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「調律」

貧しき人が荒ぶれたる終わらぬ冬の一夜の青い、
見慣れたけれど見たくはないんだ、
それはどう見たところで悲しい瞬間、

いつの日からか、僕は底に近しい場所で呼吸をしてた、

安い酒で祈りまで飲み込んで、
白々しい嘘、「大丈夫」と繕う笑顔、
明日もたぶん、今日みたいにそんなふう、
別にどうでもいいことなんだって、
通りに錆びた軽自動車が寂しそう、

深夜3時は眠りきれずに水道水で嘯いたる昼間のことを吐き出したい、
それこそほんとにどうでも良かった、
消えてなくなりゃ楽なんだろう?
僕はときどき問いてみるんだ、
真夜中の古い手鏡の、自分自身に訊いてみるんだ、

幸せになんてなれるのかなって、
安住の地を探してるだけ、
べつにそれくらいは許されるだろう、
ひとつの孤独な塊だとしてそれくらいなら、
たってこの肉体はまだ生きているのだから、

ぎくしゃくと、オイルの切れた歯車みたいな毎日を、
なんだかなぁ、こんなふうしか生きられないのかなって、
別に夢物語なんて持ってないのに、そこらで見かけるくらいのさ、
幸せ欲しいだけなのにって、どうにもうまくやれないなって、

ピアノを調律するように、心を調えられたなら、
生まれ変わることができるだろうか、ときどき僕はそんなことを考える、
風を鳴らすピアノみたいに軽やかに、思い煩うこともなく、

生きてくなんてできるだろうか、いつもいつでも僕は思う、

photograph and words by billy.

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