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図書館司書の憂鬱《司書として食べていけるのか問題》

 


 

仕事は好きで続けたい。けれど現実問題があまりにも厳しい…という司書の憂鬱をつらつらと書いてみました。図書館司書として働きたい方のご参考になればうれしく思います。


 こんにちは。私はいま公共図書館の司書として働いています。

 「司書ってなんだかカッコイイ」「本に囲まれて働けてたのしそう」など、人からはプラスのイメージをもってもらうことが多いです。実際私は本が好きでこの界隈に飛び込んだので、仕事をする上でのモチベーションは常に高い状態を保つことができています。

 なにより、お金を扱わないというだけでこんなにも人の態度が違うものか…と。飲食店での接客経験があるため、比較したときに対お客さんへの精神的ダメージは圧倒的に少ないです。

 しかしながら、図書館司書として働くのに最も悩ましいのが、収入面。

 いきなりマニアックな話になりますが、日本の公共図書館は、市区町村が直接運営するのではなく企業に委託をする、指定管理者制度というものを採用しているところが増えています。図書館の原則は”利益を出さない”ことなので、業務を請け負った企業はどうしても低賃金で図書館員を雇うことになります。

 要するに、日本の図書館員はいま非正規化の波にのまれているのです。

 私がいま働いているのもまさに前述した立場として。非正規の契約社員で、最低賃金に近い収入です。仕事にやりがいはあれど、賃金は低い。実際私の職場には、実家暮らしや扶養内で働く方などが多いです。

 その代わり、これまでに比べて「図書館で働きたい!」という人への門は開かれているように思います。企業が図書館員を募集する要綱に、司書資格は必須ではないからです。…逆をいえば、司書資格をもっていたとしても賃金は無資格の人と大きな差はありません(企業によるし、学校司書やその他専門図書館などへの道が開かれるなど、資格をもつことのメリットは多くあります)。

 もちろん、正規職員になる道がないわけではありません。今でも図書館司書を雇う市区町村は全国にあります。ただし、採用枠は少なく激戦。司書講習の講師を受け持つ大学教授からは、「教師を目指す方が簡単(倍率的に)」と言い放たれました(笑)

 図書館への情熱が人一倍あり、どうしても正規職員として働きたい、そのためならどの県へもいくぜ!という人なら、就職対策をして努力のすえ正規職員になれるのでしょう。しかし私にはそこまでの熱意はないかも、と思い目指すことを辞めてしまいました。

 このように、図書館司書として満足に食べていくのは、今の日本の現状としては厳しいものがあると感じています。

 ただなぁ、本当にたのしいんだよなぁ…いろんな講座やイベントの企画、利用者の喜ぶ顔、子供たちの絵本を手に取るときの無邪気な笑顔…本を愛し人間を愛するものにとっては最高の職場だと日々ひしひしと感じます。

 

 

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