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ホップについて①【ビール用語辞典】なんでビールに苦味がつくの!? クラフトビールがより楽しくなるコアな知識

ホップとは

なぜホップがビールに使われるようになったのか?
など歴史については検索して他のウェブページを探して下さい。
BREWING ACADEMYでは『少しコアな知識』をテーマに、一般的に生活する上で不必要なビールに関する用語などを深堀していきます!
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ホップは、アサ科カラハナソウ(唐花草)属の要性の多年生植物で、ビール醸造では雌花の未授精の処女花を使います。
5月の初め頃に萌芽し、収穫時期の8月~9月には蔑の高さは7mほどの高さまで成長します。
世界では250種類以上の品種が登録されており、近年では都内でも栽培するところも増えてきて、地域活性化の手段としても取り上げられてきています。
興味のある方は『武蔵野市観光機構』の記事をご覧下さい。

ホップをビールに入れる理由と役割!

ビールをつくるううえでホップの役割は、
・苦味付け
・香り付け

この2つがメインで、おいしさに直結する最大要因です!
苦味付け用のホップを”ビタリングホップ"、香り付け用のホップを”アロマホップ”、両方の機能をするものを”デュアルホップ”と呼びます。
今回の記事ではビタリングホップについてお話していきます。

ビール醸造を始める際、ホップの種類を選ぶ必要がありますが、どれを選んだら良いか分からない。。。
そんな経験をした方や、これからビールをつくってみたいと思っている方は、この後もお付き合いください。
ビールを楽しく飲むための知識が欲しい!という方向けの記事はまた改めて書かせて頂きますので、別の記事をご覧下さい。

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ホップの苦味について

ホップを使う理由の一つに”苦味付け”があると言いましたが、ホップの何が作用しているのでしょうか?
ホップ由来の苦味は、小胞に付着している”ルプリン”と呼ばれる粒が基因していると聞いたことがあるかもしれません。この”ルプリン”はホップの種類によって同じ量でも苦味の作用は変わってきます。
ビールの苦味に直接基因している成分は”ルプリン”に含まれる”α酸(アルファ酸)”です。
"アルファ酸"はビール中にわずか7ppm (1リットルに7mg)含まれているだけで苦く感じられるほど苦味パワーが強いんです。
”アルファ酸”はホップの品種によって違いがあり、”アルファ酸”も3つの成分に細分化されています。
①フムロン
②コフムロン
③アドフムロン

いずれも苦味をもたらしますが 苦味の質はフムロンが最も擾れており、クリーンで爽やかです。
それに対してコフムロンは不快な苦味を持っています。
このα酸量が多いホップを”ビタリングホップ”と呼びます。

ルプリン

ビールの苦味の強さを表す”IBU”

クラフトビールについて調べていると”IBU”という数値を見たことがあるかと思います。「International Bitterness Units」の略語のことで、いわば「国際的な苦味の単位」みたいなものです。その数値を見ればそのビールがどれくらい苦いのかがわかります。
1IBUはビール1L中に1mgのα酸が含まれていることです。
α酸の苦味を感じる最低レベル(閾値)は人により差はありますが、7BU~10BUとされています。
大手ビール会社のラガーはIBU20程度、IPAになると50以上のものが多く、なんとIBU1000ビールもあります。
IBUを見れば基本的には苦味がどれくらいかがわかりますが、必ずしもIBUが同じビールから感じる苦味が同じなわけではありません。
ビールを飲む人が実際に舌で感じる苦味の強さは、そのビールの最終比重(結果的には残留糖分)に左右されるのです。
つまり、IBU50の最終比重1.001のスッキリ系IPAとIBU50の最終比重1.015のボディしっかり目IPAだと感じる苦味は変わってくるのです。
従って最終比重が異なればIBU値が同じでも、感じられる苦味は異なります。

IBUの計算方法

〈ペレットホップの場合〉
・苦味付け用ホップ投入量計算式
ホップ量g={BU÷(1×α酸%×抽出量%×1000)}×仕込み量L

(例)目標BU値25、α酸5.4%、抽出量28.5%、仕込み量1000Lの場合
   {25÷(1×5.4%×28.5%×1000)}×1000=
   (25÷15.39)×1000=1624≠1600g

・煮沸後の麦汁のBU値の算出方法
 BU={ホップ投入量g×(1×α酸%×抽出量%×1000)}÷煮沸釜の麦汁量L

〈ホールホップの場合〉
・苦味付け用ホップ投入量計算式
ホップ量g={BU÷(1×α酸%×抽出量%×1000)}×仕込み量L

(例)目標BU値25、α酸5.4%、抽出量28.5%、仕込み量1000Lの場合
   {25÷(1×5.4%×28.5%×1000)}×1000=
   (25÷15.39)×1000=1624≠1600g

・煮沸後の麦汁のBU値の算出方法
 BU={ホップ投入量g×(1×α酸%×抽出量%×1000)}÷煮沸釜の麦汁量L

ビタリングホップの投入タイミング

ホップタイミング

先述したようにビールの苦味の要因は”α酸”ですが、α酸はそのままでは液体に溶解しません。上の図はホップ投入タイミングによる苦味と香りの変化を表しております。
図からもわかるようにホップはビール醸造においては麦汁と一緒に100℃以上で煮沸し、「イソ・アルファ酸」に変換しなければならないのです。「イソ・アルファ酸」になることで麦汁に苦味が溶け込みます。しかし、それでもすべてのアルファ酸を抽出することができず、1時間の煮沸で25-30%程度しかビールには溶け込みません
そのため、α酸を効率よく抽出するためには煮沸時間が重要になります。α酸の抽出量は煮沸時間が長ければ長いほど多くなり、しっかりとした苦味を出してくれます。しかしながら、それと同時に不快な苦味のもとであるコフムロンも抽出してしまうため、煮沸時間には注意が必要です。
例えばアロマホップとして大人気のアメリカ産ホップ”Cascade”は、α酸4.5~7%とそこまで高くはありませんが、ホップである以上煮沸をすれば苦味を麦汁に与えてくれます。しかしながらコフムロンが30~35%であるため、ビタリングホップとして使うと不快な苦味が多く抽出される傾向があるため注意が必要です。そのためビタリングホップを決める際にはα酸の値はもちろんですが、コフムロンの値も意識して選定することが重要です。

高α産のビタリングホップ

・Magnum(マグナム)ドイツ産
最も有名なビタリングホップの一つ。高いアルファ酸を持ちクリーンな苦味をもたらすビタリングホップ。アロマは微か。ハラタウ・マグナムとも呼ばれる。
α酸:11~16%  コフムロン21~29%

・Nugget(ナゲット)アメリカ産
高α酸のビタリングホップ。花のアロマも強いため、煮沸時間を調整することでビールにフローラルノートをつけることもできる。
α酸:13.5~16%  コフムロン:22~26%

・Merkur(メルクール)ドイツ産
ハラタウ・メルクールとも呼ばれる。高いアルファ酸と低いコフムロンを持つ。また、高いミクリンとフムロンも含むため大地、柑橘系のアロマも持つ。
α酸:12~14%  コフムロン:18~20%

・Chinook(チヌック)アメリカ産
人気のあるアメリカ産デュアルホップの一つ。柑橘系や松の香りを持つためアロマホップとしてはもちろん、α酸も高いためビタリングホップとしても多くのブルワリーで使用されている。
α酸:11.5~15%  コフムロン:27~31%

次回はアロマホップについて!

ホップのもう一つの面であり、近年のビールの主役ともいえるホップの香りについてお話していきます!

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【過去記事】


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