海辺の散歩者

■ ある占い師の感覚と思考■ 港町に暮らすある占い師の日々を、書き綴っています。時々ち…

海辺の散歩者

■ ある占い師の感覚と思考■ 港町に暮らすある占い師の日々を、書き綴っています。時々ちょっと不思議なことも起きますが、普通といえば普通の生活です。急拡大する占い業界にも、ふれていますよ。

最近の記事

四月が残酷なのは、芽吹きの苦悩なのか

冷たく晴れて、風の強い日だった。 午後、運河になった狭い海に、ノコギリの歯のような白い波が立っている。 僕は自転車に乗って、運河沿いの公園を走っていた。青葉になりはじめた桜の並木がゆらゆら揺れて、木漏れ日がまぶしかったのを覚えている。なんだか気持ちがざわつくのを感じていた。いまから2か月ほどまえのことだ。    四月は残酷きわまる月 そう書いたイギリスの詩人がいる。その詩の一節ががふと頭に浮かんだのは、どこか荒れた感じの四月の風景を見たせいだろう。 自転車でむかっているの

    • 自己紹介 noteはじめます

      はじめまして。 海辺の散歩者、と申します。よろしくお願いします。 気どった名前にしてしまって気恥ずかしいですけれど、これは数万年前にアフリカ南西部に暮らしていた人類の愛称です。その人骨が海辺で発見されたのですね。 彼らはいまの人類、つまりホモサピエンスよりかなり小さく、狩猟採集生活をしていたようです。ただし頭の容量は僕たちよりも大きくて、そんな彼らはなにを考えていたのでしょう。もしかすると、とんでもないことを知っていたのかもしれません。 ※  note デビューのご挨拶なの

      • 僕は占い師になる前に、猫と出会った

        孤独な都市生活者にとって、猫は素晴らしい友人である。 それはたぶん、猫が侵しがたい孤独を抱えているからだろう。だから寂しがって近寄ってきたとしても、気づけばふっと目の前からいなくなってしまう。群れではなく単独の狩猟者がもつ静寂に、むやみに立ち入ってはならない。 猫はボーダーの領域にいる存在だ 僕が単身の都市生活者だったころ、一匹の猫を拾ってきたことがあった。夏の夜で、雨の降ったあとだった。夜道を歩いていると、幼い猫の鳴き声が聞こえてきた。声をたどっていくと、細い溝のなか

      四月が残酷なのは、芽吹きの苦悩なのか