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社会を生き抜く「証明力」の極意! ITコンサルタントが学びや仕事を通じて辿り着いた究極のスキルを徹底解説 (第1編 証明とは)

社会を生き抜くための「証明力」。証明と聞いて、何を想像しますか?数学?身分証明?それとも?・・生き抜くために必要な力としてピンとくる方は少ないかもしれません。
本記事では、この超重要な「証明力」のスキルについて解説します。

私自身の自己紹介となりますが、クライアントの現場ではITコンサルタントやプロジェクトマネージャーとして、そして所属会社では組織マネージャーとして、多くの現場に入り、様々な人に出会い、仕事をしてきました。今は20年強の正社員生活に終止符を打ち、独立して会社を立ち上げ、生計を立てられるまでになりました。

生まれつき、負けず嫌いで、自分が実際に経験しないと納得できない性分。正社員時代は、そこにプラスして素直過ぎる面と器用貧乏な面が災いして、とにかく成長したい一心で、目の前の膨大な仕事をこなしてきました。私は、昭和を知るラストメンバーのアラフィフ世代。世の中的に、自己犠牲という謎の美学もあり、20代~30代は、相当な量の時間・精神・身体を消費しました。細かい失敗は数え切れず、自身の成長に悩み、挫折も経験しました。ただ、その数だけ自分と向き合い、ときに次のステップに進むために環境も変えることで、乗り越えてきました。当時は早く「殻を抜けたい」という気持ちに毎日支配されていた感覚でしたが、今は過去に蒔いた種と栄養が実を結び、ようやく、誇れる自分の幹ができてきたな、という実感があります。

激動の時間と、大いなる悩みの中でたどり着いた究極のスキル。それが「証明力」です。

この「証明」のスキルは、もちろんベテランの社会人の方でも習得できますが、特に学生や若手の社会人の皆さんに、ぜひ意識いただきたいスキルです。なぜ学生や若手の社会人がターゲットになるのか。詳しくは本編で触れていきますが、意識が早ければ早いほど有利になるという理由があります。

何かの縁でこの記事にたどり着いてくださった方に、私がたどり着いた極意をお伝えしたく、全体を以下の章立てで解説していきます。長文になるため、投稿の単位を分けますが、一つでも有意義な学びにつながればと思っていますので、最後までお付き合いくだされば幸いです。

全体構成

第1編 証明とは(本記事)


第2編 証明の構造
3. 証明の構造
4. 3つのキーワード

第3編 証明力を武器にする
5. 「相手」と「命題」が実はクセモノ
6. 「証明力」がある人とは
おわりに

続いて、本編に入っていきます。

1. なぜ「証明力」に辿り着いたのか

私が会社の正社員として過ごした約20年は、いま振り返ると、ひたすら周りに「説明」をしていた時間だったように思います。

新人の頃は、トレーナー的な立場で上についてくれた先輩から細かな最終イメージを指示され、細かく期限を切られ、その時がきたら成果を報告。どんな作業をしたのか、作業プロセスの説明。期限に間に合わなければその理由を説明。課題があればその課題を説明。なぜそれを課題と思うかを問われ、なんとなくうまくいかないからと説明しても先輩は納得せず。次回までに課題と対応策を考えてまた説明。慣れてきたら顧客に説明。1週間の活動計画を社内に説明。職位が上がるにつれ、見る世界の視野が広がり、視座も高まっていきましたが、やっていることは自分の立場から自分の考えを示した上で、計画から実績まで、あらゆることを説明。それは自分よがりの考えだという周りからのツッコミが事前に想像できたときは、さらに先回りして一般的な市場動向や情勢、トレンドなどを調べて説明に備える。こう書いても、「説明」に費やしてきた時間は相当なボリュームです。

それと並行して、社内外の資格を取るために勉強もしましたが、これも自分の持つスキルを証明するための活動です。資格を通じて他者からの信頼を得ることにつなげていくために。

さらに、コンサルタントとして鍛錬を積む中で、数々のクライアント様の「プロジェクト」に参画してきました。プロジェクトとは、会社組織とは切り離された特別部隊における、期間限定の活動です。多くのプロジェクトでは通常、初めて顔を合わせると同時に、その日から一緒に仕事をさせていただく方々が多くいらっしゃいますので、そこでも自分は何者なのかを説明し、理解してもらうことに努めてきました。

そして、転職。これも、履歴書や職務経歴書に自分のスキル・経験が証明できるよう、何度も表現を見直して面接で説明してきました。
独立した今でも、もちろん法人経営には各種証明は付きものですし、新たなクライアントと会話する時は、お互いに素性を明らかにするところから仕事が始まります。

  • 自分の属性を説明する・・・自己紹介、履歴書、職務経歴書、資格証明書

  • 自分の脳内を説明する・・・戦略、方針、考え方、計画、その根拠や理由

  • 自分の成果を説明する・・・成果の中身、計画との差異、その根拠や理由

私が社会に生きるためには、とにかく、説明、説明、説明。説明がうまくいけば満足する。逆にうまくいかなければ凹む。私は、言葉にならないものを抽象化して身体や作品で表現し、それを評価してもらって価値につなげいていく、いわゆるアスリートや芸術家ではありませんので、凡人の私が他の理解を得るには、やはり言葉で納得していただく必要がある。そうか、自分には「説明」、そしてそれを確かなものにする「証明」がどうしても付きまとうのだと、相当に時間が経過してから理屈で整理ができたのでした。

その証明力の重要性に後から気づいた一方、自分の生きざまを振り返ってみると、比較的、証明力はもともと高かったのではないかと思える自分がいます。それはなぜかと考えると、確たることはわかりませんが、中学生時代に数学の証明問題を解きまくった記憶に行き着きます。”〇〇の場合”。”〇〇と置く”。“ゆえに”。”なぜならば”。、、、数学の証明問題の独特の言い回しですね。

その頃はマジメに問題集の解法を暗記に近い形で学び、その甲斐あって点数は取れたけれども、「証明せよ」という問題に対して、問題で与えられた条件も多いし、暗記した定理も使っているし、自分が本当に「証明」したものは何だったのかなと、心のどこかで気持ち悪かったな、なんて記憶も同時に思い浮かべながら。

そうして、逆説的に、ある仮説が自分の中に湧いてきました。
この「証明力」を意識的に高めてうまく付き合うことができれば、もっともっと人生が豊かになるのではないか、と。

以上が、私が超重要スキルとして「証明力」にたどり着いた理由です。

2. 証明とは何か

「証明」の意味を辞書で引いてみました。
デジタル大辞典(小学館)によれば、このように定義されています。

1. ある物事や判断の真偽を、証拠を挙げて明らかにすること。「身の潔白を—する」「本人であることを—する書類」「身分—」「印鑑—」

2. 数学および論理学で、真であると認められているいくつかの命題(公理)から、ある命題が正しいことを論理的に導くこと。論証。

3. 訴訟法上、当事者が事実の存否について、裁判官に確信を抱かせること。または、これに基づき裁判官が確信を得た状態。→疎明 (そめい)

『デジタル大辞典』(小学館)

実に奥が深いですね。
私を含む、社会に生きる地球上の人々が、何らかの集団における社会生活を送る上で、レベルの高低はあるにせよ、各人が毎日毎日、繰り返しやっている活動のように私は感じます。

数学愛好家として知られる瀬山士郎さんの著書によれば、証明には2つの側面があり、以下のように述べられています。

世の中には、「事実はこうだ」あるいは「測ってみたらこうなった」という確かめ方ではなく、理屈で考えれば理解できることがあるのだ、ということを子供たちに分かってもらう。とくに中学校で証明という数学用語が出てきたあとは、事実を提示する方法(実証)とは違って、論理によってある事柄が正しいことを確認する方法(論証)があることを理解し身につけてもらう。これは数学だけではなく、人が物事を考え理解するとはどういうことかという大問題に通じる、とても大切な教育の目標の1つです。

(瀬山士郎『数学にとって証明とはなにか』講談社)

このように、証拠を示し証明を勝ち取るには、物証だけでなく、論理的な説明によって説得力を持たせる方法があるのです。次のパートから、証明力を獲得するために必要なことは何か、要素分解して説明していきたいと思います。

(「第2編 証明の構造」に続きます)