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Withコロナの株主総会とは。ハイブリッド型株主総会


日本の株主総会のピークはいつなのか。

6月、5月がピーク。その次に3月。

「COVID-19で混乱する社会の中で、既に過ぎた3月に株主総会開催の企業はどうしたんだろう?」ふとそんなことを考えました。

リモートワークも同様ですが、ここからWithコロナ、ポストコロナの世界での株主総会のあり方と現状の理解をしておきたいと思いました。


◆そもそも株主総会とは

前田庸「会社法入門」によると、「定時株主総会は、毎事業年度終了後一定の時期に開催されるものであって(296条1項)、貸借対照表および損益計算書の確定、事業報告および計算書類の承認、剰余金配当の決議などが目的とされるが(438条参照)、それと合わせて他の事項(取締役・監査役の選任、定款変更等)を議論してもよい」とされている。

基本的には「会社の経営戦略や人事の決定」を行う場となります。

経営戦略の中には議決権を持っている株主から、会社方針や発表された決算書に記載の内容への疑問や今後の経営戦略などについて質疑応答の機会を設けられており、資金を投じている株主が”モノ言う”投資家らしいことができる場かと思います。


◆開催の時期の定義

株式会社は、一定の日(=「基準日」)に株主名簿に記載され又は記録されている株主を、議決権や配当を受け取る権利などを行使できる株主とすることができる。そしてこの権利は、基準日から3か月以内に行使することとされおり(会社法第124条第2項)。日本の多くの上場会社は決算月末日を基準日としているため、決算月の3か月後に株主総会が開かれるケースが多くなる。 「日本証券業協会より」

日本の上場企業数3,713社(2020/4/15時点)の約60%は3月決算。そのため上記ルールに従うと、先ほどの通り6月に株主総会のピークが来ることになります。

近年はコーポレートガバナンスの視点から、あまりにも総会の開催日が集中しすぎないように考慮されており、集中してしまう度合いも日本取引所グループの調査によれば年々低下してきているようです。


と、ここまでが株主総会の基本になるわけですが、

実際には 今年1月31日にWHO(世界保険機関)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言、3月11日にWHO事務局長からパンデミック相当との認識と表明された今年、株主総会どうなっちゃっているのか。

ちなみに経済産業省からはCOVID-19を踏まえ、企業向けに上記の内容が開示されています。



12月決算企業の3月の株主総会はどうなったのか?

12月決算企業は457社、いくつか開催実例を整理してみます。

1. 電通グループhttps://www.group.dentsu.com/jp/ir/stockandratings/shareholdersmeeting.html

体調不良者は出席手控えをお願いする等のアナウンスを行なった上で、3/27に会場を設けて予定通り、株主を招集しての開催だった模様です。開催前のインターネットでの議決権行使は今年が例外ではなく、以前から行っており、会社側の衛生上の配慮以外は通常通りに見えます。


2 . 富士ソフト

https://www.fsi.co.jp/company/news/2020/20200313_3.pdf

「インターネット出席株主」という形が可能になったようです。何が違うのか。

従来:定時株主総会をライブ配信。でも見てても「出席」扱いにはならなず、株主総会開催中の質問や議決権行使を受け付けない

今年:「インターネット出席」をする 株主=「インターネット出席株主」となり、会場出席と同様に 会社法上、株主総会に「出席」として取り扱われる。ライブ配信を見るだけでなく、株主総会開催中に電話やネット手段を用いて質問や議事進行の内容を踏まえて議決権を行使できるようにした

→ほぉーと思いながら、現代ならこれくらいあってもいいよねと思いました

この形式はハイブッド出席型総会、と言うそうです。聞いたことなかった。


ハイブリッド型主総会

要は、リアルな会場でやる株主総会 × バーチャルだけの株主総会、この両方を同時にやりますよー!ってことかしら。

経済産業省の方で分かりやすくまとめた資料がありました。↓

これ、COVID-19拡大の今年だから話が出ているのかと思ったら2019年5月から話が進んでるそうで。

ただ、バーチャルオンリー株主総会は会社法298条1項1号で、株主総会の招集にあたって株主総会の「日時及び場所」を定めるよう求められているので、バーチャルはそれができないと言い切れないため実質的に今は出来なさそうです。


株主総会といえば手土産品がもらえるとか、思い入れのある企業の総会に行きたいとか色々な投資家の思いがあると思いますが、手土産文化を廃止する企業も増えてきていますし、総会会場を借りるコストもバカにならないと思いますので、世の中は変わって行きますよね。

今年のこういった環境下の中で、3月決算の企業がバーチャル株主総会を活用した、ハイブリッド型株主総会の形を用いるケースは増えそうな予感がします。


ちなみに私の好きなアメリカにおいても、Bank of AmericaもCOVID-19への配慮から4/22の開催場所を変更、と通知を出しています。おそらく例年からWebcastでの配信はしているようですが、今年はオンライン上での開催に変更しますとのことです。

アメリカと日本では会社法も異なると思いますが、「直接総会には参加することはできません」と言うような文言が書いてありました。


日本も新しくなるといいですね!

読んでくださり、ありがとうございました!

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