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【成長率434%】D2CスタートアップがどうやってVCから5.6億円を集めたのか教えます

バイオフィリア代表取締役CEOの岩橋です。

バイオフィリアは「ココグルメ」というわんこのごはんを作っているD2Cスタートアップで、2021年12月にシリーズA5.6億円の資金調達を実施しました。

その際にはnoteでココグルメやペットフード開発への私の思いを書かせていただきましたが、今回はよりビジネス的な側面から、資金調達を達成するためにどんなことを考え、どんな壁にぶち当たり、投資家の方々をどう説得して資金を集めたのかをお伝えします。

これから起業を考えている方、起業したものの資金調達に苦労している方、D2Cで頑張っている方々のヒントになれば幸いです!

1.資金調達の難しさは投資家さんとの”ギャップ”

幸いにもペット業界・D2C界隈は、コロナ禍が市場としては寄与したこともあり、好調を維持しています。しかし成長市場だからといって、資金調達がスムーズにいったわけでは決してありません。苦労したことも多くありました。

大きな要因としては、動物大好きな私と社員たちが大事にしていることと、投資家の方々が重視することにギャップがあったからです。
そのギャップをどうやって埋めていったのかをお話する前に、まず私たちが大事にしていることについて触れたいと思います。

2.「わんことオーナーさまのため」は譲れない

私たちが事業を行う上で大事にしていることは2つあります。

1)ユーザーファースト

何を差し置いても、お客さん=わんことオーナーさんに喜んでもらうためのフードをつくることが第一です。だからこそ安心安全で美味しいごはんであることを大事にしていますし、オーナーさん一人一人、わんこ一頭一頭が抱える食の悩みを直接聞いて、プロダクトに反映させる改善を続けてきたとで、今日のココグルメができています。

2)フード事業に専念

わんこはなんでも美味しそうに食べるイメージがあるかもしれませんが、案外そうでもありません。ココグルメユーザーの方々を対象に行った購入理由のアンケートでは、「愛犬の食が細く食いつきのいいフードを探していた」が39%、「ドライフードを食べなくなった」が20%と、実は愛犬のごはんに悩んでいる人は多くいるのです。

①愛犬の食が細く、食いつきの良いドッグフードを探していたから:39%
②高齢犬や病気になり、ドライフードを食べなくなったから:20%

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こういった食の課題を解決することがココグルメの使命だと考えていますし、食事によって愛犬を失った私にとって他人事ではありません。
そしてビジネスとしても見ても、課題が大きいからこそ大きなビジネスチャンスになるはずです。


3.事業者目線 VS お客様目線


一方で、投資家の方々には私と異なる考えを持つ方もたくさんいました。

具体的には、

1)ユーザーファーストに対しては、私たちがお客様目線になり過ぎるあまり、十分な利益が出ないのではないかと懸念された

2)フード事業に専念することに対しては、1つの事業だけでなく、ペットグッズや医療関連などペットにまつわるサービス全般を網羅するような事業展開を行うべきでは、というご指摘があった

このように投資家の方々の視点と、私たちの大事にしたいものとが合致しない場合は多々あります。

私は起業前に証券会社出身でIPOの仕事をしていたこともあり、投資家の方々の意見も十分理解できます。会社を大きくすることだけに重点をおいた事業計画を立て、説明することもできたのかもしれません。

でもそれは事業者目線でのお話。お腹を空かせたわんこには知ったこっちゃないことなのです。

そして事業者目線のままお客様目線を軽んじてお客様にご満足いただける商品を作れるほど商売の世界は甘くないんだということを、事業を通じお客様に触れることで実感し、意識が大きく変わっていきました。

(社内プレゼンでもことあるごとにユニクロ柳井さんの言葉を拝借しているのですが、その)柳井さんいわく、「お客様の目、品質に対する評価は非常に厳しい」

これは私もお客様の意見を直接聞いて同じ考えに至りました。

事業者目線の商品や金額ではお客様は決して満足しません。
そんなお客様のご要望にお応えするには一点特化で良い商品を作り続ける他ありません。

だから私たちはわんこのごはん作りに集中して、
脇目も振らずに純粋なD2Cカンパニーとしてあり続けてきました。

投資家の方々とお話を重ねいろんなご意見を頂戴する中でも、私はこの考えを譲れませんでした。

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では、どうやってギャップを乗り越え資金調達を実現したのか、についてです。

4.どう5.6億円を調達したのか

ユーザーファーストが事業的に不安視されることに関しては、とにかく実際の業績を見せることで説得材料にしてきました。

ココグルメはユーザーの方々のご意見をもとに一つの商品を2年間で6度もリニューアルしています。1パックの容量を減らし使い切りサイズにしたり、使用するお肉の部位を変更するなどのマイナーチェンジから、去年4月には原材料をオール国産にかえました。

そのことで価格が少し高くなってしまったのですが、原価率や利益率が下がってしまうようなことはなく、むしろ右肩上がりにどんどん売れているという事実を、実際にユーザーファーストの事例と数字を併せてお伝えすることで、投資家の方々も私たちの考えに理解を持ってくださるようになりました。

2つ目のフード1本という事業計画を納得いただくために、わんこの食に関する悩みについて知ってもらうことからスタートしました。
アンケート結果やお客様の悩み、感謝の声をお伝えし、SNSに投稿されるわんこがココグルメを美味しく食べている動画を見せしたりもしました。
(ワンちゃんの可愛さも大きな武器になったかもしれません)

わんこの食事に関してどれほど大きく根深い課題があるかを知っていただいた上で、ペットフード市場の大きさ(アメリカではペット関連市場の半分をフードが占めるほどです)や海外の資金調達事例、上場企業の事例などをかき集め、今後の成長が期待できることをお伝えしました。

もちろん全ての投資家の方々の賛同を得られたわけではありませんが、無事、自分たちが大切にしていることを妥協することなく、5.6億円を調達することができました。

5.信念は曲げなくてていい 曲げてはいけない!

起業をすると、迷ったり壁にぶちあたったりすることが何度もあると思います。
正直、私もフード事業に専念すると決断するまでかなり迷いました。。。
経営者としては1つの事業に専念することはリスクが高く、勇気のいる決断だったからです。

でも自分のやりたいこと、実現したいことがあって起業したのだから、自分の信念に自信を持って、自分と仲間たちが築いてきた事業に自信を持って、ひたすらに磨き上げていって欲しいと思います。

私はココグルメに絶対の自信を持っています。その自信と努力する姿を見て投資家さんが信じて投資をしてくれました。

結果を出していけば、信じてついてきてくれる方が出てきます。

一度目の交渉はダメだったとしても、何度も交渉して、自分の信念を実現していく姿を投資家さんに見てもらってください。諦めずに時間をかけて事業を強くしていけば、一度目の交渉で言っていたことを二度目、三度目でちゃんと実現してくる起業家なんだと感じてもらえるのではないかと思います。

これから起業する方、資金調達に向けて頑張っている起業家の方、今同じステージで頑張っているD2C企業の方にも、この様な事例があることを知って頂いて、何かしら参考や活力になれたら嬉しい限りです。

これからも時々起業の話やビジネスをテーマにnoteに投稿していきますので、ぜひフォロー&スキをいただけるとありがたいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!


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