見出し画像

#20 ただのヘンテコな夫に殺意が湧いた日

こんにちわ。id_butterです。

人生で最高に不幸な時に恋に落ちた話 の20話目です。
これまで散々(#2  #9 参照)書いてきたように、少し変わった夫である。今回は、夫との成立しない会話たちで場をあっためたのちに、問題となった爆弾発言を振り返ってみようと思う。

日々間違った言葉を発信し、嫌がらせのような言動をナチュラルに続けている夫であるが、一度だけわたしが夫に殺意が湧いた瞬間があることを彼は知らない。

今日は、夫の悪口を言う最後の日にしようと考えている。
なので、最後に今なら笑える(当時は笑えなかった)おかしなエピソードとをいくつかとどうしても笑えないエピソードを紹介したい。

1.ご飯を炊いたのにラーメンを食べる

基本、ご飯を作るのは夫の役目だ。
それなのに、メニューを決められない夫は、まだ仕事をしているわたしに「どうする?」「手伝ってよ」と頻繁に声をかけてくる。

そんなある日、テレワークだったわたしは昼休みの時間に炊飯器の予約設定をONにし、夫が帰ってくる時間にご飯が炊きあがるようにしておいた。
夕方、予定があったわたしはLINEで「ご飯18時に炊きあがるから、それと解凍したお肉冷蔵庫に入れてある。それでご飯先に食べてて」と連絡した。

なのに、20時に帰宅すると、なぜか夫と子どもたちはラーメンを食べているのだった。

その後、炊飯器の中のごはんをタッパーに詰めて冷蔵庫に移すのはもちろんわたしである。
2日後に「このごはんかたい!」と文句を言うのは夫である。

2.トイレの匂いにしか感じないんだよね

ちょうど今の季節、わたしが楽しみにしているものがある。
公園の脇を通ると香る金木犀である。
わたしはだいすきで、毎年この時期になると、子どもと一緒に「いい香りだね〜」というお約束の会話を交わす。

そこに爆弾を落とすのはもちろん夫である。
「どうしてもトイレの匂いにしか感じないんだよね。」

それって今どうしても言う必要のある言葉ですか?と思う。
気分のよいわたしたちの気分をぶち壊してまで???
思うけど言えなくて、「芳香剤にも使われているのかもね」と返す。
お腹にたまっていく黒いもやもや。

3.ちょっと違う同じようなものをたくさん買ってくる

これはけっこう説明が難しい。

下の子どもがちょっと乾燥肌気味なので、お風呂上がりに塗ってあげる保湿剤の話。
全身塗るのだが、時間がかかる。
時間がかかるので親もめんどうなのだが、子どもも嫌がっていた。
それより早く遊びたいのだ。

少しでも時短できないかと思い、ベビーオイルを買ってきた。
お風呂を上がってすぐ体が濡れた状態のままベビーオイルをのばし、上からタオルでポンポンし余分な水分をとる。そうすると、肌から蒸発するはずの水分が肌に留まることによって保湿効果が生まれる、という仕組みだ。

結果としては、なかなかよかった。

問題はここからだ。
夫がお風呂に入れる場合もある、上記を説明しやってもらうことにした。

すると、その翌々日くらいからベビーオイルのようなお風呂上がりに塗る保湿剤というものを次から次へと買ってくる。
「これもいいらしいよ、会社の人が言っていた」(← #9 でも書いた通り、"会社の人"はわたしのトラウマ)
「これはパッケージが可愛いから〇〇ちゃん、使うよね〜。」

夫はわたしがよいというものが気にくわないのだ、きっと。
そして、夫はベビーオイルを塗らなくなり、しまいには自分の買ってきたものも塗ってくれなくなった。
うちのお風呂には今もその保湿剤たちが遺体となって横たわっている。

このこと以外にも、
・髪の毛をまとめるネットを買うはずが、かもじをたくさん買ってきた
・シャンプーが欲しいのにコンディショナーばっかり買ってくる
とか色々あるのだが、間違えて買ってくるのはわたしがお願いしたものだけで、夫が自分で必要かどうか判断して買う電球や電池やゴミ袋やトイレットペーパーは間違えないのが不思議である。

買ってきてくれる気持ちはありがたい、だが、いらないものはいらない。
運命をねじ曲げられたものたちはうちの「いつか使うかも」墓場に置かれている。

今度お葬式しようとずっと思っていたことを今思い出した。

4.自分が食べないものは冷蔵庫に存在しない

夫の嫌いなものは、多い。
チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品の全て、納豆や味噌などの発酵食品の大半、玄米などはお腹を壊す。
野菜全般は、「嫌いではないよ、進んでは食べないよ」と本人はいうものの、ほぼ食べないに近い。
自然、我が家の食卓は、肉と卵とご飯とフライドポテトで埋めつくされる結果となった。

ごはんを作るのは夫の仕事にしたものの、成長期の子どもたちの栄養バランスが気になる。
出すだけで食べられる納豆や豆腐、切るだけで食べられるトマトやキュウリを買って、出すようにお願いしてみた。

結果、ダメだった。

毎日のように、「今日のごはん何にする?」と聞いてくる夫であるのに、そのおかずとして活躍するはずの納豆やトマトが冷蔵庫に入っていても、目に入らないらしい。

「納豆あるでしょ」
「トマト、切れば一品になるよ」
…どんなに言ってみても、納豆やトマトを夫が食卓に並べることはなかった。

しょうがないので、夫と子どもが食べ始めてからわたしが用意することにした。
狭いキッチンに夫と肩を並べるのがいやだったから。
ひとりで作るならいいんだけど。

それでも、だいぶ腐らしてしまった。
トマトたちに申し訳ないことをしてしまった。

5.引越しの日に引越し業者が来ない

夫がいよいよ引っ越すことになった。

当日、わたしは朝から緊張していた。
子どもたちにはまだ離婚とは伝えず、一旦は仕事で遠くに住むことになったことにしようと夫と話していた。
とはいえ、別のところにパパが住むというのは子どもたちにとって一大事であり、きちんと話す必要があった。
昨晩からバタバタとたくさんの箱に荷物を片付け続けるパパの姿を上の子は気にしていたから。

引越し屋が何時にくるかを聞いたが、わからないらしい。
どういうことかというと、格安で頼む代わりに日付だけ決めて時間が未定というプランだという。
いや、それでもおおよその時間は前日にはわかるはずだけど、と思ったけど言わなかった。どうせ機嫌が悪くなるだけだ。

午前11時。
まだ連絡がこない、と夫は寝始めた。

そわそわする上の子どもが気の毒になり、わたしは子どもたちを公園と図書館に誘い、外に出た。

買い物も終え、さすがにもう終わってるだろうと家に戻ったのは午後6時すぎだった。
玄関のドアを開けると、出かけた時のまま段ボール箱は山積みだった。
キッチンで携帯を手に、夫は暗い顔でタバコを吸っていた。

夫:「まだ、連絡がないんだよね。」
わたし:「忘れられてるんじゃない?普通前日に確認の電話とかない?」
夫:「そうかな。」
わたし:「電話してみれば?」
夫:「電話番号がわからない。」
わたし:「どういうこと?じゃあ会社名で検索してみればいいじゃん。」
夫:「会社名もわからない。」
わたし:「詐欺ってこと?」
夫:「いや、お金払ってないから。」
わたし:「意味がわからないんだけど、見積もりのやりとりとかした時の履歴とか残ってるんじゃないの?」
夫:「ネットで見積もりしたとき一斉に業者から次々電話がきたから、どの会社かも覚えてないし、履歴も残ってない。」
わたし:「メモとかしないの?」

その翌々日、会社の人の知り合いの業者に頼んだとかで、結局引っ越していったのだが、その話は別途。

と、ここまでが笑えるレベルのエピソードだ。
わたしは連日押し寄せるトラブルとその尻拭いに追われて笑えなくなっていたけれど。
普通の人から見たら、どうなんだろう。


殺意が湧いた一言について書く。

「なんでやらしてくれないの?あんまりやらしてくれないから、最近お風呂一緒に入る時〇〇(上の子ども)の体を見て一瞬ムラムラして、やばいんだよ。外でやってきてもいいの?」

お腹の真ん中が瞬間冷凍したみたいに、キュッと冷たくなって、頭が沸騰した。
夫を睨みつけて突き飛ばしてベッドに入ったことを覚えている。

わたしにはこれが、二重の意味での脅迫と感じた。
一つ目は子どもへの、二つ目はわたしへの、である。
もしかしたら、不倫するよという脅迫もあったかもしれないが、わたしにはどうでもよかった。

今まで、夫には何をして欲しいかを伝えてこなかったわけではない。
都度伝えてきたけど、夫は何も聞いていなかったのだ。

もう、一緒に暮らせない。娘と引き離そう。それが結論だった。
noteに書き始めた時は、離婚の主な理由は #5 私が夫の敵になってから背中に爆弾投げつけられるまで だと自分では思っていた。
でも、今回のことが一番最初だったかもしれない、と今なら思う。

自分の中でこの言葉を受け止めて、冷静になって、言語化して、自分の外に出すのに時間がかかった。
今でもここで書いていいのか迷っているくらい、重い事実だ。

だけど、夫はこのことを自分で言ったことを悪いと思ってもいないし、なんなら半分くらい忘れている。

間には深い深い断崖があるのだが、それはわたしにしか見えないのだ。
こういうとき、ふたりでいるのにひとりでいるみたいって思う。

サポート嬉しいです!新しい記事執筆のためシュタイナーの本購入に使わせていただきます。