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100文字で綴られた物語 (No.73-75)

こんにちは、微熱文学です。

100文字で物語のようなものを書いています。


No.73「聴診器」

君の胸の鼓動が僕の鼓膜に伝わる。トク、トク、トク。その安定したリズムは僕を安心させる。時計の針が時を刻むように、周期的なそれは自転と公転を繰り返し、そして季節が巡る。新しい命が、芽生えようとしている。




No.74「都合のいい人」

彼はいつも自分が困った時にだけ連絡をしてくる。私は彼にとって都合のいい人間なのかもしれない。でも彼と一緒の時間が増えるならそれでいい。自分を犠牲にしても彼が幸せならそれでいい。これでずっと、一緒だね。



No.75「捕喰」

カーテンの隙間から漏れる朝日が僕の瞼を透過し、オレンジ色が視界を覆う。瞼の裏に君の笑顔が今日も浮かんでくる。名前も知らない君は僕を覚えているだろうか。もしかすると僕は君を喰べてしまったのかもしれない。


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