10月に読んだ本と、個人的ベスト本
10月に読んだ本は7冊でした。
もっといろいろ読んだ気がするけど、案外少なかったなという印象。
そのかわりすごく勉強になったり、考えさせられたりする本が多くて、読んでよかった~!と思える本ばかりでした。
朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術 奥山晶二郎
実はわたくし、記事のタイトルを考えるのが超絶苦手でして。自分でタイトルをつけるタイプの記事を提出すると、掲載時には違うタイトルに差し替えられていることもしばしば。
もちろん媒体ごとのトンマナやテイストの違いはあるかと思うけれど、読む人が探しやすいタイトルがやっぱり一番重要だなあと。
コロナ版ローン減免制度のページが「コロナ ローン 払えない」で検索しても出てこないという例が本の中でも紹介されていたように、実際に情報を探している人がどんな言葉を使うのか、探す人の立場になって考えてみること。
当たり前のようでいて忘れがちな視点、気を付けよう。
このタイトルの話のほかにも参考になる部分がありすぎて、本がラインマーカーだらけになりました。「伝えたいことはあえてはじめに書かない」とか、『「当事者ではない」ことを強みにする』とか。
10月に参加した勉強会で、著者の奥山さんの講義を受けたのがきっかけで読んだのだけど、もっと早く読めばよかった!
読書会の教室 本がつなげる新たな出会い 参加・開催・運営の方法 竹田信弥・田中佳祐
読書会、いつか主催したいと思いつつできていないことのひとつ。
最近見学も兼ねてある読書会に定期的に参加していて、そこのゆるっとした気軽な感じが好きなので、もし自分が主催するならそういう感じがいいな、とちょっと思ってたのです。
けど、それじゃ個性がないというか、おなじような読書会じゃ意味ないのかな、と考えたりもしていて。
でも上の引用のように、扱う本や参加者が違えば、それはひとつのあたらしい読書会なんだよなと気づきました。
わたしは、本好きのひとと一緒にゆっくり読んだり、気軽にしゃべったりする読書会が開きたい。近いうちに実現させます。
さみしい夜にはペンを持て 古賀史健
この本、対象が中学生だと見聞きしていたので、子ども向けの易しい本なのかなと思っていて最初は買うつもりがなかったのですが。
尊敬する人たちがこの本のことを発信していたのを見て本屋でパラパラッとめくってみたら、けっこう面白そうだぞ?となり、買って読んでみたらもう、大正解。
子どもでも読める平易な文章ではあるけれど、書いてあることは子どもも大人も関係なく、ほんとうに大事なことばかりだった。
上記の引用部分を読んで、あー、こういうことあるなー、と思った。
言いたいことにぴったりフィットすることばを探す手間を、惜しんでしまうこと。
これでいっか、と妥協してしまうこと。
もちろん子どものころよりは、自分の気持ちを言葉にできるようになったとは思うけれど。
まだ足りてないな、と感じた。
もっと貪欲に、しつこく、気持ちを表すことばを追求してみたい。
日記を書くことを最近サボってしまっていたのですが、この本を読んで日記を書くことの楽しさを思い出しました。
自分の思いや考えを言葉にするのは、やっぱり楽しい。
みんなが書き手になる時代のあたらしい文章入門 古賀史健
『さみしい夜にはペンを持て』を読んだ流れで、古賀さんのこちらの本も読む。
これがまたとても読みやすく、参考になるポイントが盛りだくさんでした。
読者の疑問を読み取って、適切に解決する。
自分が読者の立場で書くことを考えるのは、先に紹介した『「読まれる」「つながる」文章術』とも通ずるところ。
たしかに、こちらの疑問を先回りして解決してくれる文章は、エスコートしてくれているようで読むのが楽だよなあ。
文章を構成するときに、映画やテレビのカメラワークが参考になるという話も意外だった。
今まで全然意識したことなかったけど、これからよく見てみよう。
ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方 伊藤洋志
最近、ライター以外にも、何か自分でできる仕事を増やしたいと思っていて。
ちょうどこの本を読んでいたころ、パートの仕事でちょっとした文章の校正というかリライトのようなことを頼まれて、それがけっこう楽しかったのです。
なので、本格的な文章校正の技術はほとんどないけれど、簡単な文章の校正とかリライトの提案とかならできそうだなと思って。単なる人助けレベルで仕事にまではならないかもしれないけれど、こういうちょっとしたことをいろいろやってみたいなと、新たな方向性が少し見えた気がしました。
この本で「ナリワイの見つけ方」として紹介されていることのひとつに「困った問題について考える」というのがあって、今回頼まれた文章のリライトも「うまく文章が直せなくて困っている」という問題の解決だったよな、と。
周りの人のちょっとした「困った」を見つけていくのが、いいヒントになりそうです。
本とコーヒー 吉田篤弘
現実世界から一本路地裏に入ってしまったような、常に2cmくらいふわっと浮いているような、少しだけファンタジックな話がつまった短編集。まさにSF(すこし・ふしぎ)。
『三人の年老いた泥棒』という話が一番好きです。絵から星だけを盗むという発想が良すぎる。終わり方もよかった。
わっしょい!妊婦 小野美由紀
ほんっとーに面白かった。
子を持つことを望んでいる身として、すごく参考になる本だった。
引用部分はまじでその通りとしか言えなくて。
もう少し早く産んでおけば、とか思わなくもないけど、その頃はまだ自分のことで精いっぱいで、子どもを持つなんて考えられなかったわけで。いろいろな経験を重ねた上での「今」だからこそ、子どもを持とうと思えるんだよな、と思ったりした。
妊娠・出産エッセイでありながら、文章に補足する形で小野さんの夫さんからのコメントが随所に登場するのも新しい。夫の立場から妊娠・出産をどう見ていたのかを語っているものってなかなかない気がする。
妊娠中の人も、妊娠を希望している人も、すべての人を勇気づけてくれる本。
わたしにとっては川上未映子さんの『きみは赤ちゃん』(こちらもおすすめ!)と並んで、お守りみたいに何度も読み返したい出産エッセイになりました。
10月の個人的ベスト本
10月に読んだ本はどれも面白くて、ベストを決めるのがとても難しいのですが。
読む前と後の印象の振れ幅が大きかった、『さみしい夜にはペンを持て』を選びたいと思います。
もし自分に10代の子どもがいたら絶対に勧めてる。間違いない。
なんなら将来タイミングが来たら勧めたい。本棚にそっと置いておきたい。
余談ですが先日夫の実家に行ったら、夫が中3のときに書かされていた「日常の記録ノート」みたいなものがたまたま出てきて。
それを見たら「今日は疲れた」とか「楽しかった」とかそんなことしか書いてなくて笑ったのですが、その頃の夫みたいな子こそ、この本を読んでくれたらいいな、なんて考えました。
それでは、今回はこのへんで。
この記事が参加している募集
もし、記事を気に入ってくださったら、サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは、本を買ったり、書くことを学んだりするために活用させていただきます。