本

地方出版社での経験

フリーランスになる前、地方出版社でデザイナーとして働いていました。

本が好きなので、デザイナーとして書籍の装丁デザインや本文の組版に携わるのが楽しかったし、何より地方出版社での仕事は貴重な経験でした。

地方出版社で働いた経験を元に、出版社での仕事や地方出版社のこれからについて書いてみました。

1、地方出版社に入社するまで

事情があって30代半ばで東京から地方に戻ることになり、再就職はどうしようかと求人を見ていたら、とある出版社のデザイナー職の求人募集を見つけました。

本に関わる仕事は面白そうだったし、これまでのでデザイナーの経験が活かせそうだと思い、受けてみたら何とか入社することができました。

入社を決めたきっかけは当時珍しかった電子書籍を制作している点でした。
目新しいものが好きなので、すぐさま飛びつきました。

2、地方出版社での仕事

出版社は書籍の組版の仕事がメインなのでインデザインを覚える必要がありましたが、使えるソフトはイラストレーターとフォトショップのみでした。

インデザインは複数ページの制作物に特化したソフトで、多機能で覚えるまで時間がかかりましたが、これまで使ってきたアドビのソフトなので違和感なく慣れることができました。

出版社での仕事は自分の担当する仕事以外にも以下のようなさまざまな業務がありました。
・電子書籍の制作、配信
・読者や書店からの注文の電話対応
・著者やクライアントとの打ち合わせ
・書籍のチラシ、ポップ、広告の制作

これらの業務は編集プロダクションやデザイン会社では経験できないことなので貴重な体験ですし、何より楽しんで仕事ができました。

3、電子書籍について

近年は出版社にとって本を売るのが難しいので、電子書籍は避けては通れないものとなっています。

僕が在籍していたのは、ちょうど世間で電子書籍元年と言われていた時期で、AppleのiBookやAmazonのKindle向けの電子書籍を制作していました。

電子書籍は価格が自由に設定できるので、ゴールデンウィークやお盆、お正月などはセールを行ったり、会社のHPで電子書籍の告知をしたり、自由にやらせてもらいました。

電子書籍の面白いところは、配信後すぐに反応があるところです。
AmazonのKindle向けに配信していた書籍は、kindleのセール対象になったとたん短期間で数百冊売れました。
これは実際の書店では難しいことで、電子書籍の影響力のすごさを見た瞬間でした。

ただし電子書籍の売上の割合は、会社全体の売上に対してわずかなもので、優先すべき事業とはいいがたいものでした。

4、これからの地方出版社

近年は出版不況で東京などの大手出版社でも本が売れない状況が続いており、特に雑誌の部数の落ち込みは顕著で、これはネットの影響が大きいと思います。

地方はどこの地方出版社もたいへんだと思います。
書籍の売り上げだけで食べている地方出版社はわずかで、書籍の出版以外に官公庁の出版物や自費出版などの受注物も併せて生き残っているのが現実だと思います。

一般書籍の売り上げは大手出版社にはかないませんが、地方ならではの方法で生き残りは十分可能だと思います。

これからの地方出版社に求められるのは、大手出版社が出さないようなニッチな分野の書籍に特化することと、自費出版や同人誌など個人のニーズにいかに応えられるかだと思います。

趣味が細分化している現代だからこそ、個人が制作する自費出版や同人誌は伸びる余地があると思います。

あと、日本人の特性だと思いますが紙媒体にこだわる人は意外と多いので、アイデア次第で、地方の出版社もまだまだ生き残っていけるのではないかと思っています。

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