テラコッタ、パンナコッタ、バンコッタ
今年は10月に入っても、真夏のような日が続いている。
それでも秋は、くすんだオレンジ色の洋服を着たくなる。熟した柿の実のような色の服だ。
私のお気に入りは、ずい分前に姉からもらった、タートルネックの半袖ニット。柿色のそれは、半袖だが、タートルネックなので、暑すぎず寒すぎない秋にちょうどいい。
今年はちょっと暑いのだけれど、10月はやっぱり秋なので、そのニットを着たくなった。そこで、涼しくなった夜ならいいだろうと、そのお気に入りのニットを着て、なじみの居酒屋へ足を運んだ。
すると、私を見るなり、おしゃれが大好きな女性スタッフがこう言った。
「あ!テラコッタのニットですね!」
テ、テラなんとか??
「テラコッタですよ~。そういう、くすんだオレンジ色のことを、テラコッタっていうんです」
調べてみると、テラコッタというのは「terra cotta」 と書くイタリア語らしい。直訳すると「 焼いた (cotta)土 (terra)」という意味で、陶器や建築用素材などに使われる素焼きの焼き物のこと。そこから転じて、茶色ががったオレンジ色のことも「テラコッタ」というようになったそうだ。
正確には、テラコッタと柿色は微妙に違う色らしいのだが、いずれもくすんだオレンジ色には変わりがない。私は日本人だから、くすんだオレンジ色のことは、柿色と呼んでいた。
「柿色!やっぱり、秋は食欲の秋ですもんね」
そういえば、「パンナコッタ」というデザートが流行ったことがあったな…。なんていうか、やわらかいミルクプリンのようなものだったと思う。あれも、イタリア語じゃなかったかしらん?
ふと思ったので、再び調べてみた。
パンナコッタ(Panna cotta)は、「cotta(煮た)panna(生クリーム)」という意味だそうだ。たしかに、生クリームと牛乳、砂糖を合わせて煮て、ゼラチンで固めたデザートである。
テラコッタと、パンナコッタ。
イタリア語って、なんで「コッタ」って使うんだろう??日本語なら「肩こった」ぐらいしか使わないけど。あ、「凝ったつくり」とかにも使うか。
今度は「コッタ(cotta)」を調べてみた。すると、意外な言葉が登場した。
日本でもパスタなどでおなじみの「アル・デンテ(al dente)」である。日本ではイタリアンレストランの名前にもなっている、あの言葉だ。
なんで、コッタとアル・デンテなのか??
アル・デンテは、パスタの中心にちょっと芯が残っているような、固ゆでのことをいう。そして、「 ノン・アル・デンテ(Non al dente)」つまり、やわらかくゆでたもののことを、「ベン・コッタ(ben cotta)」というらしい!
「コッタ(cotta)」は、煮る、焼くなど「火を通す」という意味だから、「よく煮る」はベン・コッタ。
テラコッタ、パンナコッタ、ベンコッタ。
ああ、いろいろ調べて、肩コッタ。
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