びわ湖・水上エコビレッジ構想 -脱炭素と地域活性のための公共デザイン-
びわ湖上のメガソーラー発電所で、滋賀県の家庭用電力の50%を賄うーー。
これは、半導体の技術開発に40年間従事した父(滋賀在住:廣部嘉道)と、東京の都市デザインに関わる息子(滋賀出身:廣部嘉祥)の構想です。一市民の日常的感性を出発点に、現行の都市・エネルギー政策にはない“オルタナティブな未来”を探求します。
*
はじめに:びわこエコビレッジ構想とは?
この構想は、父が自費出版した書籍『びわこ太陽光発電(2013)』と『琵琶湖でデザインする持続可能社会ー滋賀モデル(2017)』がベースになっています。その目的は、下図にその概要を記した通り、地域経済の活性化および脱炭素化社会の実現。豊富な資源を用いた自然エネルギー事業を興しながら、必要な機材・資材を県内&近畿圏内で調達、さらに得られた電力を地域内で消費することで、地産地消の循環を生み出します。そして、特筆すべきは、びわ湖の水面上に、25㎢におよぶ世界最大級の水上メガソーラー発電所の建設を、構想の中核に据えていることでしょう。
私が初めてこの構想を聞いたとき、なぜその大きさが必要か、そもそもびわ湖の水上が適切なのかに興味が湧きましたが、父の書籍を読んで、また滋賀の経済情勢やエネルギー政策を調べて、納得しました。実現可能性はともかく、一理あるし、何より面白いなと。また、生態系や景観への影響を調査し、それに対処する必要があると思いましたが、それと同時に、普段から国内外の様々な都市開発を研究する私が知る限りでも、ここまで大胆なものはないと直感しました。市民からボトムアップで提案していくダイナミズムに興奮したのです。
そして、2020年末、同志を集めることを目的に、構想の可能性をビジュアライズすることを決め、国際デザインコンペで優勝実績のある若手建築家の齋藤遼さんに企画・設計・作画の協力を得ることにしました。実は、「エコビレッジ」という言葉は書籍にはなく、齋藤さんを交えたMTGのなかで誕生したコンセプトワードです。
本稿の前半では、父の書籍を読んで、そして滋賀の政策・取り組みを調べて、知ったこと・気づいたことを、そして後半では、3人でのMTGを通じてビジュアライズしたエコビレッジについてご紹介したいと思います。実現に向けて汗をかける同志が、1人でも見つかれば嬉しいです。
滋賀県のエネルギー政策には“オルタナティブ”が必要
2030年までにSDGsを達成しなければ地球に未来はない。そう唱える国連は、2020年代を「Decade of Action(行動の10年)」と呼びました。その結果、欧州に比べて出遅れていた日本・中国・米国もカーボンニュートラル宣言を行ない、アップルは70社のサプライチェーンにカーボンニュートラルを要請するなどして、世界規模で脱炭素化に向けたエネルギー転換を進めています。また、テスラが世界販売台数を36%伸長させ、さらに時価総額でトヨタを上回るなど、消費や投資を通じて、自然エネルギー化・脱炭素化へのアクションを後押しするムーブメントが起こりつつあります。
一方、私たちの故郷・滋賀県は、全国に先駆けた市民協働の発電所や、びわ湖等の豊かな自然資源を通じた環境教育など、エコ先進地域としてのポテンシャルを持ちながらも、十分に活かしきれていませんでした。2010年時点では、滋賀県の電力の93%が、県外からの大規模電源に由来し、それはつまり、隣接する福井県・若狭湾の原子力発電所(関西電力)に依存していたのです。その結果、2013年時点、自然エネルギー導入量は、47都道府県のうち44番目でした(出典:永続地帯報告書)。
もちろん、滋賀県のエネルギー政策も、原発依存をずっと容認している訳ではありません。2013年には、県外依存・原子力主流からの脱却を目指した「再生可能エネルギー振興戦略プラン」が策定され、また2012年に始まったFITもあって、エネルギー転換は進展します。地勢的な条件から、滋賀県の再生可能エネルギーの主軸は太陽光発電なのですが、1MW(電力需要300世帯相当)以上のメガソーラー発電所は111基に増え(出典:Electrical Japan)、2030年までの導入目標を上方修正するまでになりました。
しかしながら、今後10年、①地域社会・環境との共生、②地域経済の活性化の2点において課題があると考えます。
2020年、滋賀県高島市に県内最大級のメガソーラーが建設されましたが、美しい里山の環境や景観が破壊されることを懸念した住民によって、計8,400人もの署名が集められるほど反対運動が進んでいました。地域社会に優しいはずのメガソーラーが住民から望まれていないというのは何とも悲しいものです。ですが、今後の建設でも、同様の反対運動は起こり得るでしょう。
滋賀県はかねてより、メガソーラー建設の利用地確保が難しいと課題を掲げていました(以下、滋賀県再生可能エネルギー振興戦略検討委員会 報告書より)。
メガソーラーについては、全国的にみても、「工業団地」や「工場跡地」、「埋立地」 など、当面の有効活用が見込み難い用地への立地事例が多いが、本県の場合、このような適地は、既に工場立地など土地利用が進んでおり、比較的遊休地が少ない(立地希望事業者へ紹介できる候補地のストックが少ない)ことから、今後は、工場などの屋根や中小規模の遊休地を含めたマッチング事業を強化していく必要がある。
これまでの10年は、計画も当初ということもあって、一気に進めるべく、比較的入手しやすい土地でメガソーラー建設を進めてきたかもしれません。ですが、このような構造的な問題から、今後は、住宅地に近い、もしくは山の中に位置するといったように、地域社会・生態系への影響が甚大な土地での開発が危惧されます。
また、当該メガソーラーは、太陽光パネルは韓国LG電子製、変換器は台湾デルタ電子製を採用しており、発電した電力は関西電力送配電に売電。事業会社は東京に拠点を構えます。つまり、このメガソーラー建設・運営によって、地元から電力や資金が流出し、地域の関連企業が恩恵を受けることも多く望めません。高島は土地と太陽光を地域外に差し出す、いわゆる“場所貸し”になります。
「量」だけを見ると順調な推移ですが、「質」を追究すると、現行の場所選定・建設プロセス・ビジネスモデル構築が、地域の社会・環境・経済にとって最適とは言い切れないのではないでしょうか。このような状況を鑑みて、市民主導かつ環境共生型のメガソーラーを構想することは、滋賀県のエネルギー政策にとって価値あるオルタナティブだと感じます。
さらに言えば、上方修正した導入目標も、本当にその数値設定が適切なのか疑問が残ります。というのも、現在の目標だと、2030年の自然エネルギーの供給量は全電力の15%に留まります。2010年時点では1.3%からすれば大きな進展ですが、それでも約7割は県外からの原発が占めることになるのです。もし仮に、2030年までに水上メガソーラーの半分だけ(年7.5億kWh)でも稼働することができれば、自然エネルギー供給量は21%にまで増えます。滋賀県は自然エネルギー自給率の都道府県ランキングが35位(2020年度)と低順位に甘んじている点を鑑みると、15%と言わず、20%、30%を目指すぐらいの意欲的な目標設定が必要ではないでしょうか。
メガソーラー発電所を公共空間としてデザインする
現在、メガソーラーと聞いて、ポジティブなイメージを持つ人は少ないでしょう。建築物として景観や自然を破壊する。そういうイメージが先行しているかもしれません。
ただし、本来は地球環境を持続可能にするための技術です。それにも関わらず、「メガソーラー反対」といった悪者扱いするプラカードが掲げられ、何とも言えない気持ちになります。ですが、これは、ひとえに、経済効率を優先した政策や戦略に誤りがあり、自然エネルギーの技術には罪はありません。
私たちの構想の中でのメガソーラーは、「経済合理性」ではなく「持続可能性」を優先し、事業者の利益だけではなく、地域や生態系の共存共栄を重視するものとして位置付けます。例えば、一気に造るのではなく、環境と対話しながら、建設を逐次積み上げる。さらに、事業者だけで進めず、長期的なグリーンインフラとしてみんなで育てる。そういう発想で取り組みます。思えば、滋賀県には、近江商人の「三方良し」の精神という拠り所があります。メガソーラーこそ、「三方良し」の精神が必要なのです。
実は、エコ先進国・デンマークに、メガソーラー発電所ではないですが、示唆に富む参考事例があります。2019年、首都コペンハーゲンに、屋上に370mのゲレンデ(Copenhill:コペンヒル)が備えられたごみ処理場がOPENしました。このごみ処理場は、地域の60万人分の家庭ごみが運び込まれ、燃焼した熱エネルギーによって、7万世帯分の暖房や3万世帯分の電力が賄われます。また、排出される窒素酸化物は99%Offと世界最高水準を誇るため、一年中滑れるスキー場(屋上)とロッククライミング施設(壁面)から成る、市民の憩いの公共空間の創造が可能となりました。実は、コペンハーゲン周辺に山がなかったので斜面が山のようになったら、という市民感覚から、この素晴らしいデザインは発想されたそうです。デザインの勝利とも言うべき、誇らしい場ですね。
この施設は、世界的な建築事務所BIG(トヨタのWovenCity監修担当)によるデザインということもあり、建設費は600億円超に及びます(私も、一助になれればと思い、OPEN前のクラウドファンディングで3万円ほど応援投資しました)。ただ高額な建設にも関わらず、都市に必要な場所として計画は採択され、世界初のスキー場兼ごみ処理場が完成しました。高額ではあったものの、その分プロによる仕事がきちんとなされ、世界的な建築デザイン賞を多数受賞するなどして、話題性と認知度を一気に獲得。アフターコロナでは多くの観光客を集める場所になることは間違いありません。
このように、メガソーラー発電所に公共・商業空間を付随させると、機能が増えるため必然的に費用は膨らみます。ですが、その追加機能によって、集客・収益化が見込めたり、また市民に憩いの場を提供したり、といった効果が見込め、長期的には採算がとれる可能性があります。それこそ今は、カネ余りとESG投資という2つの流れが合流して、グリーンボンド等の資金調達も容易になりました。事業性と公共性を融合させる空間づくりに、可能性を感じます。
私たちは、公共デザインの視点で、びわ湖上のメガソーラー発電所を検討しました。つまり、水上に太陽光発電施設を設置するだけでは、機能は発電だけで終わってしまいます。ですが、メガソーラーの片隅に公共空間を創造することで、もっと多様な機能を持つ施設にデザインできるのではないかと考えます。つまり、発電事業に関わる人だけでなく、観光客や研究者など多様な立場の人に水上メガソーラーを開放して、自然エネルギーと水上空間を活用した活動(観光・レジャー、研究etc)を多発的に起こしたいのです。
メガソーラー発電所と都市空間が融合する「水上エコビレッジ」
本構想は、太陽光発電を行なう、びわ湖上の「水上エコビレッジ」と、バイオマス発電を行なう、中山間地の「森林エコビレッジ」が、事業の根幹を担います。今回は「水上エコビレッジ」についてご紹介していきます。
※ 両発電所の目標出力や建設規模、その背景などは、この構想の原案となった下記の書籍に詳述しています。ご興味ある方はご参考ください(エコビレッジという表現は登場しません)
「水上エコビレッジ」は、150万kWという莫大な発電量を叶えるため、25㎢に及ぶ太陽光パネルを、近隣の中山間地から伐採してきた木材を用いた筏(いかだ)上に敷き詰めます。その際、発電設備の横に、公共・商業空間を設け、水上に都市機能を創造します。びわ湖上に新たにできた場を、多様な事業や研究を手掛ける人、ならびに寛ぎや交流を求める人に開放することで、彼らが自然の恩恵を感じながら、新たな社会活動が生み出す都市空間にするのです。この水上空間は、25㎢のうち5%のみで、残り95%は発電設備が占めます。そして、現在、水上エコビレッジの機能は以下の5つを想定しています。
① 太陽光発電
150万kWの太陽光発電を行なう、水上エコビレッジ上の中心的設備を有します。監視塔も置き、発電設備の管理運営を担当します。
② 環境調査・保全
水質・水温そして深層循環など、びわ湖環境を定点観測します。同時に、メガソーラーがびわ湖に与える影響も把握し、対策を講じます。
③ 商業活用
滋賀の美食やリラクゼーション、マリンアクティビティ、憩いの場を来訪者に提供します。
④ 研究・教育
自然エネルギー関連技術の開発から、水素製造、水耕栽培まで、多様な起業家・研究者にとってのラボとしての役割を担います。
⑤ 水上交通整備
地元の漁業者、緊急搬送船、そして観光船等に対して、給電および休息場を提供します。
「環境調査・保全」における重要アジェンダの1つは、深層水循環の調査です。びわ湖は温暖化の影響を受けて、2019年、2020年と深層水循環ができず、湖底の低酸素水域の拡大で、生態系への影響が懸念されていました。メガソーラーが深層水循環にどう働くのかを含めて、びわ湖環境保全のための調査・研究が「水上エコビレッジ」で進むと嬉しいです。
「商業活用」では、“取れたて”の電気を用いた、びわ湖らしいレジャー体験を創出したいです。例えば、1972年まで行なわれていた水上飛行機の遊覧飛行が、昨秋実証飛行によって復活しました。飛行機でもEV化が進む今、電気水上飛行機が飛び交う未来も不可能ではないでしょう。映画『紅の豚』が好きな私としては、ホテル・アドリアーノを彷彿とさせる、大人の社交の場が用意できたらと妄想が膨らみます。
「研究・教育」で取り組みたいのは、脱炭素化のために期待される水素エネルギーの研究・開発です。水と電力がふんだんにあるため電気分解で水素を大量に作る、というアイデアが浮かびます。水素エネルギーは、現時点では高コストですが、材料研究やプロセス工夫でコスト問題が解決するかもしれません。同様に、大量の水と電力を用いて、水耕栽培などの農業に取り組み、そのノウハウを土地が肥沃ではない国に提供するのも一考の価値があります。
上記に一例を挙げましたが、この「水上エコビレッジ」は、多くの市民が、研究や交流、憩いを営むための中核的な社会インフラになり得るはずです。寧ろ、現状の陸地空間では解決しきれない課題を解決し、創造できない価値を生み出す水上都市でなければなりません。そのため、その役割については、今後参画いただく同志たちと一緒に議論・実験できればと思います。
「水上エコビレッジ」の構造体は、水上に筏を組み、その上に同一方向に傾斜した太陽光パネルを設置することを基本とします。今回、「傾斜した建築モジュールの組み合わせによって、水上に多様な空間を展開する」という齋藤さんのアイデアを、パースに反映してもらいました。パネルを建築として機能させるというのは建築家らしい発想だと感じており、いずれ実証実験を行なった際に、より詳細な検討をもとに構想案を具体化していきます。
ただし、現時点では技術的な検討を行なっていないため、今後、土木工学・構造力学などの専門技術を有する方々と、以下の要点などを具体的に検討・検証する必要があると考えます。
・筏は木材を骨組みの材料にして金具で構造体に仕上げる。木組みの工法を採用するなど力作用の逃げ道を工夫することができれば良い。
・筏の下にはゴム製またはプラスチック製の浮体を設置して、安定な浮遊を実現する。
・筏が流されないために、湖底に錨または錘を沈め、連結ロープで筏を繋留する。
・地球温暖化による巨大台風の襲来を考えると、風速50m、時には70mの暴風雨にも耐えうる構造に仕上げる。
「水上エコビレッジ」は自然資源と文化資源の交点に立地
それでは、この「水上エコビレッジ」は、びわ湖のどこに設置するのが最適なのでしょうか。
まず前提として、メガソーラー発電所としての高い生産性が発揮される必要があります。くわえて、地域住民や観光客、研究者に開いた時に、誰もが訪ねやすい/訪ねたくなる場所でなければなりません。つまり、「日照時間の長さ」と、「大学や観光名所の集積」の両立が条件となります。自然資源と文化資源の交わるところとも言い換えられるかもしれません。
幸いなことに滋賀には新幹線が走り、大学も観光名所も複数あります。またそれらは、びわ湖沿岸部に集積しています。同時に、その沿岸部の幾つかでは、太陽光発電の目安と言われる1,500hを超える年間日照時間の確保が可能です。この公共デザインの観点から検討した設置場所が下記の5か所になり、分散して設置することを想定しています。(当然、地域住民が反対する場所に設置すべきではないので、もし将来、この構想が進んだ際には、多くの住民と一緒に最適な場所を検討できればと思います)
ラコリーナ近江八幡で藤森照信氏の素朴な建築美と美味しいお菓子で寛いだ後に、すこし足を延ばして、近江八幡の「水上エコビレッジ」に訪ねる。滋賀県立大学や長浜バイオ大学の研究の一環で、長浜および彦根の「水上エコビレッジ」で実験を行なう。そういった情景を目の当たりにできる日がいつか来ればと思います。
「水上エコビレッジ」の現実性
さて、ここまで妄想を膨らませていますが、水上メガソーラー建設の現実性はあるのでしょうか。
利点から話すと、水上での太陽光発電には、幾つか優れた点があります。まず、太陽光パネルが水面に近いため、発電中に装置が冷却され、高い発電効率が記録されています。また、砂漠などの乾燥地がないアジア東部では、ダム湖を中心に設置されていますが、用地が確保しやすい、景観を壊さないといった側面もあります。その結果、水上太陽光発電パネルの世界市場は、2020年から2027年まで28.9%の複合年間成長率で成長すると予想されています。
実は、世界の水上太陽光発電施設上位100で見ると、その内、日本72か所です。そのため、既述の水生環境への影響を測る調査・研究などは実施し易い“地の利”があります。
現時点で、世界最大規模の水上メガソーラーは、中国安徽省の4万kW(2017年)で、日本国内だと、千葉県の山倉水上メガソーラーの1.3万kW(2018年)です。本構想では、5か所×5㎢で150万kWを目指すため、山倉水上メガソーラーだと115倍、安徽省のでも38倍と、既存施設より圧倒的に大きく、非現実的に感じられるかもしれません。
ですが、アジアでは水上メガソーラーの巨大化が進んでおり、インドでは、50万KWの水上太陽光発電所が完成予定(出典:メガソーラービジネス)で、タイでは国家プロジェクトとして、今後20年のあいだに全国の9つのダム湖で計270万kWの出力となる計画が進行中(出典:Sustainable Japan)です。それでも、本構想のメガソーラーの1施設当たりの発電量は、今後計画されているものよりも大きく、世界最大規模となるため、チャレンジングな提案であることには変わりません。とは言え、父が構想した10年前に比べれば、現実性は徐々に帯びてきており、あと10年もすればその実現性はさらに増すでしょう。
一方、実現する上での課題は山積みです。莫大な資金の調達方法、びわ湖水上の許認可、市民主導の運営、持続可能なビジネスモデルと環境配慮etc、多様な専門性を持ち寄って、慎重に議論を重ねる必要があります。
特に、それほどの大きさとなると環境への負荷は避けて通れませんので、実証実験はこの構想の初期段階に不可欠と位置付けています。水上太陽光発電は、2015年以降に普及した新しい手法であるため、参考になる先行研究が十分でないと報告されている点も、その理由です。私たち2人とも、この水生環境のプロではないため、水生生物の生態系の研究者や、太陽光発電の専門家と一緒に、環境影響評価の手順を整えていければと考えています。
*
最後までお読みいただきありがとうございます。びわ湖上のメガソーラーの建設の妥当性や、水上エコビレッジの可能性について、少しでも理解が深まったならば幸いです。
今回は、構想の概要をご紹介しましたが、次回以降は、構想の発起人の考える「本当の狙い」や動機の原点、そして建築デザイン観点での構想の可能性についてご紹介します。つづきも、ぜひご覧ください!
1. びわ湖・水上エコビレッジ構想 ←本稿
2. 構想発起人へのインタビュー(前編:エコビレッジ構想の本当の狙い)
3. 構想発起人へのインタビュー(後編:自費出版してまでの強い想い)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?