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映画『プラットフォーム』(2019)を観た。

某アプリで鑑賞録を書いてたら、そこそこの長さになって、知り合いとも繋がっているアカウントなのもあり、恥ずかしくなってきたので…という、はみ出し記録をnoteに残したいと思います。

どんなテーマか、内容かというのは知った上で鑑賞。確かに演出や設定等がわざとらしすぎるというのはあるかもしれないけど、こういう世界にまさに生きてるんだから作品のルールや展開を馬鹿にできないと思った。
冒頭から「満たされているのに刺激がなくて自殺する」とか、「上の人は自分達を見下しているから、自分達も下の人たちを見下すしかない」とか、真理だなぁ〜〜というようなことばかり出てくるので笑っちゃう。特に、ある程度の階層にいると、想像もできないような下層がいることに気づかないという描写には唸った。

この作品の中の世界観とどうしても現実が異なる点は、自分がどこの位置にいるのかというのが明確にわからないという点だと思う。
だから、現実では、自分が恵まれているのか恵まれていないのかよくわからない不安感がさらなる分断や衝突をより煽ってるよね、なんて思った。
自分が今6層にいるとわからなければ、行動を起こし、持っている富を正しく使うということを考えないと思うので。

私自身は中流家庭で育ったと思っていたわけだけど、大学で上京して一人暮らしさせてもらったり、歯列矯正や成人式などを経験したりして、中流家庭とは言いつつもその中でどこらへんに位置しているのか?というのがぼんやりとわかってきた感覚もある。
とは言っても、上の人たちを見つめながら「可哀想でしょ」という精神だけではやっていけないのだと思うし、かといって下の人たちに同情しきる余裕もないのというのをこの作品は描いているし、秀逸だと思う。
健康上の問題や、金銭面での問題など、どんな問題であれ、恵まれている人たちは視野を広く持つ必要があるのは間違いない。


「アメリカンニューシネマ」というムーブメントが映画史の中で今でも語られるように、パラサイト等の映画と一緒に今後語られていくような作品なのではないかなと思う。
いわゆる分断だけじゃなくて、貧富の差をグラデーションで表すというのはなかなか作品としてアウトプットされていない気もするし。

資本主義に付随する問題の最中にいる私たちからすると明確な答えや救済というのがやはり欲しい……
それが明示されずに終わってしまうのはどうしてもモヤモヤしちゃうなあ
結局パンナコッタや子供というのはどんな解決の糸口になり得たんだろう??
そもそもこの穴と呼ばれている施設(自動車学校的な感じの実習施設だと思ってるけど)が連帯や団結、慈悲の精神を鍛えるのを目的として作られたのだとしたら、管理者や0層の人々に何かを訴えかけるというのは何か矛盾がある気もするしね。

構成的な部分でいうと、1ヶ月ごとに階層が変わるという設定もあるので、どんどん展開していくからテンポ感も良くて見やすい
実際に遭難して、仲間の肉を食べた人らの実話をもとにしたような小説を読んだこともあったから、それを踏まえても幻覚に悩まされていく描写が入るというのも好きだった

親ガチャとかいう言葉が流行る国なんだしもっと話題になっても良かったような…
キリスト教や聖書におけるメタファー的演出が強すぎた故、そこまでバズらなかったのかな?とは思うけど、低予算ながらに説得力のある作品だなぁ。



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