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鉄道ゲームに関する話(Jeux de Trains)
本記事は、2013年2月3日にBruno Faidutti氏が投稿した「Jeux de Trains」(英題:Train Games)の翻訳である。
本記事の内容は、なぜ鉄道ゲームは数多く作られているのかというものであり、テーマとゲームデザインの観点から語られている。
前回の記事と併せて読んでいただければ、今後の翻訳記事の理解に資するように思われる。
元記事は以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリー機能を利用させていただいた。
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もし、今から数世紀後、歴史家がボードゲームのコレクションに基づいて21世紀初頭の私たちの生活を想像しようとしたら、おそらく、「チケット・トゥ・ライド」や「蒸気の時代」、これらの拡張の大量の箱から、最も一般的な交通手段は鉄道であったと推測するだろう。それに、彼らは、自動車がレーススポーツとしては人気であったけれども、交通手段に使われていたのはわずかだったとすら推測するだろうさ。あらゆる環境保護に関する警告、建前上の表現(official discourse)、公共交通機関への支持を表明している世論がますます増えているにもかかわらず、私たちの圧倒的多数の移動は、いまだに車によってされる。電車の重要性はかつてないほどにわずかとなり、少し古臭い感じがする。自動車の跋扈する世界において、どうしてゲーマーやゲームデザイナーは鉄道に魅了されるのだろうか。実際に、私は鉄道が好きで、駅から離れるとすぐに眠りに落ちるほど鉄道に乗っていると心地よく感じるんだ。けど、あらゆるゲームデザイナーがこんなように感じているとは思えない。他の理由があるに違いないね。
最初の理由は、歴史、特にイギリスと北米の歴史の中に見出すことができる。大半の鉄道ゲームのデザイナーはイギリス人かアメリカ人である。彼らの中には複数の鉄道テーマのゲームを出版した者もいる。Alan Moonは、「Freight Train」、「Union Pacific」、「Santa Fe Rails」、それに最後になったが「チケット・トゥ・ライド」を手がけた。Martin Wallaceは、「蒸気の時代」、「Railroad Tycoon」、「Last Train to Wensleydale」、「Steel Driver」、そのほかに数十作を制作した。Francis Treshamは、「1830: Railways & Robber Barons」と18xxシリーズの他の数作を出版した。これらのゲーム全ては、通常、イギリス、アメリカ、あるいはその一部の地域のマップでプレイされる。他のもっと異国情緒のあるマップが出版されるのは、鉄道ゲームが非常によく売れた時だけだ。まずはヨーロッパ、その後に、更に馴染みのない場所になり、果てにはサハラ以南のアフリカや火星にすら至る。ボードゲームは、イギリスやアメリカの鉄道の歴史、特に19世紀の蒸気機関車の歴史の魅力に影響を受けている。
イングランドにおいて、鉄道は、産業革命、ひいては19世紀におけるイギリスの経済支配の主要な特徴として受け止められている。産業革命を夢見たり、再現したいと思ったりすることは奇妙に聞こえるかもしれない。しかし、イギリス人はそうするし、スチームパンクの人気にも示されている。Martin Wallaceの初期の鉄道ゲームの1つは、「Lancashire Railways」と呼ばれていて、イングランドで本当に最初の鉄道路線の建設を描いたものだった。Frances Treshamの鉄道ゲームは、西暦にちなんだタイトルが付けられており、その西暦は、ヨーロッパの他の国々における鉄道建設ではなく民族革命に参照されたものとなっている。Reiner Kniziaの唯一の鉄道ゲームは、最初のイギリスの商用蒸気機関車の1つに由来する「スティーブンスン・ロケット」(※ロケット号)と呼ばれている。
19世紀の産業革命時代のイングランドのマップで鉄道ゲームがプレイされてない場合には、アメリカのマップでプレイされている。そして、そのゲームは、多かれ少なかれ、西部に向かう大草原の鉄道という西部開拓時代をテーマとしている。アメリカは、今では飛行機と自動車の国となり、アメリカの鉄道は珍しく、古く、信じられないほど遅いものとなっている。けど、皮肉なことに、鉄道に対する愛情(the train fetish)は他のどこの国よりもアメリカで強いものとなっていて、西部開拓時代の物語に深く埋め込まれている。それは非常に寛大な愛情であり、アメリカ人にとっては、オリエント急行、シベリア鉄道、フランスのTVGすら含むあらゆる鉄道は、多かれ少なかれ、西部開拓時代の神話と関連している。Winsome Gamesという小規模出版社があるが、その出版社は、非常に安っぽいコンポーネントを用いた粗々なバージョンの鉄道ゲームしか出版していない。
ボードゲームにおいて鉄道が頻繁に用いられるのには、技術的で実用的な理由もある。豊かな国において、個人と集団のコストが高いにもかかわらず、車がいまだに最もよく使われる交通手段である理由は、公共交通機関よりも自由度が高く、乗換や乗継をする必要なく、どこからどこへでも運転して移動することができるからだ。他方、鉄道は、駅から駅までしか移動することができない。鉄道のネットワーク、そのノード(nord, ※ネットワークの接点)、その限界というのは、現実世界の旅行者にとっては強い制約だ。しかし、ゲームデザイナーにとっては、使いやすい構造的な特徴となり得る。以前の投稿の1つにおいて、ゲームにおけるマップの用いられ方について議論し、ネットワークのマップがゲームボード上で頻繁に用いられていることを指摘し、最も多く例としてあげたものは鉄道網(※鉄道ネットワーク)だった。
大部分の鉄道ゲームは、ネットワークの3つの使用法といえる3つのゲームシステムの1つ以上に基づいている。「蒸気の時代」のように、プレイヤーは、鉄道と交差を表す六角形のタイルを用いてネットワークを建設することができる。「チケット・トゥ・ライド」のように、プレイヤーは、既にボードに描かれているネットワーク上の2つの都市間の線路を支配することもできる。また、プレイヤーは、商品を輸送するために都市から都市へ列車を移動させなければならない。
大部分の鉄道ゲームは、鉄道網を表した複雑なマップでプレイされる。プレイヤーは列車の運転手や乗客ではなく、鉄道王や鉄道界の大物となり、鉄道会社を経営する。このことは、鉄道ゲームのもう1つの矛盾である。鉄道(や飛行機)で旅行する喜びというのは、旅行での直線的な移動とか、(※自由に)止まり、降り、気が変わったりすることの不可能性とか、制御することの放棄とかといったことに由来する。しかし、鉄道ゲームは非常に競争的なもので、全てが制御することができるか次第であるし、1つのトラック上ではなく、グリッド状の複雑なネットワーク上でプレイされるものだ。
では、車をテーマとしたゲームはどうなんだろうか。鉄道ゲームよりもかなり少ないけれども車のゲームは存在する。驚くべきことに、車のゲームのほうは、1つのトラック上でプレイされることが多い。その大半はレースゲームで、鉄道のレースゲームは意味をなさくなるだろうさ。みんなは、他の電車を追い越すために車線からはみ出る列車を見たことがあるかね。
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「1830: Railways & Robber Barons」は、1980年代に制作された鉄道建設と株式市場のゲームである。
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Empire Builder Rail Gamesシリーズも1980年代に制作されたもので、プレイヤーはクレヨンを用いてマップ上に鉄道を描くことから、Crayon Rail Gamesとも知られている。
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「Rail Baron」は、長い間、私のゲーム置き場にあったゲームだが、一度もプレイすることはなかった。
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Martin Wallaceの傑作であり、多数の拡張マップがある「蒸気の時代」の究極版。
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巨大な箱の中に巨大なマップが収録されている「蒸気の時代」システムのもう1つのバリエーション。
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どんなゲームで、良いゲームかどうかもわからない。箱絵が気に入ったから、ここに掲載している。
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Reiner Kniziaですら鉄道ゲームをデザインした。
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今は亡きFranz Benno Delongeによる「トランスアメリカ」は、軽くてテンポの速い鉄道ゲームであり、本来そうあるべきほど成功はしなかった。
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Alan R. Moonの初期の鉄道ゲームの1つ。このゲームは、後に……「Airlines Europe」に進化した。
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Alan R. Moonによるもう1つの傑作鉄道ゲーム。このゲームは、「チケット・トゥ・ライド」の世界的な成功により影を潜めてしまった。
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Alan Moonのベストセラー鉄道ゲーム
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3人用の私のお気に入りのバージョン
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さらに異国情緒あふれる。
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「Paris Connection」は軽量級の鉄道ゲームで、フランスマップでプレイされる非常に少ない例の1つ。
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「Chicago Express」は、「1830: Railways & Robber Barons」よりも軽い鉄道建設と株式上のゲーム。
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列車のある「カタン」。このゲームのベストバージョンの1つ。
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このゲームを手に入れたけど、まだプレイしてない。けど、面白そうだよね。
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線路を引くのにボール紙の六角形やプラスチック製の屋根のない貨車ではなくて色のついた紐を使うのはどうかな。驚くほどうまく機能するんだ(※「ひも電」の海外版である。)。
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地獄の9つの圏(the nine circles of hell), ※ダンテ・アリギエーリの「神曲」が元ネタ)に魂を輸送する鉄道。怖いテーマで賢いテーマだ。
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ゴーストの都市をつなぐ幽霊列車……来年、出版されるはずだ。
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路面電車をテーマとするゲームすらある(※「1号線で行こう」のMayfair Games版)。
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地下鉄をテーマにしている。
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それに地下鉄をテーマにしたSFゲームもある。
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このゲームは本当は線路を建設することをテーマにしたゲームであり、どちらかというとワーカープレイスメントゲームだ。
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列車が駅を出発する前に商品と乗客を配置することをテーマにしたブラフカードゲーム。
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別の意地汚いカードゲーム。後に、「Get the Goods」/「Reibach and Co.」に発展する。
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ついに列車内で行動に移すゲームとなる。オリエント急行内でのフーダニットの物語。
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オリエント急行内での別の犯罪。
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日本の列車内でのリアルタイムゲーム……。
以上
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