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腸(はらわた)

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今日の漢字は「はらわた」です。
私は魚のはらわた が好きで内臓が食べられる魚の代表格と言えば秋刀魚 (さんま)ですが…今年も #七輪 で毎日のように食べておりました。
肉食獣 も獲物を捕らえるとまずは内臓から…!!ということで鋭い牙で腹を割き内臓にかぶりつきます… 赤身 ばかり食べているとビタミンを生成できないので内臓をいただくわけです…私も 書道界の百獣の王を目指す男ですので奇しくも内臓好きとなったのでございましょうか??

市場では鮮度を保つ為に基本的に内臓は捨ててしまいますので…美味しい内臓を食べるということは漁師や釣り人の特権なのです…
いつもイカの塩辛 でパスタやトマトと合わせて料理を作り内臓を食べたいという欲望を紛らわしているのですが…
欲求が高まりすぎたのかある朝、悲鳴と共に目覚めると妻の腹に噛み付いておりました…
「内臓が食べたい…」というと妻は震え上がっておりました…
「あなたまさか内臓を食べているのですか…??」私はピンと来ました。
当時、内臓が抜かれた惨殺遺体が見つかる連続殺人事件が流行っておりました…妻は私がその犯人なのではと思っているようでした。
「毎日食べているけどいくら食べても満たされないのだ…」
それから食卓に魚の肝などが並ぶようになりました…味を占めた私は「ああ…美味しいがもっと大きな内蔵が食べたいなぁ…」と言い妻の心配を煽ると牛ホルモンを挟みましたがカツオ心臓やマグロの胃袋の様なさまざまな珍味にありつけました…
妻も内臓を食べることが楽しくなってきたようでした。
ある日の食後…とても美味しかったけど…もっと内臓が食べたいというとレシピに困った妻は出刃包丁を取り出し「これで私の腹を割いてください…」というと覚悟を決めたようでした…
「いかに内臓が好きといえど愛する妻の内臓を食べることができようか…君も内臓の旨さに気づいただろう??私が腹を割きそれを食べれば良い…もう内臓への欲求は終わりにしよう…」と出刃包丁を妻から奪うと「ああ、カンニバリズムというものに興味をひかれますが…それだけはできません…私も愛しているのですから…」熱い抱擁の末に私は隠していたイカの塩辛を持ち出し飲み明かしたのでした…
後日、朝食をとりながら新聞を見ると連続殺人犯が逮捕されたらしくああよかったと新聞を置きましたが…
一体だけ見つかっていない遺体があり犯人は一件だけ殺人を認めていないと…
「犯してしまった罪は仕方ない…人生は潔さだよ…」と独り言を言いながら新聞を畳んだ私ですが…お茶を注ぎにきた妻が一言「毎日熱を上げていた内臓への欲求は収まりましたが…あの時食べた牛ホルモンは絶品でしたね…」と一言呟きました…
私は「まさか君が…」とは聞き返すことができず…「人生は潔さだよな??」と聞くと「ええ、潔さですよ」と答え…私が闇雲に妻の不安を煽り内臓を楽しんだことへの戒めかそれとも本当に罪を犯してしまったのか…今だにわかりません。
その日は事あるごとに妻に「人生は潔さだよな??」と問いました。

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