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第1章成功するにはエリートコースを目指すべき? その③《リスクを冒さず、親や学校から言われた通りにするのは得か損か。高校の首席、無痛症の人びと、ピアノの神童から得られる洞察》
裕福な人は規則を守るか 「増強装置」の概念は、個人の芸術的才能や運動など専門的技能といった分野にのみ当てはまるわけではない。 一般社会とはあまり関係がないかと思うと、それは間違いだ。 たとえば世界で最も裕福な人びとについて考えてみよう。 彼らは皆、まじめに規則を守り、「外れ値」のようなマイナスの特性とは無縁な人間だろうか? いや、そんなことはない。 『フォーブス』誌が発表した「フォーブス400(アメリカの富豪上位四○○人)」のうち、五八人は大学に行かなかっ
第1章成功するにはエリートコースを目指すべき? その②《リスクを冒さず、親や学校から言われた通りにするのは得か損か。高校の首席、無痛症の人びと、ピアノの神童から得られる洞察》
蘭とタンポポと「有望な怪物」 ここでちょっと、蘭とタンポポと「有望な怪物」の話をしよう(そんな話はちっとも珍しくないと思うかもしれないが、しばしおつき合いいただきたい)。 スウェーデンでは古くから、「大半の子どもはタンポポだが、少数の子は蘭である」と言い伝えられてきた。 タンポポはたくましい。 それほど綺麗な花ではないが、どんな環境でもよく繁殖するので、わざわざ手間暇かけて育てようとする者はいない。 一方、蘭はきちんと管理してやらなければ枯れてしまうが、丁寧に世話をす
第1章成功するにはエリートコースを目指すべき? その①《リスクを冒さず、親や学校から言われた通りにするのは得か損か。高校の首席、無痛症の人びと、ピアノの神童から得られる洞察》
もしあなたが「痛みを感じない人」だったら? アシュリン・ブロッカーは、先天性無痛症(CIPA)だ。 実際、彼女は生まれてこのかた痛みを感じたことがない。 外見はごくふつうの10代の少女だが、SCN9A遺伝子に欠陥があるため神経伝達がうまく働かず、痛みの信号が脳に届かない。 痛みを感じないなら楽だ、と思うだろうか? 待ってほしい。 ダン・イノウエ上院議員が次のように説明するだろう。 「子どもなら誰しもスーパーヒーローに憧れる。痛みを感じない先天性無痛症の子たちもス