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風の先のあなた

中庭から吹き抜ける風、風、風。
冷たいコンクリートでざらついた膝。汚れたスニーカー。自動販売機が唸る。

抜けていった風の先、グラウンドにあなたの背中を見つけたら、なんでもない顔をする。頬を叩く髪の毛が五月蝿い。

私の目線と遠くで聞こえた誰かの叫び声は、ほんのり赤く染まった高い空に消えた。上弦の月。


“キラキラしていたあんたの目
真っ黒に焼けた大きな手
ハンドルをギュッと握りしめて
アクセルを踏みました”

雲走る

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