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島唯一の高校でプログラミング教室を実施した話

バレットグループCOCODEMO江田島ラボの定木(さだき)です。

これまで小学生向けプログラミング教室を開催してきましたが、先月7月19日に島唯一の高校、大柿高校で高校生向けプログラミング教室を開催しました。

過去の活動を振り返りながら、小学生と高校生へ向けたプログラミング教室のあり方について感じていることをまとめます。

◆子どもから大人までプログラミングを視覚的に学べるScratch

プログラミング教室では「Scratch」という、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボで開発されたビジュアルプログラミングソフトを使用しています。

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「→ボタンが押されたら5歩動かす」というようにブロック(命令)を連結させてプログラムを作成していきます。

このソフトは命令を日本語で書けるほか、多くのキャラクターや背景画像が準備されているため、プログラムを学ぶ初期のハードルを下げることができます。

プログラミングを学ぶとき、多くの人が挫折するポイントは環境の準備です。ソフトをインストールすること、環境によって設定を変更することなど、実際のプログラムを動かすまでに多くのプロセス・時間を消費します。プログラミング教室では「体験」してもらうことを重視しているため、このScratchを教材としています。

◆小学生と高校生で異なる反応

これまで、小学生を対象にScratchを使用してプログラミング教室を行いました。今回と同じようにスライドに沿ってブロックを配置すればキャラクターが動くゲームを作ったのですが、小学生と高校生では異なる反応がありました。

小学生は自分の選んだキャラクターが動くことが楽しく、ゲームに夢中になっていました。一方で高校生はある程度操作を覚えたら「この処理を加えたらどうなるか」あるいは「このように動かしたいがどうすれば出来るか」など、各自でアレンジを加えて楽しんでいました。

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高校生に対してプログラミング教室を行ったのは初の試みだったので、この反応は意外でした。カリキュラムに沿って何かを作らせるのではなく、きっかけを与えることに重点をおいたカリキュラムの方が適しているのではないかと感じています。指示・指導をするティーチングよりも、相手の自主性を尊重することで、こちらが思っても見なかった答えを引き出せる可能性があるコーチングの姿勢をもっと取り入れるべきでした。

◆ビジュアルの世界から記述の世界へ

高校生のプログラミング教室ではScratchの他にも「paiza」を使用して実際のプログラムコードを体験していただきました。paizaにはブラウザ上でプログラムを記述して実行できる環境があります。paizaを用いることで、環境の準備に時間を取られることなく、プログラムを体験することができます。

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ビジュアルでプログラムを表現するScratchを体験した上で、実際のプログラム言語の記述を学べば、苦手意識を払拭し、より具体的なイメージを抱きながら授業を進めることができると考えました。

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最初にプログラムを学ぶとき、地味な出力結果に向き合うことは正直ツラいと感じています。しかし、Scratchに触れておくことで「システムの裏側ではこのような処理が行われているんだ!」と脳内で変換できるようになり、理解が捗るはずです。

終了時のアンケートに

「プログラミングと聞いて難しそうなイメージがあったが、英語や数学を応用しているもので、基本を覚えたら自分でもできそうだと感じた」

といただいたことは、まさに狙い通りの反応で非常に嬉しかったです。

◆プログラミング教室を通じて、可能性を広げたい

今回の高校生向けプログラミング教室は単に「プログラムを教える」だけではなく、もっと重要な意味があると感じています。

高校生は「進学か、就職か」「地元に残るか、都市部にでるか」という将来の道を自身で選択する重要な時期です。そして、地元から都市部へ出る選択をする人も少なくありません。

ただ、プログラムを学べば都市部へ出なくても地元で働ける可能性があります。実際に僕は東京から広島に移り住みながらも、東京にいるメンバーと日々、オンラインでミーティングしたり、チャットをしたりして、東京にいる時と変わらず仕事をしています。

僕はプログラミング教室を通じて、学業や職業のきっかけを与えるだけでなく、住む場所、働き方、地方の産業・生活をITの力で変えていく…。そのような可能性を育みたいと願っています。

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◆島全体から溢れる活力を背に受け…

今回の大柿高校でのプログラミング教室は江田島市教育委員会のご協力があり、開催することができました。今年の6月には「デジタル端末を使ったデザインに関する授業を一緒に考えたい」と江田島市 小学校教育研究会 図工部会のお誘いを受け、教師向けのワークショップを実施しております。

2021年3月にCOCODEMO江田島ラボを開設した際に、江田島市の皆様のために何かできることはないかという思いから、開催に至った小学生向けプログラミング教室。そこから、今では江田島市教育委員会や江田島市役所の方々からお誘いやご協力をいただくことになり、自分自身、正直、驚きを隠せません。

今後も非常にエネルギッシュでスピード感の溢れるこの島で、教育×ITで地方創生のモデルケースになるようチャレンジしていきます!

最後になりましたが、大柿高校関係者の皆様、江田島市教育委員会、江田島市役所の職員の方々に深く御礼申し上げます。


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