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AWSを使って爆速で3DCGをレンダリングしてみた - その①

3DCGソフトを触ったことある人なら誰でも直面するであろうパソコンのスペック問題。特に画像や動画を書き出すレンダリングでは「あれ誰かパン焼いてる?」ばりのパソコンの焦げたにおいが(実際はそんないい匂いではない)部屋内を充満するなんてことも度々あります。

ここでいきなりの質問ですが、フルCGアニメーションでおなじみピクサー映画(トイストーリー、リメンバーミーなど)の1秒間アニメーションに書き出すのにかかる時間(レンダリング時間)はどのくらいかかるかご存知ですか?

正解は、一ヶ月弱です爆

フルCGアニメーションは、一枚一枚のCG画像を繋げてアニメーションにしています。パラパラマンガと同じ原理で、画像を高速にめくることで動画としてみせています。

1秒の動画は大体24枚の画像で構成されており、ピクサーの場合、単一フレームの書き出しに平均89時間(60〜160時間)かかるため、単純計算しても1秒のアニメを作り出すのに2,136時間、90日弱かかる計算になります爆

実際にはレンダーファームと呼ばれる超高スペックなパソコンを数千台用いて作業していると言われているため、同時に何百台を使用してもっと少ない時間でレンダリングは行えているとおもいますが、それにしても途方もない時間がかかることがご理解いただけるかと思います。

ピクサー程のクオリティーではないにしてもモデルが複雑になったり描画数が多くなるだけで、レンダリング時間に大きな作用を及ぼします。

以前、紹介したこちらの動画を2018年版のMacBook Proで書き出そうとすると10秒の動画書き出しで10日ほどかかります笑

ノートパソコンで書き出し 10秒動画 > 1週間

しかも、レンダリング中はパソコンのファンが全開で「シャー」と唸りをあげて回転し映像を書き出してくれるため、パソコンにも良くないし一緒に暮らす家族にも白い目で見られます🤗

このように3DCGの制作過程では、作業環境が仕事の効率に直結するため、3DCGソフトを触る人たちはハイスペックなグラフィックボード(GPU)を積んだパソコンの使用が必然的に求められてきます。GPUを使用することで大幅に作業時間を短縮させることができます。

今ではGPUを積んだデスクトップパソコンを制作したため(自作PC)作業環境として悩むことはなくなったのですが、以前はそういった環境がなかったためいつも作業環境が頭痛のタネでした。おそらく3DCGを始めたばかりの皆さんは同様な悩みをお持ちなのではないでしょうか。

▼救世主AWSの登場!

そんなこんなでどうにかレンダリング時間の問題を解消できないもんかと頭を悩ませていた当時のオギワラにプログラマーの友人が「AWSがいいよー!」とアドバイスをくれました。

AWSとは、Amazon Web Serviceの略でアマゾンが提供するクラウドサービスになります。かなーりざっくり説明すると「Amazonが所有しているハイパフォーマンスなコンピューターをクラウド上でかしまっせ!」なサービスとなっています。

クラウド上ということなので、実際にAmazonからパソコンが送られてくる訳でなく、インターネットを通じてAmazonのハイスペックPCに接続し、コンピュータケー計算などを仕組みとなっています。しかも、アマゾンのパソコンを使った分だけ料金が発生する仕組みのため、ハイパフォーマンスのパソコンを購入するお金がなかった自分にとっては夢のようなシステムとなったわけです。

AWSを使うことで誰でも安価にハイパフォーマンス環境をゲット!

かくしてAWSの存在を知ったオギはあーだこーだといいながら設定を行いAWS
でレンダリングを行いました。(設定や勉強方法については、「AWSを使って爆速で3DCGをレンダリングしてみた - その②」にまとめてあります)

先程、ご紹介したタワー崩すアニメーションをAWSを使ってレンダリングを行うと約4時間ほどで書き出すことができました。
 
これには色んな設定があるのでもっと早い書き出しをリクエストすれば更に短い時間でレンダリングを完了させることができるようになります。ただ、その分サービス利用料金は高くなります。使用料はサービスを使った分だけで請求され、今回の設定だと1時間で約170円くらいの計700円くらいとなります。

「いやいや、それって高くない?」と感じる人もいるかと思いますが、長期的に考えたらコスト高になる可能性があります。ただ、今回書き出しに使ったAWS上のGPUは自分で買うと20万円近くかかり、もちろんGPUだけではパソコンは動かないので環境を整えれば金額は更に高くなり、最低でも40~70万のコストがかかります。

○書き出し時間 10日 → 4時間
○初期費用   50万 → 700円
  

これだけの環境を数百円スタートで使用できるAWSは使い方によってはかなり便利なサービスと言えるでしょう。また、所望の開発環境を簡単に手にすることができる点において多くの人がクラウドサービスに魅力を感じているのもうなずけますし、自分的には「AWSサービスとんでもないぞー!!!」と大興奮のサービスとなりました。

AWSの良かった点と気になる点

AWSに限らずですが、クラウドサービスを使用しレンダリングを行うことで様々な恩恵を受けることができます。ただ、良いことばかりでもないので気になった点を以下にまとめたいと思います。

○良かった点

  • レンダリング時間を短縮

  • 高速GPUを安価で使用できる

○気になる点

  • 長期的な使用はコスト高になる

  • 作業環境はローカルなまま

AWSを使用することでレンダリング時間は大幅に改善されるものの、モデルなどをつくる作業環境はローカルなままのため、モデル作成時の作業時間などは所有するパソコンのスペックに依存してしまします。したがって、重たいデータの3DCG制作を行う際にはどうしてもハイスペックなパソコンが必要になってくるかと思います。ただ、ある程度の作業環境はローカルでも完結できるため、大掛かりなレンダリングにはAWSを使い普段の作業は自分のパソコンで行うことが理想的な使い方といえるでしょう。


まとめ

今回のnoteでは、AWSを使ってレンダリングをした感想やなぜAWSが必要となったのかAWSレンダリングのいい点・気になる点についてまとめました。

AWSを使って爆速でレンダリングしてみた! - その②」では、AWSの仕組みや右も左もわからない僕がどのようにAWSの勉強を行ったかについてご紹介したいと思います。

AWSについてきになることや3DCGについてもっとこんなことが知りたいなどあればコメントやDMでお気軽にお声掛けください。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

Boon Boon Computer Graphics - BBCG代表の荻原光人・オギです。
オキナワを拠点に3DCGアニメーション制作 | Webサイト制作 ・マーケティング| 3Dプリンターオリジナルグッズ制作、採用サイトや製品プロモーションの3DCGを制作しています。お気軽にツイッターのDMでご相談ください:)

Boon Boon Computer Graphics
荻原光人

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