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BranCo!#12 決勝審査員インタビュー【後編】

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こんにちは!BranCo!学生スタッフの栗原・羽田です。「BranCo!」は、博報堂と東京大学教養学部教養教育高度化機構が共催する、“大学生のためのブランドデザインコンテスト”です。課題となるテーマについて様々な視点から調べ、その本質を考え抜き、魅力的な商品やサービスブランドのアイデアをつくりだして競い合う、チーム対抗形式のコンテストです。今回はテーマが「遊び」であるBranCo!第12回の決勝プレゼンについて、審査員を務められた博報堂BID局(当時)の宮澤正憲さんと竹内慶さんにお話を伺いました。
前編の決勝全体総評を受けて、後編は決勝の優勝・準優勝チームの発表について伺いました。

インタビューさせていただいた竹内慶さん(左)、宮澤正憲さん(右)

①優勝チーム(バンバジ)ついて

―優勝チームの発表は5つの評価ポイント(インプット・コンセプト・アウトプット・ストーリー・プレゼンテーション)のどの項目が特に良かったのでしょうか?

宮澤さん:「バンバジ」チームは、特にインプットが秀逸でしたね。まず遊びを飲み物に例えるという発想が素晴らしい。また発想したことを上手に言語化しているところも良かったと思います。特に「遊びのへそくり」や「大人のテンプレ化」という言葉は納得感とインパクトが両方ありましたね。

ただその一方で、アウトプットはあともう一歩だったかなと思います。この班は体験ではなく、紙に書いて形にするという発想は良かったのですが、逆にそこまで行っちゃうと別に紙じゃなくてもいいんじゃないかとか、デジタル使ってやった方がいいんじゃないか、とか。更にもう一工夫あればより良いものになったと思います。

竹内さん:納得感と意外性がありましたね。この班はそれぞれのパーツが良かったのに加えて、インプット→コンセプト→アウトプットに行くに従って、ちょうど気持ちのいいジャンプがあったところが非常に良かったと思います。各フェーズでなるほどと思わせながらも、結構ジャンプをしていて、インプット・コンセプト・アウトプットが同じ高さでだらだらといくのではなく、ホップステップジャンプみたいに、 いい意味での飛躍が全部のステップの間にあったことが、私の中ではとてもポイントが高かったですね。

ただ、へそくりの感覚だと本当に紙に書くのかな?というところに関してはもう少し議論できたのではないかなと思います。

―実際の点数でも、インプットとストーリーが1番高かったのはこのチームでした。

竹内さん:ストーリーは一貫しているけれども、各ステップでジャンプがあって、尚且つ要所で残したい言葉が非常に強いんですよね。僅差で抜けたのはそういう所なのかなと思います。

―キャッチフレーズというのも結構大切なのでしょうか?

宮澤さん:絶対になきゃいけないってことはないけれど、聞いている側としては短い時間に様々な情報が入ってくるから、正しいこと言っても伝わりにくいっていうことがあります。その時に、インプットのまとめはこれだって一言で言われるとずっと心に残るので、言葉の力は大きいなと思いますね。

② 準優勝チーム(遊園モコモコ)について

―準優勝チームの講評をお願いします。

竹内さん:「遊園モコモコ」チームも、インプットとコンセプトが光っていましたね。遊びのポイントは楽しさと疲れのバランスであるという発見から、「遊びの過剰摂取」という言葉をキーワードとして置いて。「まだ遊べるのに強制終了させてしまおう」という遊びのコンセプトはとても良かったと思います。

もうちょっとユーザー体験を詰めると、かなりいい線まで行ったんじゃないかなと感じています。また発表後の質疑応答の中で、「体力のない人が阻害されないか」という質問に対して、「助け合って友情と絆の再確認をするんだ」ということを言っていて、とても良いディスカッションをしているなと思いました。

宮澤さん: 僕は本当にこの図(※5)が秀逸だなと思っていて、絵としてすごく印象に残っています。

1位のチームは弾ける遊びが足りていないという課題、この班は遊びをついついしすぎてしまうという課題を発見していて、実はこの2つは逆の話なんですよね。だから思考が逆パターンですごく面白かったです。

③ 学生へのメッセージ

ー最後に来年のBranCo!参加者に向けてメッセージをお願いします。

竹内さん:BtanCo!は言い換えるなら「企画とアイデアの甲子園」がぴったりで、文系や理系、芸術系や体育会系も含めて、全ての経験やバックグラウンド、専門性を活かしながら、インプット・コンセプト・アウトプットという、同じ評価基準の中で競い合うことができる珍しいコンテストだと思っています。ここで学んだ発想法や企画術は将来きっと役に立つと思うので、ぜひ楽しんで参加していただきたいです。

宮澤さん:BranCo!には大きな魅力が3つあると思います。

1つ目はブランドデザインを学ぶことができるということ。BranCo!はブランドデザインを学生の皆さんに理解してもらおうと作ったコンテストなので、ブランドデザインの仕方が勉強できることは参加するメリットかなと思います。

2つ目はBranCo!で学んだことが将来に活きる可能性が大いにあるということ。ここで学んだ思考は企画や劇団、サークルの運営や就活にだって、幅広い事象に応用できる思考であるということを、今まで参加してくれた学生が言ってくれています。少し大袈裟に言えば、人生のいろんな局面でこの思考が役立つんじゃないかなと思っています。

3つ目はチームで全力で楽しみながら、時には喧嘩して何かに取り組むという経験ができること。意外とありそうで実はないことなので、このような経験を学生の時にやってみるというのは結構貴重だと思います。

まとめると、知識にもなるし、将来にも役立つし、単純に楽しいということがBranCo!の良いところなので、ぜひ参加していただいて、みんなに満足してもらえると良いですね。

竹内さん:あと1次予選を通過すると、多くの弊社社員がメンターとして真剣にアドバイスをしてくれるので、それも参加するメリットかと思います。実際にそれが目的でエントリーする人もいるくらいで。アイデアとか、企画に興味のある学生さんで、実際仕事にしている人たちが、本気でアドバイスしてくれるというのが貴重な機会だと思いますね。

宮澤さん:広告業界とか、企画することが好きな人は、そういったことを仕事にしている人たちと仲良くなったり、本音で話したりできるので、ぜひBranCo!にチャレンジしていただきたいです。

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■プロフィール

宮澤正憲 (Miyazawa Masanori)

博報堂執行役員
東京大学教養学部特任教授/ 立教大学ビジネスデザイン研究科客員教授

東京大学文学部心理学科卒業。博報堂に入社後、マーケティング局にて多様な業種の企画立案業務に従事。2001年に米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院(MBA)修了後、イノベーションのコンサルティングを行う次世代型専門組織「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」を立上げ、多彩なビジネス領域において実務コンサルテーションを行っている。
また、現在東京大学教養学部にて発想教育プログラム「ブランドデザインスタジオ」を運営するなど、ビジネス×高等教育をテーマに教育活動も推進中。立教大学ビジネスデザイン研究科客員教授 。
『東大教養学部「考える力」の教室』、『「応援したくなる企業・組織」の時代』、『「個性」はこの世界に本当に必要なものなのか』など著書多数


竹内慶(Takeuchi Kei)

博報堂生活総合研究所 所長補佐
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員准教授

2001年博報堂入社。マーケティングリサーチ、コミュニケーション戦略、商品関発等の業務を担当した後、博報堂ブランド・イノベーションデザインに創設期から関わり、2004年より所属。「論理と感覚の統合」「未来生活者発想」「共創型ワークプロセス」をコンセプトに、さまざまな企業のブランディングとイノベーション支援を行っている。アルスエレクトロニカとの協働プロジェクトでは、博報堂側リーダーを務める。著書に『ブランドらしさのつくり方』(ダイヤモンド社/共著)等


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