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ラクロスと握力の関係性(データを中心に)

今回はまともなトレーナーとしての考察です。結論を先に言えば、握力の向上は意図したものではなく、副産物に過ぎない。その理由について書いております。難しいことはよくわからないって人は、最後の結論だけでも読んでもらえたら幸いです。

はじめに

近年、ラクロスのパフォーマンスと握力の関係性についてが話題となっている。私が属していたチームでもこの話は注目を集めた。トレーナーや理学療法士がこのデータを見て何を考えたのかを一分をまとめたので解説してみました。あくまで一部であり、参考程度にしかなりませんので悪しからず。

なぜ、ラクロスで握力なのか(仮説)

多くの人がご存知の通りラクロスではクロスという棒状の道具を使ってプレーする。そのため『握る』という動作がサッカーやバスケよりも影響を受けることは想像しやすいだろう。男子の場合では、チェックという動作やロングクロスを使うことからより『握る』という動作が重要のように感じられる。また、男女に共通してコンタクトプレーがあることから押し出す時に握力が重要となる可能性がある。

総じて握りながら道具をコントロールすることから握る力そのものがクロスワークに直結するのではないか?加えて、海外の選手(men’s)では握力の数値が異常に高かった。

以上のことが握力に注目が集まった理由だと考えられる。では、実際に握力のデータはどうなっているだろうか。

フィジカルデータのレベルはどのくらいなのか

男子のデータ

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女子のデータ

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女子のデーターは古いです。確か2010年くらいのデータだったはず。申し訳ない。。この女子のデータはNCAAのDV1のデータです。簡単いえば、アメリカのラクロス1部リーグのデータと思ってもらえればいいかと。

ラクロスの選手の基本データはこんな感じです。では、このデータの数値が高いのか低いのかを検討したいと思います。以下から女子のみで比較していきます。

他のスポーツではどうだろうか

以下のデータは2010年くらいのデータなので古いです。これは日本の大学の運動系クラブに所属している人の平均と部活別の平均をまとめたデータです。参考程度です。

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ラクロス選手の握力は、他のスポーツに比べると特質して高くないことがわかる。ソフトボールや投擲、テニスが圧倒的に高いことがわかる。ラクロスで32.3kgとなっている.アメリカ選手のレベルと比較しても遜色ないことがわかる。ちなみにアメリカは世界ランキング2位と日本は6〜10位程度なので、競技レベルに握力がそこまで影響しているか言われると疑問符がついてしまう。

日本人の平均

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世界の平均

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日本の平均と世界の平均を比べてみても大きな差はない。一般の人の平均と競技者の握力を比べれば、競技者の方が若干高いがこの差がどの程度影響を与えるのは懐疑的である。数値だけ見れば、女子に関して言えば、握力とクロスワークの関係性はそこまであるようには考えられないというのが私の結論である。

では、なぜ、握力を測定しているのか?
また、何がそこまで関係していると言えるのだろうか。

握力を測定している理由

日本のスポーツテストでもそうですが、なぜ握力を測定するのかと言えば、握力は全身の筋力と相関性が高いと言われているからである。

なぜ、全身と相関性があるのかというと進化論とかも入ってくる。簡単に言えば、猿人の繋がりから握力とブラッキー動作と背筋力が関係していると言われている。

では、他の筋力はどうか。

バーティカルジャンプ

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NCAAは44±6.2
日本選手は47.0 

となっている。表記の違いがあるので、比べ難いところもあるが若干日本選手の方が優っているかもしれない。

そのほかを比較しようと思いましたが、資料がなく比較できなかった。残念。

しかし、女子に限って言えば世界トップ基準のレベルの身体能力でプレーしている可能性が高いことがわかる。

少し男子の話になるが
一方で、男子のラクロスの選手を見ると著しく握力が高いことがわかる。日本の男子のデータがないので比較できないのですが、ここまである選手はそんなにいないはず。ラクロス選手が握力がここまで高い理由はほぼ間違いなく、クロスを自由に扱うためだと言える。しかし、ここで考えなければならないのは、

意図に握力を強化したのか、それとも結果として握力が高くなったのか

ということだ。

握力は目標か結果か

私の個人的な見解では、

意図的に挙げられたが、握力強化訓練はやっていない。

と考えている。

どういうことか。

例えば、重いバンベルを使ったトレーニングを多く組み込んで握力+○○筋の筋力強化といったトレーニングを多く取り入れていると考えられる。そのほかにはケーブルを使ったトレーニングやロープを使ったトレーニングなども同様だ。

クロスを使うために必要な握力を上げるために握力トレーニングをしたわけではなく、

クロスを使うために必要な握力を上げるために、握る必要がある道具を使って筋力トレーニングを行った。

おそらく、マシン系ではなく、フリーウェイトやムーブメント系+ダンベルといったものだと予想している。

結論

おそらく、握力とラクロスのクロスワークという点において相関性は低いと考えられる。つまり、握力が上がれば、クロスワークが付く、シュートが速くなる、とは直結しないと考えられる。クロスワークに必要な全身の筋力や体の使い方、使うために必要な筋力を強化した結果として握力が上がってきたと考える方がだろうだろう。

しかし、握力が必要だという点も考慮し、握力も並行してあげることができるトレーニングを選択して全身の筋力強化を行なっていると考えられる。

もしラクロッサーの方がこれを読んでいて興味がありましたら、お声がけください。次回は続編を載せたいと思います。


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