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今、改めて「教育」を社会の手にとり戻す

CYCLE SEEDSで行われている、とある日の英語カフェの様子

僕たちNPO森の教育プロジェクトが以前から継続している、デンマークと美山町との国際交流で、不定期に行ってきた英会話教室で、美山の小、中学生たちが学校帰りに自発的にここに集まっては、英語での会話を楽しむ機会となっている。

このメンバーから先日、3月末に予定されているデンマークプチ留学体験に行く子がとうとう決まった。
このプチ留学は、2019年に始まり、20年以降、新型コロナウィルス感染拡大によってしばらく中断を余儀なくされていた、子どもたちの直接渡航の交流で、これまで2度開催され、3名の中学生が実際にデンマークでの学校生活を体験している。

そのプチ留学には、人数の関係で2名しか行けないところに、小中合わせて、なんと6名の応募があったため、今回は、セレクションを行った上で留学者を決定することとなった。

今回、初の試みとなるセレクションでは、スピーキングにおける「語彙力」「文法の正確さ」「伝達力」、リスニングにおける「理解力」、それと「自己をアピールする力」、「目的の意義の説明」や「普段の生活の様子の表現」そして「総合的な意欲」など8つの項目で、4名の試験官が細かく採点を行い、それを100点満点で集計するという、本格的なテストとなり、結果、受験者の中から成績上位の中学2年の女子2名が選考された。

英語力に関しては、学年での授業の進み具合や経験から、小中ではある程度の点数差がついてしまったのだが、自己アピールや、意欲、フリートークでの積極性に関しては、小学生も含め、みな驚くほど意欲的で、実際のところ学年関係なく甲乙つけ難いというところもあった。

そういうことにおいでは、今回選ばれた人も、惜しくも選ばれなかった人も、その評価は実際の点数差以上に、本当に僅差であったと言える。

この結果は今後、美山町での国際交流を継続していこうとする僕らにとっても、大きなモチベーションにもなったのはいうまでもない。
自らの考えを、英語であれだけ表現しようとしている姿には、驚きを通り越して、もはや感動しかない。

そしてなにより特筆に値すべきは、この英会話教室が繰り広げられている、CYCLE SEEDSという場所は、「学校」や「塾」と言った教育関連の施設ではないということだ。

参加費もなく、日程も不定期な中、呼びかけたらその時々、行きたい子が三々五々集まってくる、英会話を楽しむ場。そんな彼らに英会話の学習を手助けをしているのは、地域に住む僕を含めた英会話のできる大人のボランティアたち。

そこには当然、先生とよばれる教育の専門家は誰もいない。
そんな地域に、思いのまま自然発生的に生まれている学舎(まなびや)で、今まで知らなかった外国文化に興味を持ち、そこで自らの英語力をぐんぐん伸ばそうとしている子どもたちが、たくさんいるという事実だ。

これは「教育」は学校だけのものではないということを証明していることに他ならない。
今、多くの人は、「教育」は教育の専門家が教育機関で行うものと決めつけていないだろうか。
「教育」は、もっと社会の中に身近なものとして存在していいと思う。
でないと、「教育」という素晴らしい体験の機会が、ただテストをうまくこなすためだけのシステムに成り下がる気がする。実際、日本ではほぼその感覚でしかない。
これは世界的にみても、遅れた考え方で、これからの時代に対応できない。
もっと、地域や社会が「教育」を考え、ともに実践する必要があると、実際に、学ぶ力をつけていっている子どもたちを間近で見るぼくは、強く思うからだ。

今回、選抜された2名は、3月末の渡航に向けて、さらなる英会話能力の向上に励んでほしいと思うし、その会話力を最大限に発揮して、充実した一週間の学校生活を楽しんでほしいと思う。

初めてこのプチ留学を体験した先輩が、説明会のときカナダからオンラインで彼らに伝えた「この経験で、あなたたちはきっと、見たことも経験したこともないことに、いっぱい出会えるから」という言葉を、自身でまさに体現してほしい。

惜しくも選に漏れてしまった4名、そして今回は参加しなかったけど、いつかチャレンジしてみたいと思っている子たちにも、必ず次のチャンスを作りたい。

英会話を学ぶ行為を通じて、改めて自分の意見をもち、他者とのコミュニケーションの在り方を学べる環境を、大人も子供も一緒になって、どんどん作っていきたいと強く感じた出来事だった。

こんな子どもたちがいる、この町の未来は本当に明るい。

大人には何ができるのだろう。

2回目の留学体験をした女の子と、あちらで仲良くなったお友達(デンマーク)
今も双方の交流は続いている。

子ども向け自転車教室 ウィーラースクールジャパン代表 悩めるイカした50代のおっさんです。