「養子をもらう権利」はありません。むしろ、親を失くした子どもたちに「養子になる権利」があるのです。そして可能な限り、子どもたちは父親と母親がいる家庭に養子として迎え入れられるべきなのです。


記事へのリンク: I was raised by 2 gay men. I still think children deserve to be adopted into a home with a mother and a father - Samantha Wiessing


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?