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絵本からカードゲームへ路線変更!【ブブブブ分数カードバトル開発秘話②】

♯1からの続き)ある1冊の本をきっかけに、楽しく分数を学ぶ「絵本」を作ることになった私。構想期間2年を経て、実際に描き始めるも、「これで良いのか」という疑問を抱き、ペンが止まったのだった……。

やんちゃなあの子を夢中にさせたい!

私が描いてきた分数絵本が、無事に出来上がり、小学校の教室に置かれるようになったらどうなるのか、妄想してみました。


休み時間に何人かの生徒は読んでくれています。
おそらく本が好きな子、算数が好きな子でしょう。
チャイムが鳴るやいなやサッカーボールを抱えて校庭に飛び出すような少年は……やっぱり読んでくれそうにありません。

ある時、本好きの子が少年に分数絵本を薦めます。
ページをめくる少年。
「興味ないや」という顔で外に出ていきました。


これが現実だろう。
でも、それじゃあダメなんだ。
俺は、普通の丁寧な解説では納得できない子をどうにかしたい。
分数って聞くだけで逃げるような子を減らしたい。
あのやんちゃ少年を夢中にさせたい。
休み時間になったら、みんなが奪い合うような作品を作りたいのだ。

絵本では、パンチ力が足りません。
もっともっと夢中になる、楽しいものはないか。
あれこれ考えて、ある夜思いついたアイデアが
【分数カードゲーム】でした。
遊びの中で分数を学べるうえに、ゲームそのものが面白くて、みんなが喜んで遊びたがる、そんな作品を作ろう!
布団の中でバチバチっとアイデアが固まりました。

『スト2』で分数バトルを作るんだ!

「分数カードゲーム」というアイデアと同時に、どのようなゲームにするかも頭の中ではイメージができていました。

対戦格闘ゲームの王道『スト2(ツー)』の分数バトルです。

実は、絵本を描き始める前、ストーリー案を考えている段階から、スト2のことは頭の中にありました。
分数の必要性を学ぶうえで、なかなか有効な題材だと思っていたからです。

スト2は2人のキャラがお互いに攻撃をして、相手の体力を先に0にしたほうが勝ちです。
この「体力」はスト2の場合、具体的な数字ではなく、横に長い四角形のバーで表現されます。そして、相手の攻撃を受けることで、画面上のバーが減っていき、なくなると負け、というわけです。ダメージを受けた時は、そのバーが減るだけで、たとえばRPGの戦闘のような「50ダメージ」といった明確な数字は出てきません。

この体力の減り具合を言葉で正確に説明するのに、分数的な表現が必要になるのでは、と思っていたのです。

のちにカードの箱用に作った画像。ダサいのでボツになりましたが、つまりはこんなイメージ

また、男の子向けの、いかにもバトルゲームっぽい作品にしたいという思いもありました。
世の中にある知育カードゲームは、パズル感と言いましょうか、教育感と言いましょうか、とにかく攻撃的なニオイは一切しない、お上品な作品ばかりです(それを否定するわけではありませんが)。

私が喜ばせたいのは、はなっから知的なニオイがする子ではなく、どちらかと言えば勉強が苦手なヤンチャっ子ですから、その子が興味を持ってくれるような作品にしなければなりません。
メガネをクイッと上げて「野蛮なゲームだわ!」と言っていただいて結構。ガッツリ攻撃して攻撃されて、白熱の攻防を楽しむ作品にしようと心に決めました。

こんな感じでゲームのコンセプトも決まり、実際にルール作りに入ってい来ます。そして生まれて初めてゲームを作ってみてわかりました。

「ゲーム作り、すんごく楽しい!!!」

その3に続く)

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