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ドイツの子育て-日本語補習校(幼稚部)-

本語補習校~幼稚部~

日本語補習校に子どもを通わせている中で、私なりに気が付いたことがある。

月齢も違えば、個性も違う-違うのはどの学年も一緒だが、今は授業中だからという判断がまだまったくない、ないしはようやくできはじめる時期の-子どもたちがいる幼稚部。
そういう子どもたちを集めていったい何から始めたらいいのか、私には最初、教師としても、ママとしても、具体的なイメージがわかなかった。

けれど、日本語補習校の授業に参加し、授業の様子、子どもたちの様子を見ているうちに、なるほど、こんな月齢・年齢でも、その学年に応じた学習、学校的にいえば、発達段階に応じた教育目標の設定というものが可能なのか、と思った。

もちろん、月齢と個性によって、できること・できないことの幅は広い。でも、それはそれでいい。評価があるわけではないのだから、楽しめればそれでいいのだ。
それに、他の子に比べて自分の子ができなくったって心配することはないその子にはその子のペースがあるのだから。

※ただし、本当に心配なケース-自閉症が潜んでいたり-もある。病名をむやみにつける必要はないし、グレーな場合には、親も判断に悩むだろう。でも、そこは勇気をもって、認めることも大事。
早くからそれ相応の対応をすることで、子どもも親も生きやすくなるからだ。また、ドイツではそういった子どもへのフォローが早くて手広い。偏見も日本よりも少ないと言えるだろう。
(こうしたちょっと問題を抱えた子どもについては別途書くつもり。)

そのうえで、日本語補習校で私が教師目線&ママ目線で見てきた授業の様子と、そこで気づいたことについて簡単にまとめていきたい。
それによって、小さな子どもと家で、-楽しみながら、でも同時に子どもの学びを促進するために-何をしたらいいのかわからないという人のヒントになればと思う。

※以下は、私が経験から感じたこと・考えたことであって、何かの教育理論やその類の本に基いたものではありません。よって、学術的な根拠には基づいていません。あしからず💛

・0-1歳児

この学年のテーマは、「自分発見」「他者発見」である。

この学年は、数か月の月齢の違いで、発育もかなり違う。また、性格・個性によってもできること・できないことの差が大きい(他人への配慮がないから、特に個性が目立つ)。

具体的には、0歳児から1歳児にかけては、ハイハイ~歩きだす、ということが大きなイベントだが、ハイハイの時期が長い子、短い子、転んでも転んでも怖がらずに歩く子、あくまでもマイペースで慎重に歩く子と、本当に様々。
うちの子は後者で、周りで友だちが歩いていても、全く気にする様子もなくハイハイをし、おっぱいにかぶりついていた。
そんな状態だから、何かを学ぶ、学ばせる、ということは不可能な気がするが、それでもこの月齢に大事だと思えるテーマはある。それが、上に挙げた「自分発見」「他者発見」だ。

この時期の子ども(赤ちゃん)の世界は、いってみれば「自分と、パパ・ママ(またはそれに相当する養育者)」でしかない。
そして、一番身近なパパ・ママ(または養育者)との身体的・言語的なコミュニケーションを通して、自分と他人を知っていく。

日本語補習校の授業では
手遊び歌
絵本の読みきかせ
布や新聞紙、風船など、素材の違うものを触ったり、音をきく活動
がメインだったが、

その意味では、「手遊び歌」は、この「自分発見」、「他者発見」に重要な役割を果たすと感じた。

手遊び歌を歌いながら、ママの手を見せたり、子どもの手をとってそれを子どもに見せたりすることで、ママの手、自分の手、ママの足、自分の足、ママの目、自分の目、を認識していくのだ。
それが最終的には、自分とママが別の存在なのだという気づきへとつながっていく。

ただ、そのプロセスにおいては、赤ちゃんは不安に感じることも多いはず。特にママとは、生まれてきてからもしばらくは、自分と一体のものだと思っているふしが赤ちゃんにはある。
それが別々のものなのだと気づかなければならない、ということは、ママと切り離されていくような不安が生じるのではないだろうか。

だから、手遊び歌では、べたべたと体のあちこちを思いっきり触りながら、歌を歌ったりするとよい。そうすると、体は別々であっても、自分とママ・パパとは精神的にちゃんとつながっているのだ、ということを感じることができて、安心するはず。

一般的な育児という観点からも、こうした意図的に行うべたべたタイムは重要だと思う。
普段はどうしても、泣くから抱っこ、出かけるから抱っこ、と、必要に駆られてせわしなく抱っこしてしまうことが多い。
けれど、赤ちゃんはもっとママ・パパに遊んでほしいと思っているはずだ。
ただ、それはわかっているけど、、、なかなかそのための時間も気持ちの余裕も持てない、というのが現実。
そういう意味で、日本語補習校の週に1回の授業中だけでも、思いっきり子どもと向き合う時間-しかも、他のママ友がいる手前、ママも機嫌がいいから(!)和やかな時間にもなる-が持てれば、親にとっても子どもにとっても有益だと思う。


・1-2歳児

テーマは、色と形の認識

0-1歳児の「自分発見」「他者発見」に加え、おもちゃをつかって遊ぶことができるようになってくることから、その色や形に興味を示すようになるし、認識する能力も高まってくる。

日本語補習校での活動内容は、基本的に0-1歳児と同じ。

活動内容自体はそれでいいのだが、もちろん、重点は変えるべき。
(ただし、うちの子が通っていたときの先生はあまりそういう意識がない人で、たいていの子どもがしゃべるようになってくる学期末でも、ただ布をひらひらさせるだけ、といった授業をしていた。その際には、そもそも「日本語補習」のための学校なのだから、子どもの成長にあわせて、活動中の語彙を増やすなど工夫が欲しいと思った。)

つまり、色や形を認識できるもの-カラフルなボール積み木など-を触らせて遊ぶとよい。風船や布、粘土や発泡スチロール(食べちゃわないように気をつけて)など、手触りの違うもので遊んでもよい。

言葉もでてくる時期だから、遊んでいる祭に、色や形を表す言葉をたくさん聞かせてあげると、ボキャブラリーも増えていくはず。

散歩をしながら信号の色や、目に入ったものの形を指摘してあげるといいかもしれない。


・2-3歳児

新たなテーマは、数字

引き続き色・形のほか、数字にも興味を持ちだす。
まだまだ、2は1よりも多い、ということを理解するまでにはいかず、形認識の延長みたいな感覚。「丸・三角・四角とは違う形だな。なんだろう」、という程度の興味だと思う。

ただし、この年齢の全部の子どもが数字に興味を持つわけではない。数字に興味を示すかどうかは、そもそも形に興味があるかどうかということにもよる。
だから、丸・三角・四角・星形・ハート形くらいは興味もあるし、違いもわかるけど、数字までの興味には至らないという子もたくさんいる。
そういう場合は、能力がない、のではなくて、単に興味がない(まだ時期ではない)だけなので、特に焦って数字を子どもにつきつける必要はない。

ただ、数字を認識する力は持っているはずなので、親は、生活の中で目にはいる数字を子どもに見せてみたり、読んでみたりするといいと思う。

日本語補習校では、私の子はリトミック(音楽教育)を使う先生が担当だったが、音楽を使った活動というよりも、色・形に重点がおかれた授業内容だったと記憶している。

1-2歳では色・形の認識にボールや積み木が使われたが、2-3歳では紙を丸や三角、四角に切り取ったカードや、紙に書かれただけのものを使うようになった。
つまり、同じ遊びながらでも、ボールなど3次元のものを使った、体を動かす活動ではなく、2次元のものを使った、卓上での活動に変わったのだ。

実際、2歳までの活動は床で行われたが、2歳からの授業は椅子に座って机で行われるようになった。


・3-4歳児

新たなテーマは、文字

子どもが自発的に、なにかのラベルを指さして「ここに〇〇って書いてあるよ」と言い始めたりする。
もちろん、この段階では本当に文字を読んでいるわけではないから、そこに書かれていることとは全く違うことを言ったりするのだが、要するに、文字というものがあって、それは何かを意味している、ということを理解し始める、ということだ。
また、絵本が好きな子は、絵本に書かれた文字を読みたがったり、内容を覚えていて、それとひらがなを結び付けて、ひらがなが読めるようになっていたりするだろう。

うちの子が通う日本語補習校では、この学年ではまだ、ボキャブラリーを増やす・運筆力を高めるために塗り絵をする、といったことに重点が置かれていて、実際のひらがな読み学習は次の学年からだったが、要するに能力的には不可能ではないということだから、子どもの性格やタイミングを見極めたうえで、家庭でひらがなを教え始めてもいいと思う。

ちなみに私はうちの子が4歳になる少し前から、ひらがな読み学習を家ではじめた。日本語補習校の学習計画をフライングしたのは、具体的に理由があったからだが、これについてはまた別に書くこととする。
いずれにしても、その時に2-3ヶ月、集中的にひらがなを学習したことで、かなり身についたし、家庭学習の習慣もなんとなくついた気がする。

日本語補習校の授業では
手遊び歌
絵本の読み聞かせ
ボキャブラリーを増やすための、プリントを使ったり体を使った活動
(例えば、2つのオムライスが書かれた絵に、赤いクレヨンでケチャップを一方には「たくさん」のせる、他方には「ちょっと」のせる、という活動。これによって、「たくさん」と「すこし」という表現を学ぶ、など。)
がメインであり、かつ、宿題に必ず塗り絵がだされた。これは文字を書く時の運筆力を養うことが目的らしい。

また、この学年のうちに、ママなしで授業をうけられるようになることが求められる。これは、出来ちゃう子は初回の授業からできていた。
甘えん坊のうちの子は、結局、2学期が終わるまで私が一緒にいなければならなかった。でも、要するに次の学年からできればいいのだから、このくらいは月齢による誤差という程度と認識してよい(実際、うちの子は早生まれ)。
私は、廊下で待っているママ友たちの会話に交じりたい!と思いつつも、堂々と授業を見学することができて、有意義でもあった。

宿題が出るようになることから、家庭学習の習慣づけができるチャンスでもある。ただ、塗り絵はかなり子どもによって好き嫌いがあるようだった。

この点も、バイリンガル教育にとって、なかなか難しいところだ。特にバイリンガル教育を目指していない場合、子どもが塗り絵をしなかろうが、お絵描きをしなかろうが、好きじゃないことをムリにやらせる必要はない。
ただ、日本語を書くことまでちゃんと身につけさせたいと思ったときに、この時期からえんぴつを持つ習慣ができているとかなり違う。
塗り絵じゃなくてもいいから、なにかしら意識して書かせる活動をさせたいところだ。

・4-5歳児

テーマは、ひらがな読み学習

この年齢からは、学習をするための集中力ついてくる。
一定時間、机に向かってひとつのことをすることができるようになってくるのだ。
もちろん、急にできるようになるわけではないし、子どもだからムラもある。だから、そこまでストイックにならず、やれたときにたくさん褒めてあげて、成功体験をたくさんさせてあげること、それで十分だと思う。

日本語補習校では
50音の歌
絵本の読み聞かせ
ひらがな文字カルタ(ひらがなの1文字だけが書かれたカルタ)
カルタ(そのひらがなから始まる文章が書かれたカルタ)
季節の工作
などが活動のメインだった。また、引き続き、塗り絵が毎回、宿題としてだされた。

ひらがな読み-「書き」もそうだが-に関しては、とにかくやった量だけ身につく、と考えていいと思う。
特に、普通の生活のなかでひらがなが自然と目に入ってくるという環境がドイツにはないため、親が意識して、子どもがひらがなに触れるチャンスを作るしかない。この辺りからは本当に親の頑張りがものをいうようになってくる。


・5-6歳児

テーマは、ひらがな書き学習

日本語補習校では、
50音の歌
絵本の読み聞かせ
ボキャブラリーカード
ひらがなのなぞり書き練習
・数字
(2桁以上の数字になると、ドイツ語と日本語では読み方が違うため、日本語の読み方を学ぶ&書く練習もする)
子どもによる発表や説明
(例えば、好きな食べ物はなに?それはどうして好きなの?という質問がでる。それに一人一人が自分の言葉で答える、といったもの)
などが活動のメインだった。
宿題も一気に増える。ひらがなのなぞり書き・読解問題・絵と文字の結び付け問題・数字の書き取りなどなど。

上にも書いたが、「書き」もやった分だけ、身につく
だから、子どもが興味を持てば、宿題を参考に似たような無料ダウンロ―ド教材を使って、どんどんやらせるとよい(特になぞり書き教材はいくらでもある)。できえば、5分でいいから、毎日何かしら日本語のお勉強の時間がとれると効果的。これをやると、ぐっと伸びるときがくる。
要するにダイエットと同じで継続は力なり、なのだ。

とはいえ、私自身は、ダイエットが成功したためしはないが。( ;∀;)


ひらがな読み学習・書き学習で私がうちの子に実際にどんなことをしたのか、それをしたことで子どもにどんな変化があらわれて、どんな効果があったのか、ということについてはまた別のところで。



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