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白黒の世界 携帯小説12

最終話 使命

(全12話)

登場人物
森 龍牙(もり りゅうが):物語の主人公
鳥海 紅音(とりうみ あかね):龍牙の愛した人
鳥海 誠司(とりうみ せいじ):紅音の父
天の声

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龍牙「おう!元気だったか?久しぶりだな」


紅音「ここどこだと思ってるん?元気に見えんやん。。。森さんがいるってことはお迎えに来たのかな?」


龍牙「まぁそうだよな。でもそれは違うな」


紅音「じゃどうして。。。」


龍牙「本来、話すことも触ることも許されてないんだけど、俺はあれから自然の力を使うことを許されたんだ。今成仏できずに彷徨ってるってとこかな。つまりあの、あれだな幽霊ってやつだな笑」


紅音「やっぱり迎えに来たんやないですか」


龍牙「自然の力が使えるようになったらさ、みんなが味方してくれるようになったんだ。風に水に火に雷に、そして鳥や木、動物や植物までもが俺に力をくれた。そして石の力は俺をペンダントに閉じ込めてくれた。ずっと中で見守ってた。よく頑張ってたな」


涙一杯に溜めて紅音がこっちをみていた。


龍牙【俺はどんな形であれ、彼女を大切にする】


「そうやって日記に書いてなかったか?」


紅音「書いてあったけど、なんで死んじゃったんよ。。。」


龍牙「悪い。俺の不注意だよな。誰も悪くない。」


龍牙「でも、どんな形にせよこうやってまた会えてるじゃん?」


紅音「私もそろそろ連れてってくれるんやね」


龍牙「あほ!何言うとんねん!」


紅音「だから、森さんの関西弁は変やわ」


龍牙「そうか?笑 わかったんだよ俺がなんで成仏できないかがさ。」


紅音「そんなに私と付き合いたいんですね 笑 死んでからでもいいですか?」


龍牙「いや、そうじゃないんだ。俺はおまえ、を救うためにいるらしい。おまえを愛する為だけにいるんだ」


紅音「えっ?何を言ってるんですか?」


龍牙「紅音ちゃんは紅音ちゃんの好きな人と付き合ったらいい。もっと幸せになったらいい。俺はもういないんだ。俺に縛られることなく自由に夢を叶え羽を伸ばして生きればいい。幸せがもうそこまで来てるんだぞ?」


紅音「森さん?森さんのとこに、、、」


龍牙「いや、それ以上言うな。大丈夫だ、俺は紅音ちゃんの中で生き続けるから。俺にできることは二つ与えられている。一つは自然界の力を使って大切な人を守ること。もう一つはこの魂を誰かに捧げること。」


紅音「まさか、森さん?」


龍牙「それ以上言うな。俺の命おまえにやるよ。天の声がこんなこと言ってた、魂を捧げたら俺はいなくなるらしい。成仏する為には良い行いをしてこいと。そうすれば新しい自分に輪廻転生、生まれ変われるんだってよ!
でも記憶を消されちまうらしい。
俺はそんなん望んじゃいない。
生まれ変わるとかどうでもいいんだ。
おまえを救えるなら」


紅音「そんなんダメですやん。考え直しましょう。また私と生まれ変わったらええやん。ついていきます」


龍牙「俺は紅音ちゃんだから好きになれたんだ、他に代わりなんかいないからこれでいいんだ。いつだって誰かの代わりなんかいない。星の数ほど女はいても【鳥海紅音】はひとりしかいないだろ?もし新たな恋をしていたとしてもそれは代わりじゃないだろ?」


紅音「なんで森さん、そんなに私のことを?」


龍牙「なんでなんだろうな?鳥海紅音だからじゃないか?ひとりしかおらんやんこんな素敵なやつ」


紅音「意味わからんて、ならあの世に連れてってよ」

龍牙「悪りぃそれはできない。生きてくれ!」


【俺の命おまえにやる】


心の扉を開いてくれたら
いつでもそこにいる

俺の居場所はおまえの胸の中


この病魔を打ち消すそれが俺の使命だ!


これからは2人で1人だ


俺の生きた証受け継いでくれ
そして生きて幸せになってくれないか?

これで最後にしてくれ

幸せになれよ

俺は紅音ちゃんの中で生きてる

ずっと見守ってる。。。


紅音「待って、森さん。。。」



ネックレスから光が消えた。


紅音の大粒の涙が代わりに輝きはじめた


そしてアメジストは透明な水晶へ

また色を変えた。


誠司「紅音???なんか喋ってなかったか?」


紅音「お父さん。。。んーん。なんでもない。」

それからみるみるうちに
紅音の病気は良くなっていった。


医者が気にしていた悪性の腫瘍も、
レントゲンには写らなくなっていた。


龍牙の片思いは片思いのまま実ることとなった。


この世にもあの世にも

森龍牙はもう存在しない。


でも、森龍牙の愛した鳥海紅音は

森龍牙の意思を引き継いで

幸せになっている。

美容師としても成功を収めた。


生きているとすれば
彼女の心の中にいるんだ


彼女の命は龍牙の命


美容師としての夢
ひとりの人をまっすぐに愛する気持ちは

しっかりと引き継がれている

片思いが叶うということは両思いになるということだけではない。

その相手が幸せに生きてくれるということなのかもしれない。


➖➖➖➖➖


ねぇねぇ、お母さんここどこ?


お母さんの大切な人のお墓なんだよ


天の声「やっぱり戻ってきたじゃない、おかえり森龍牙」


➖➖➖➖➖

2人の日記の最後のページは

紅音の子供が描いた

色鮮やかなお花畑の絵だった。


終わり

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見逃し配信中

1話 【希望】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncda230a65bf7

2話【焦心】

https://note.mu/blancetnoir/n/n076055351c34

3話【告白】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncbabae58457c

4話【迷惑】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf19e9ec47333

5話【喪失】

https://note.mu/blancetnoir/n/n9746bfc3f368

6話【運命】

https://note.mu/blancetnoir/n/n36495a9bd69a

7話【黄泉】

https://note.mu/blancetnoir/n/na761cf9a5c05

8話【言霊】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf190b1e680b1

9話【水晶】

https://note.mu/blancetnoir/n/ne787e2a7b206

10話【挫折】

https://note.mu/blancetnoir/n/n82d2de73172c

11話【病魔】

https://note.mu/blancetnoir/n/nc58aa91aaf9f

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