時の長い針


歯車が 

ギギギギギ ……

大きく 音を立てて 
歯車が 廻り出した。

それは    この 上の  左の方から

大きく  ギギギ ギギギギギと
音を立てて。


木々の枝葉が 揺れる

春から 夏へと 風が変わり始める。

時の間  、


時間が

時の動きの リズムが 変わる

大きく  音を立てて  次の時の 場所へと。


新しく 示されたルートへと 導かれ

大きな  大きな 時の 歯車が 

廻り出す。


______


『 急に   過去が、
      私に 襲いかかってきた…… 』 



もう、とっくに忘れていた 10年以上も前の
こと。20年近くなるのだろうか。

今日が あと 一時間と少しで 終わる頃、
ふと、彼女は 呟いた。

おもむろに、
静かに、彼女は 呟いた。

補足するように、



「 いえ、そんな 怖い話ではないですよ。」

少し口角を上げ、
続けて 言葉を足しながら、寝室へと向かった。

______


はて?

いや、私の問題ではないのだ。
(問題なのは、彼らのことだが……)



時折、彼女は  まるで初老の紳士のような
口ぶりで 話し出す、少し変わっているのか、
良く言えば人間が 豊かなのだろう。


___







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