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記事一覧

とうちこ奇談 和歌山県日高郡みなべ町

 みなべ町は和歌山県の南端に位置しており、太平洋と紀伊山地の、山と川と海に囲まれた自然豊かな土地である。
 みなべ町の沿岸に海神社があり、その摂社では"にとうちこ様"という氏神が祀られている。
 社内には2体のご神体を斜めに安置しており、それぞれ南向とうちこ、東向とうちこと呼ばれている。
 元は像は一体であったが、ある者がこれを盗み出したので、また一体作って安置した。ところが、盗んだ者に祟りがあり

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とうちこ奇談 絵 副読

 「とうちこ奇談 絵」にとあるとうちこの事例を紹介した。
https://note.com/bcos_a/n/nbb4b516b38a5

 上記事例は人伝に聞いた実話を元に制作しているのだが、その真実性を裏付けるものがある。
 東央新聞の11月28日付けの記事に次のような記事があった。

 新聞ではSNS上に投稿された変なスペースが噂を呼んだとして紹介されているが、これが大きな話題となったのは

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とうちこ奇談集

とうちこ奇談集

前書き 本稿は統治行為論アドベントカレンダー2023の12/19の記事である。
 最初に注意書きを書かせていただく。注意書きを読むと興ざめしてまうので、適当に流してもらいたい。
 本稿は当然全部僕の創作であるし真っ赤な嘘なのだが、僕の趣味で真実味を帯びさせるためにでっち上げの参考文献や実際の地名を出している。文献については実際に存在したとしても全くそんな内容は書かれていないし、僕は読んだこともない

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怪談「とうちこさん」

本稿は統治行為論Advent Calender2023 12月12日の奇行、寄稿文です。

「『とうちこさん』って知ってるか?」
 A君はB君の返答を待たずに話し始めました。
「『とうちこさん』ってのは言わばコックリさんの亜種だよ。フォーマットが全く違うんだけど方向性が同じなんだ。とうちこさんに悩みを打ち明けるとアドバイスをくれるって話だ。
 手順は簡単。まずはSNSのXのアカウントを用意する。普

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詩 「とうちこ」

もし、あなたが精神を守りたいと思うなら。
"とうちこ"にまつわる数々のお話を詳しく調べないほうが良い。
健全な常識を、心を、精神を、持っているなら気をつけていただきたい。

とうちこは眼窩から入ってくる。
それは心に入ってくる。
とうちことあってどうかしないわけがない。異常をきたして当然だ。
精神の調和が崩れて心が壊れる。
当たり前。

助けられはしない。
予防はある。
もし、夢にあやしみある時、

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とうちこの科学

 大暑を迎え、茹だるような日差しに暑さの募る連日の中、皆様は体調には気をつけておられるだろうか。
 さて、セミの鳴き声が響く今日この頃。古くから親しまれていたこの音にワビサビを感じ、日本の夏を実感できるのでは無いだろうか。
 まだセミが死滅してしまう前、かの有名な松尾芭蕉が次のような句を残している。

 閑さや岩にしみ入る蝉の声

 世俗的な喧騒から離れた山道に蝉の鳴き声が響き渡るという夏らしい句

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30秒でとうちこ

 まともは、傍から見ているとまともなんですよ。でも、でもね?何かのトリガーがあれば、実はまともじゃなかったってことにもなる。
 そう、何をもってまともかというと、「とうちこ」と接点があるかないか、なんですよね。
 たとえば、人一倍理性的で、行動評価を客観的に行えて、かつ合理的な判断がすぐにできる頭の回る人もカウンセリングには来られます。
 そんな方でも、とうちことの接点が存在してしまうと、途端に変

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春を告げるとうちこ

 とうちこの話?
 あれでしょ、「ちこ」とか言うやつ。見たことあるんだよね、私。
 元カノとのデート終わりの帰り道に見たんだ。公園横の普通の道に小さい女の子が立ってて、夜だったから危ないなって思って声かけようと近づいたらね。
 「ちこ」って。
 そこでわかったの、これがとうちこかぁって。
 とうちこのお話の中で誰も近づいていった話ってないじゃんか。正体見たり枯れ尾花ってことで近づいていったの。
 

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とうちこの歴史

ルビを振るテストと併せて「とうちこ」の歴史を紹介したい。

 慶長元年のこと、東地子一帯は、凶作飢餓悪疫流行し、故に天下麻のごとく乱れ、世相混乱の極みに達せり。
 時に大輪東地子寺天慧禅師座視するに忍びず、三十七、廿一日間の断食祈願の禅定に入る。即ち、観音の霊験ありて、東地子寺境内に奉祀し大いに教化につとめ、天慧禅師、生仏となす。さらに吾、末永く民を火難水難より守護せんと誓願を立て、嘴広鸛を集め、

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とうちこ奇談

とうちこ奇談

序論

 上記の引用は1840年(天保10年)に刊行された江戸時代後期の書物「今昔奇妖物語」の妖怪名彙に記されてる一説である。
 また明治から昭和初期の東海の地方紙でたびたび”とうちこ”を目撃したとの記事が掲載されている。つまり、その当時でもこの種の記事はあったわけである。しかもそれは新聞報道されるほどに重大な問題として認識していたということである。それが証拠に、昭和10年12月14日付の東西新聞

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続 とうちこ奇談

続 とうちこ奇談

はじめに

 「とうちこ奇談」について、ありがたいことにとうちこに関する投稿をいただいた。
 幼い子供が親の言いつけを聞かない場合に、叱る文言として「とうちこが来る」というフレーズを使っていた、という内容だった。
 今回は投稿者(以下、仮名を用いてユウキさんとする)にヒアリングさせていただいた内容をまとめた内容が主題であるが、その前に前提知識としてしつけとして使われた怪異について紹介したい。

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