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#10_【読書】書くとはどういうことか/梶谷真司(飛鳥新社)

最近文章を書くこと自体が億劫になってしまい、手に取りましたf^_^;)。

今回取り上げますのは、梶谷真司さんの「書くとはどういうことか」(飛鳥新社)です。
哲学的なタイトルが付いていますが、書くことへの苦手意識がある方や、文章を書くのが面倒くさいと思っている方に打ってつけの本です。

この本を読み、一番大きな発見だったのは「文章を書くことは、ひとりでしなければならないものではない」ということでした。

ブログや媒体に載せる記事以外に、企画書や報告書も書きますが、たしかに企画書は複数の人を交えて作ることが多いです。ローマ法王に米を食べさせた高野誠鮮さんが講演で「企画書なんて、実行に移さなければただの紙くずにすぎない」というような言葉を発し、私も強くうなずきましたが、企画を実行するには様々な方々の協力が必要になります。そのためには、すべての関係者が理解し、納得できる文章でなくてはなりません。


私の企画書の先生である大木浩士さんも、少人数で対話をしながら内容をブラッシュさせていく手順で講座を進められますが、アイデアを膨らませることばかりに気を取られていましたが、そのような効果もあるんだなと、いまさらながら気付きました。


一方で、文章を書く行為は、基本的には孤独な作業というイメージが染みついていて、もはや対話しながら書き上げていくという発想すらなく、「他者と共に書く」グループワークのフローが斬新で、しかも読みながら、書くことが楽しくなりそうなワクワク感が生まれてきました。
私にとって、仕事関係の文章で一番書くのが楽しいと感じるのは企画書ですが、アイデアが広がっていく過程に面白さを感じますので、他の文章でも同様にすれば良いのかと、少し気分がラクになりました。

そして、自分の文章を棚に上げ「上手いプレスリリースは「てにをは」を付ければ文章になるもの」と勝手に定義していますが、プレスリリースを作るのと、文章のストラクチャーを作るのは、似ているのかもしれないと感じました。内容が頭に入りやすいプレスリリースがあると、文章を作るモチベーションが上がりますし、不思議なもので、そこからさらに取材したくなる欲求も高まる気がします。
私の立場で申し上げるのは大変僭越ですが「書いてほしかったら、書いてもらいやすい形に加工した材料を用意する」、そのためにストラクチャーを作るステップは有効だろうと思いました。

さいごに、エピローグを読みながら、ある学芸員の方が「古文書が残っているということは、文字を読める人がいる」とおっしゃっていたことを思い出しました。
文字でやり取りすることが当たり前のことのようでいて、実はそうでないことや、文字にするほうが便利だから、文章を書いているということを再認識しました。

文章を書くことを、もっとポジティブに捉えていきたいと思います。

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