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国際結婚に学ぶ「愛」という名のイリュージョン(後半)

元カノの逆襲ーー奈落の底に落ちる編

【第19話】 キャリアか結婚生活、どっちを選ぶ?


「新婚生活は甘いもの」と誰もが想像するように、確かに甘かった、約半年くらいは… 顔を合わせてニヤニヤしたり、夜中に抱き合う事もあった。色々なハプニングを乗り越え結婚した嬉しさの余韻は確かにあった。でもまもなく私達は、結婚生活の危機に直面する事になる。皮肉にも略奪結婚からまた略奪されるというドラマのような結末が待っていた。

結婚する4年前、結婚を前提に私が彼の家に引っ越しをしてきてから少しずつ歯車はずれ初めていたのかもしれない。彼の家はアメリカで想像する理想の一軒家とは程遠い、彼の家は昔の設計で間取りが狭く、私は家の外にオフィスを借りる必要があった。2人ともフリーランスで自宅を事務所とし、仕事も生活のリズムも全く違っていた。

特に私はその時期、H1-Bビザ取得する為1日15時間働いていたので、外にオフィスを持つ事が2人の為にも良いと思った。自宅から車で15分、バークレーのシェアオフィスで200スクエアフィートのスペースを借りた。「ここが私のオフィス、そして部屋」。とりあえず自分の安全な「居場所」は確保しながら新しい生活が始まった。

しかし引っ越してきた日、彼から驚くべき申し出があった。「僕はいつも3時くらいにビックなランチを食べて、夜はほとんど食べない習慣だから、これからも平日はそれで良いよね」?
「え」?? ルームメイトではない、新婚カップルなのに、夕食を一緒にとらないの」? 戸惑った。当然「それは寂しい」と言おうと思ったが、一瞬考えた。

心の中で、「待てよ。夕食を一緒にしないとなると、仕事がノってきた夕方の時間に自宅に戻る事はないので、仕事の効率が良くなる。しかも彼の方からの提案だし好都合かも」。そして「That’s Fine」(いいよ)と返事をしてしまった。

その後、同居しながらも一緒に食事をするのは週末だけ。私は平日はいつも夜中に帰宅していた。週末はきまって(彼の)お気に入りのカフェに行き朝食をとる。その後コーヒーショップのテラスで彼は新聞を読み、私はパソコンを携帯し仕事をしていた。

「夫婦なのだから」と私なりにたまに彼のワインの趣味にも付き合い、たまにナパやソノマのワイナリーに出かけた。でも彼がテイスティングをする間、私は一眼レフを持ってずっと写真を撮っていた。「次の記事に使える」。どこに遊びに行っても仕事マインドだった。 

結婚8ヶ月目、そんな私の”仕事優先”ライフについに彼がキレてしまった。「君は仕事と結婚している。僕の為に時間をくれないじゃないか。僕は人生をもっと楽しみたい。旅行もしたいし、週末も遊びに行きたい」と言ってきた。彼が放った「You have no time for me」という言葉が心に響いた。「そうだ。私たち、まだ本当の夫婦の生活をしてなかった」

悩んだ。もし遊びの時間を取れば、1人で運営しているSF支局の雑誌の発行はできなくなる。でも彼のいうこともわかる。それに、今会社から申し込んでいたグリーンカードの手続きも「結婚」に切り替えたらもっと早くおりる。ーーーどうすれば良いだろう。キャリアを選ぶか、夫を選ぶかーー。1ヶ月くらい悩んでいた。 でも言うまでもなく選ぶべきは、「夫」なのだろう。

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