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「白鯨」

真冬の海を思い浮かべる、
気まぐれついでの口笛さえ凍りつかせた風が吹いていた日のことを、
国道沿いの白い花は今も排気ガスに揺さぶられ、
子供は歩道をとぼとぼと、踵のガムを擦り歩いて、
道化にもらった赤い風船、手放した、

遥か高くの陽のところへ帰りなよって、
天にて微笑む誰かのことを思い出す、

火花が咲かせた煙が灰を連れ添って、
青と白の間あたりに溶け込もうと試みる、
ひしゃげたガードレールの真下には、倒れたワインのボトルと踏み潰された花一輪、
見慣れた見慣れた、さっき見慣れようとした、
昨日と同じ景色のはずだった、真上に泳いでいる白鯨、

雨に濡らされながら舞いをやめない、色とりどりの傘とスカート、
天と地つなぐ、青が騒ぐ季節が始まる、
天の白鯨たちは揺られ千切れてそれでも東へ泳いでた、
耳を澄ませた、そこに鳴っているのは青い、
どうにも青い古い旋律、

photograph and words by billy.

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